アウターウェアとして着用できる
電熱ウェアがあればいいのに…
ずっしりと重いウインタージャケットを着込み、それでも寒さに震えながら走る。真冬のツーリング・イメージと言えばこんな感じではなかっただろうか。しかし、近年ではそうした状況も変わりつつあるようだ。その要因のひとつが「電熱ウェア」の普及である。電熱ウェアとは、車載バッテリーや専用バッテリーを電源として稼動するヒーターを内蔵した防寒アイテムの総称である。一般的なウェア類が防風性能や保温性能を高めることによって防寒性能を実現しているのに対して、電気式ヒーターを内蔵した電熱ウェアはそれ自体が発熱し、ライダーの身体を温める。何らかの電源が必要になるとは言え、加熱性能を備えているそれらの威力は従来の防寒アイテムの比ではない。以前は考えられなかったような軽装で真冬のツーリングを楽しんでいるライダーたちが増えたのは、電熱ウェアの普及によるところが大きいのである。
さて、その電熱ウェアだが、実は軽快感を重んじるライダーたちにとっては、なかなか手を出しにくいアイテムでもあった。それは、多くの電熱ウェアがジャケットなどの下に着用するインナーとして設計されたものであったからだ。近年登場したアイテムは感触もソフトで薄手にできているとは言え、インナーである以上アウターウェアとの重ね着が必須。当然、着用するウェア全体の重量は増すことになり、タイトなジャケットがアウターであれば窮屈感が増すのは避けられない。また、ただでさえ装備品が多くなる冬のライディングにおいて、着用するウェアがひとつ増えるのは面倒なものだ。電熱ウェアを着込み、その上からさらにウインタージャケットを着込む。そう考えただけで、敬遠したくなる気持ちもよく理解できる。
「アウターウェアとして着用できる電熱ウェアがあればいいのに…」
そう考えていたライダーも多いのではないだろうか。
従来の電熱ウェアにはない軽快感!
未体験の温かさと軽さが「ヒーテックシリーズ」の特長
実は存在するのだ、アウターとして着用できる電熱ウェアが。「+VENTURE」というブランドで販売されている電熱ウェア「ヒーテックシリーズ」は「ヒートジャケット」や「ヒートグローブ」などのアイテムから構成され、そのどれもが非常に個性的かつ機能的。そのなかでも、ヒートジャケットは大注目の一品だ。何とアウターとして着用可能なため、ツーリングやちょっとしたクルージングに出かけようと思った場合、Tシャツの上にこれを1枚羽織るだけでOKなのだ。バイクに跨りあらかじめ設置しておいた電源コードを接続、エンジンを始動して電源スイッチをONにすれば10秒ほどで十分な温かさが伝わってくる。「瞬間発熱」がキャッチフレーズのヒートジャケットだが、この発熱スピードであれば確かにイライラすることもない。「面倒くさい」「着膨れするのがイヤ」ということで電熱ウェアを敬遠していた向きも、これなら着用する気になるだろう。
さて、肝心なその性能だが、これは編集部で十分にテストさせてもらった。「上半身を温めると、これほどまでに疲労軽減効果があるのか…」と、電熱ウェアの威力を再認識したのだが、ヒーテックシリーズの特筆すべきポイントはその軽さと温かさだ。通常の電熱ウェアの場合、その上からアウターウェアを重ね着するため、ウェア全体としての重量増は避けられない。血行が悪くなりがちな冬場はこれが肩こりなどの原因ともなりうる。しかし、ヒーテックシリーズのヒートジャケットならそうした心配がまったくない。ジャケット単体の重量は僅か500グラム。内部に張り巡らされたファイバー状のヒーターは極薄軽量にできているうえ、重ね着する必要がないので着用感は非常に軽快でソフト。温度は電子式コントローラーにより4段階に調節可能。最高の「MAX」では熱すぎると感じるぐらいなので、この位置は厳寒期の急速加熱用と考えるべきだろう。筆者の場合はどんなに寒くてもその下の「HI」で十分、通常であればさらに下の「MID」が最適だと感じた。また、できるだけ薄手のシャツの上に着用するのが電熱ウェアの基本となっているが、アウターとして設計されているこのジャケットなら多少厚手のシャツなどを着込んだとしても十分な温かさが得られる。スペック上の加熱性能は34度〜54度とやや控えめな数値となっているが、この実力であれば発熱量に不満がでることはまずないだろう。温度設定の幅が広く季節の変わり目から長期間着用できるうえ、温度が逃げやすい襟まわりにも入念にヒーターが仕込まれているので、設定温度が低めでも寒さを感じにくいというのもポイント。これであればロングツーリングから通勤・通学まで、あらゆる用途に適合するはずだ。
このアイテムを着用していると不思議な感覚にとらわれる。とても温かいのに、あまりに軽い着心地のため、冬場のライディングということを忘れそうになるのだ。そんなギャップも楽しい電熱ジャケットである。
ワイヤレスで軽快な着け心地
電源コード不要の電熱グローブ?!
ヒーテックシリーズのもうひとつの注目アイテムが「ヒートグローブ」である。従来の電熱アイテムには電源コードがあるのが相場だったが、このヒートグローブにはそれがない。なんとグローブ本体、左右手首の部分に大容量のリチウムイオン電池を搭載することで、電源コード不要としているのである。実はこのグローブ、借り受けたときはその実力を侮っていた。手首部分に搭載できるほどの小型リチウムイオン電池を見て、発熱量は大したことがないだろうと思っていたのだ。ところが、電池に内蔵された4段階の温度調整を「MAX」位置にセットしたところ、熱いほどの温感が指先を中心に伝わってきた。電源は電池ゆえ連続使用時間は約1.5時間〜6時間とのことだが、グローブ自体がウインター用として十分な保温性能を有しているため、「MAX」の位置で連続使用することは稀なはず。通常はそれ以下の「HI」か「MID」で使用することになると思われるので電池の節約は可能だ。電源を入れるのは耐え切れない寒さの時と割り切ってしまえば、電池はさらに長持ちするだろう。また、甲側の指先が温かいというのもこのグローブの特長だ。例えばグリップヒーターを搭載したバイクでも手に寒さを感じることがあるが、このグローブを併用することで、甲側を加熱し難いグリップヒーターの弱点をカバーすることができる。電源コードがないので、スキーやスノーボードなどのウインタースポーツに転用可能なのも大きな魅力である。
防寒対策の最終手段とも言うべき電熱ウェアだが、今回ご紹介したヒーテックシリーズのヒートジャケット&グローブの最大の特徴は手軽に着用できて十分な温かさが得られること。特に、その軽快な着心地・付け心地に関しては是非とも体験していただきたい一品である。
■価格:¥29,400(税込)
■セット内容:ジャケット×1、Yパワーコード×1、コントローラー×1
■素材:ナイロン100%
■電源:12V(バイク車両本体のバッテリー)
■ヒーター:メタルファイバーヒーターを両腕、胸、首、背中に内蔵
■温度調節:四段階(Max・Hi・Mid・Low)
■設定温度:34℃〜54℃
■洗濯:水洗い(手洗い可)/強く絞らず陰干し
■価格:¥23,100(税込)
■セット内容:グローブ左右、コントローラー内蔵充電バッテリーX2、ACアダプター(充電器)X2
■素材:表地/ナイロン・裏地/ポリエステル
■バッテリー:リチウムイオンバッテリー
■バッテリー重量:115g
■バッテリー容量:7.4V/2200mAh
■ヒーター:メタルファイバーヒーターを指先に内蔵
■温度調節:4段階(最強・強・中・弱)
■設定温度:34℃〜54℃
■使用時間:約1.5時間〜6時間(使用する環境と温度調節によって異なる)
■充電器電源、電圧:100-240V 50/60Hz
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