国産アメリカン用スプリンガーフォークキットが販売|部品屋K&W
取材協力/部品屋K&W  取材・文・写真/モリヤン  構成/アメリカンライド編集部
掲載日/2016年6月29日

バイクに乗ることの楽しさを原点回帰する方法。それはやはりシンプルな車体構成のチョッパーや、ボバーに乗ることだろう。そのためのカスタムワークに情熱を傾けるパーツ構成が見事なK&Wは、スプリンガーフォークの装着という方法にも、独自のノウハウを注入してきた。

FEATURE

手軽に楽しめるクラシックは
バイクを駆る楽しさを再発見する

スプリンガーフォークやガーダーフォーク等は、現在のテレスコピックタイプになる以前のサスペンション形式で、それが主流だったのは60年から70年も以前の時代である。元々普通の自転車にエンジンを取り付けただけだった最初期のオートバイに、最小限のサスペンション機能を持たす方法として開発されたのが各種のフロントフォークで、リアは長い間リジットのままだった。ヨーロッパ製、特にドイツのBMWは早くから前後サスペンション機能を開発したが、ハーレーがリアにサスペンションを装着したのは1950年代の後半である。そして最終スプリンガーフォークが装着されたのが1948年。それほど、古いテイストを持ったサスペンションがスプリンガーフォークなのだ。

現代のサスペンションと単純に性能比較することなどは意味がない。ではなぜ今この旧式サスペンションに魅力を感じるかというと、やはりそのルックスと、独特な乗り味に多くのライダーが引きつけられるということだろう。バイクに乗る目的に、絶対性能を求めるライダーはごく一部である。見方を変えれば、自分の求めている乗り味そのものが各自の絶対性能だということが本質なのだ。

部品屋K&Wは、国産アメリカンバイクを中心に、ハーレーやヤマハSR等のテイスティモデルをカスタムする上で、ハイセンスなクラシカルテイストを実現させるための様々なアイテムを数多くリリースしている。その中で、今回はフロントフォークのスプリンガーキットを制作販売することになったのだ。

カスタムバイクの方向性として極めてクラシカルな外観とテイストが味わえるスプリンガーフォークだが、実際の装着には様々な困難が障害となっていた。基本的に販売されているシステムが汎用品のために、装着するためのフィッティングパーツをワンオフで製作しなくてはならず、そのコストが大きくなりすぎ、結果、欲しくても夢のままで終わるということがほとんどだったのである。新車時からスプリンガーのバイクを購入するなどということは、ほとんどコレクターズアイテムのために現実的ではないし、現在のパーツを使用して制作するのも高額だったという現状。そんなユーザーのためにK&Wはフィッティングパーツを量産するという手法で、スプリンガーキットを販売。現在は、ヤマハのビラーゴ250やドラッグスター250と400。そしてホンダのスティード用、カワサキバルカン400用のラインナップを揃えている。セットされるのは、スプリンガーフォーク本体と、フレームに取り付ける際に必要なネックカップ上下、そしてステムベアリングである。ホイール周りのカラーは、様々なホイールチョイスに対応できるように、別注できるシステムを採用し、好みのスタイルで制作することが可能になった。その値段は、DNAフォークキットで「12万9,893円」74スプリンガーキットで「17万6,900円」(税込み)と極めてリーズナブル。従来の、すべてワンオフ制作でのセットアップでは考えられない値段設定となっている。

国産アメリカンバイクを利用してクラシカルテイスト満載のカスタムバイクを制作するのは、バイクならではの楽しみ方とも言える。たとえばクルマの場合、その根本的な車体構造が新旧で違い過ぎるので、現代車ベースで戦前のクラシックカースタイルを制作することは絶対に不可能である。もし、可能なクルマを考えるとすれば、未だにラダーフレームを採用しているトラックをベースにするしかない。それでもエンジン搭載位置などに問題が残るはずだ。その点、バイクは様々なテイストで自分の求めているスタイルや乗り味を創りだすことがまだまだできる。そんな夢を実現できるパーツとして、このスプリンガーキットは多くのライダーに歓迎されることだろう。

PICKUP PRODUCTS

細かな部品まで製作可能な
K&Wの底力をレポートする

K&Wはショールームを持つようなショップではなく、工場然とした制作ファクトリーである。施設内には様々な大型加工機械が設置されていて、そのどれもがフル稼働状態だ。代表的なのは精密な3次元加工を可能にするマシニングセンターやCNC旋盤という最新機械。小ロッドでも均一なパーツを量産できる体制を整えて、様々なカスタムパーツを世に送り出しているのである。工場の2階はすべてパーツのストックヤードとなっていて、注文を受けたパーツは極めてスピーディーに発送が可能。その他、ワンオフ制作もできるという柔軟性も魅力である。最近、新たにパウダーコーティングできる塗装ブースも導入して、フレームやホイールの塗装も開始した。

01ベース車両は、ヤマハビラーゴ250である。スプリンガーテイストに合わせたボルトオンハードテイルキットを装着。ガソリンタンクやハンドルバー、キャブレター、マフラー、すべてがボルトオンパーツでの構成だ。

02フロントフォークはDNA製のメッキタイプを使用し、ホイールは細身の21インチスポークタイプを採用する。

03フロントブレーキは、ビラーゴのノーマルキャリパーを使用するためにキャリパーサポートを制作。

04ベースモデルは、ヤマハのドラッグスター250で、スプリンガーフォークスタイルのフルオプション装着車。すべてのパーツが専用設計で、ボルトオン装着できる。

05フロントフォークはDNA製のブラックタイプ。ホイールは19インチで、リムもブラックで統一する。

06フロントブレーキはやはりノーマルのキャリパーを使用するためにサポートを制作。同色に塗装される。

07ベース車両は、ヤマハのドラッグスター400で、前後16インチホイールのスプリンガーフルキット。やはりリアサスはリジット化されている。

08フロントフォークは、かつてハーレーに純正採用されていた、通称74スプリンガーフォークのレプリカを使用する。

09小型のブレーキキャリパー&キャリパーサポートとトルクロッドは、スプリンガー用フロントブレーキキットとして販売される予定。

10ホイールのアクスルシャフトやフィッティングカラーは、ホイールごとに違いが出るので、車種ごとに制作される。

11スプリンガーフォークを車体に装着するために必要なパーツはこれだけ。取り付け車種に合わせてすべてワンオフ制作すると、コストが上昇するので、従来は高嶺の花だったのだ。

12キット販売されるのはスプリンガー本体と、フレームに取り付ける際に必要なネックカップ&テーパーローラーベアリング。

13CADで書かれた図面を元に、正確な加工技術でパーツ制作できることがK&W最大の特徴である。

14ビレットパーツのひとつひとつを最新の大型加工機械を使って制作する。その製品精度は極めて優れていて、品質の安定化は際立っている。

15最近、静電密着塗装であるパウダーコーティングの専用ブースも導入し、こちらもまたフル稼働状態。フレームやホイールなど耐久性の高い塗装を施せるようになった。

SHOP INFORMATION

愛知県安城市和泉町大海古2-12
TEL 0566-92-7016
FAX 0566-79-2383
営業時間 10:00-19:00
定休日 なし
国産アメリカンやヤマハSR、カワサキのエストレヤ等を中心に、ハーレー用のパーツ制作や、カスタムバイクの制作も手掛けるスペシャルショップ。センスの高いビレットパーツ群をラインナップすると共に、シート加工製作等も行うなど幅広い分野を網羅するショップ。