
大ヒットに満足することなく
進化を続けるベスウォーマー
いかなる製品であっても、ニューモデルは旧モデルを超えなくてはならない。これはある種の「宿命」だと言える。しかし、先代が偉大であればあるほど、そのハードルは高くなる。昨年、大ヒットを記録した電熱ウェア「ベスウォーマー」もそんな製品のひとつだ。ベスト、グローブ、アンダーウェア、ソックスなどがラインナップされ、状況に合わせてアイテムをチョイス、システマチックに使用できる防寒アイテムとしてベスウォーマーは瞬く間にライダーの間に浸透し大ヒットに至った。それだけに改良の余地は少ないと考えていたのだが・・・。
昨年の成功に満足することなく、今年もベスウォーマーは大きく進化した。ライダーにとってもっとも歓迎すべき改良点は「車輌用コントローラー」の開発だ。昨年までのベスウォーマーは大容量のリチウムイオン電池を電源としており、電源コードを接続する煩わしさがないのが特長だった。事実、よほどのロングツーリングでもない限りバッテリーのスタミナは十分。キャンプなどのアウトドアでも使える汎用性もヒットの要因だった。しかし、泊りがけのロングツーリングなど、長時間におよぶライディングを好むヘビーユーザーからは、電池切れの心配がないバイクのバッテリーからの電源供給を望む声が多く聞かれ、これに対応すべく開発されたのが車輌用コントローラーというわけだ。また、ラインナップの中核をなす電熱ベスト「ベスウォーマーNEO」も、発熱体の位置を好みや使用状況に応じて変更できるユニセックスタイプが発表されるなど、ライダーの声を取り入れた改良を加えている。そして、手先・足先を防寒するグローブとソックスも、それぞれ「ヒートグローブEX」、「ヒートソックスEX」として大きな進化を遂げた。ヒーターは超極細のカーボンファイバーを使用した完全内蔵式となり、位置がずれなくなったのと同時にフィット感が飛躍的に向上。さらに、全アイテムで電源コードは分離式となり、予備のコードを携帯することによって断線などのトラブルからスピーディーに復帰することが可能となった。
今年の春先、まだ寒い時期にベスウォーマーの製造・販売元のバイオニクスジャパンから編集部宛にヒートグローブEXのプロトタイプが送られてきた。実際に使用して意見を聞かせて欲しいというのだ。こうした製品を改良するための絶え間ない努力がどのような形で結実したのか、さっそくニューアイテムをテストしてみよう。
車輌用コントローラーの登場で
ベスウォーマーの可能性が大きく広がった!
前段で「車輌用コントローラー」の登場がライダーにとって最も大きな改良点だと書いた。それは、このアイテムがベスウォーマーの可能性を飛躍的に拡大したからに他ならない。昨年モデルも電池のスタミナは十分であったため実際には不都合はなかった。しかし、ロングランではやはり心理的に「電池切れ」を気にしてしまい、常に温度設定は必要最低限にとどめていた。だが今年からは、バイクのバッテリーをベスウォーマの電源とする車輌用コントローラーを使用すれば、電池切れを心配することなく長時間使用することが可能となった。また、特に気温が低い時期のライディングでは、身体を可能な限り早く温めたい。こうした場合でも躊躇することなく温度設定を最大値まで上げることができるため、その利便性は格段に向上したと言えるだろう。ベスウォーマーをはじめとする遠赤外線ヒーターを利用した電熱ウェアを使用する際はできるだけ身体にフィットする小さめのサイズを選び、薄手のシャツなどの上に着用することが最大のポイントとなるが、温度設定に自由度が生まれ、少々厚手のシャツの上に着用しても温かさを感じられるようになったというのも車輌用コントローラーが登場したお陰である。
飛躍的に進化した「ヒートグローブEX」にも注目すべきだろう。昨年モデルでは、グローブとヒーターが別体式となっており、配線がやや煩雑で発熱体の位置がずれてしまうという弱点もあった。しかし、今年登場したヒートグローブEXでは極細のカーボンファイバーをヒーターに採用し、グローブ内蔵式に変更されている。ヒーターは断線の可能性が高い掌や甲の部分を避け、指の側面をなぞるように配置。手のひら全体を効率良く温めるように設計変更された。実際に使用したところ、カッと熱くなるようなハイパワーではないものの、指先を保温するのには十分。メッシュなど薄手の素材を組み合わせ、フィット感が大幅に向上しているのもポイントだ。煩雑だった接続コードもネックストラップとカールコードなどを追加することによってスッキリとアレンジ。ヒートグローブEXはインナーグローブとして使用するようになっており、お気に入りのウインターグローブがそのまま使用できるという美点は当然受け継がれている。
車輌用コントローラーの登場によってベスウォーマーは2Way電源となった。これは数ある電熱ウェアの中でもベスウォーマーが持つ強みと言えるだろう。バイクを降りたらすぐにリチウムイオン電池に電源を変更してしまえば、キャンプや釣りなど、さまざまなアウトドア・アクティビティーに対応可能。「ライディング中さえ温かければ良い」というのであれば、他の電熱ウェアという選択肢もあるが、バイク以外のさまざまなシーンで着用したいという希望があるのであれば、ベスウォーマーは最有力候補と言えるのではないだろうか。
さまざまなニーズに対応する
ベスウォーマーのラインナップ
さまざまなニーズに対応する豊富なラインナップと多彩なセット商品の存在は、ベスウォーマーの特長だ。ほとんどのアイテムは補修部品として単品購入も可能。例えば、今年登場した「車輌用コントローラー」は税込3,150円というリーズナブルな価格で販売されており、従来モデルのユーザーも使用できる。こうしたユーザー本位の商品展開もベスウォーマーが支持される大きな理由となっているのだ。
ベスウォーマーNEO
ライダーズセット
ラインナップの中核アイテム。ニューモデルでは発熱体の位置が変更可能となり、利便性アップ。車輌用コントローラーを組み合わせたライダーズセットは1万3230円(税込)。
価格:1万3230円(税込)
ヒートグローブEX
ライダーズセット
極細カーボンファイバーを使用したヒーター内蔵式となり、フィット感アップ。インナーグローブなので愛用のグローブはそのまま使用可能。ライダーズセットは9030円(税込)。
価格:9030円(税込)
アンダーウェア上下セット
さらなる温かさを希望するのであれば、アンダーシャツ&アンダーパンツもオススメ。発熱体が身体に密着するのでより温かい。各種あるが、上下セットのバッテリーセットなら2万9820円(税込)。
価格:2万9820円(税込)
ヒートソックスEX
ライダーズセット
ヒートグローブEXとともに進化したヒートソックスEX。足先まで防寒可能な電熱アイテムは貴重な存在。グローブ同様洗濯も可能。ライダーズセットは9030円(税込)とリーズナブルだ。
価格:9030円(税込)