紀伊半島ツー(後編)

掲載日:2008年08月28日 ツーリング情報局関西エリア    

紀伊半島ツー2日目
那智の滝、熊野の道を行く

前回に引き続き、紀伊半島周遊ツーリングの後編レポートです。2日目は、世界遺産に登録されている紀伊山地へと入っていき、高野龍神スカイラインを走って高野山を目指します。走行距離が約800kmにもおよんだ関西1泊2日ツーリング、いよいよファイナルを迎えるMr.Crazy Tigerを待ち構えていたのは…!

イメージ2日目の朝、民宿にて快適な目覚めです。窓を開けると、ほんのりと潮の香りがして実に気持ちがいい。快晴のもと、簡素だけどきちんとした朝食を摂り、準備万端でツーリングに臨みます。民宿のおばちゃんに別れを告げ、まず向かうは那智勝浦の景勝地「那智の滝」でございます。うむ、ここまで来たら、一応行っておかないとね。僕が那智の滝に来たのは小学生以来ですから、実に20年振り。久方ぶりに見た那智の滝の感想は…ひとことで言えば“神々しい”。静寂に包まれた森林の中から現れるその姿には、なんとも気品のある美しさがあります。迫力で比較するなら栃木県の華厳の滝(けごんのたき)が思い浮かびますが、幻想的な独特の雰囲気にただただ魅了されました。

イメージ那智の滝を堪能し、今度は新宮市を目指します。ここで有り難いのが、今年3月に開通した「那智勝浦新宮道路(※)」です。那智勝浦~新宮間の約9kmを結ぶフリーウェイを使い、一気に新宮市までワープできます。何よりタダってところがうれしいですね。新宮市に入ったら、和歌山の懐へと向かう国道168号線に入っていきます。この国道168号線こそが、もっとも和歌山らしい、いや熊野山地らしい風景が広がっているルートで、非常に楽しく走れました。はるか向こうにはなだらかな山々が広がり、右手には幅の広い熊野川が優雅に流れ、川下りをする小さな舟が見える…。うーん、風雅なり。ついつい時の流れを忘れて、風を楽しんじゃいますね。皆さんトリップして事故らないようにしてくださいね。

※2008年8月現在のGoogleマップでは、那智勝浦新宮道路はまだ表記されていませんので、ルートマップ参照時はご注意ください

不治の病完治を祈願したあと
世界遺産の古道を疾走する

イメージスカーっと国道168号線を走りきった先に姿を現すのが「熊野本宮大社」。ここでは至るところに、日本神話に登場する三本足の「八咫烏」(ヤタガラス)が描かれています。サッカー日本代表のエンブレムにも使われていることで有名ですね。神武天皇の道案内をした神の使いということで、日本代表を世界に導いてくれるようにと採用されたのがその由来。知っていました? 社内では、代表チームを意識したお守りなどが売られていて、商魂たくましいなと感心させられます。日本代表に厳しい目を向ける私は、当然のことながらここで日本代表の決定力不足解消を力強く祈願しました。ま、神頼み以前に、もっとシュート打てってね。そもそも決定力不足というのは…(注:ムダに話が長いので割愛しました)。

イメージ熊野大社参りを済ませ、これまた世界遺産の熊野古道・中辺路(なかへち)へと向かいます。この道は熊野本宮大社から白浜まで突き抜ける横断道路で、信号がほとんどない渓谷を縫うように作られた山間道を、ただひたすら真っ直ぐ走ります。森林浴するには一番いい道だと思いますので、走るなら春~夏シーズンをオススメします。秋に走っても、悪くないかもしれません。途中ある「道の駅熊野古道中辺路」からは、熊野古道の見どころとして知られる牛馬童子のところまで歩けますので、見てみたい方はどうぞ。そのまま中辺路を突っ走っていくと、高野龍神スカイラインへと向かう県道198号線への交差点に差し掛かるので、右折して入っていきます。

イメージ県道198号線をひたすら北上すると、知らないうちに「高野龍神スカイライン」と一緒くたになっています。いつのまに…。ここで大きな注意事項がひとつ。高野龍神スカイラインは全長が40km以上もあるので、突入する前にはガソリンを入れておきましょう。道中、お腹が空いたので「道の駅龍神」に立ち寄り。これといって目ぼしい料理がありませんが(なんちゅう言い草)、切り立った崖の上に立った道の駅の川を見下ろすテラスで食事が楽しめるので、風流な気分を味わってみてください。それにしても、関西有数のツーリングスポットゆえ、休日にはものすごい数のバイクが集まります。さすがは高野龍神スカイライン。

日本仏教の聖地・高野山へ到着
そこにおわすは戦国の猛者たち

イメージ食事が済んだらツーリング再開。ここから山頂の護摩壇山を目指すわけですが、ここから一気に標高があがっていきます。グネグネとワインディングを練り走り、脇を見ればはるか山の上まで来たことを思い知らされる絶景が広がります。道中にある標高表記も、1,100m、1,200mとグングン上昇。ちなみにこのスカイライン、冬場は通行止めとなるのでご注意を。ま、真冬の高野龍神スカイラインなんて極寒の世界ですから、頼まれても走りたくありませんが。そして「ごまさんスカイタワー」がそびえる護摩壇山に到着。高さ1,372mですよ。さらにごまさんスカイタワーに上ると(入場料300円也)、さらに高いところから駐車場や山々を見下ろすことができます。うーん、絶景。思わず下界を見下ろす聖帝のような気分になりますね。

イメージ護摩壇山からの残り約20キロを走り終えると、最終目的地である「高野山」に到着します。僕は高野山にはこれまで何度か来たことがあったのですが、一度も奥の方まで入ったことはありませんでした。これもいい機会だと、今回奥の院まで潜入することにしたのです。すると、随所で驚くべきものを発見しました。それは、戦国時代に天下統一を果たした"太閤"豊臣秀吉と、その秀吉を家来に戦乱の世を駆け回った有名な戦国武将・織田信長の墓です。こんなところにあるとは…まったく知りませんでした。しかも、思っていたより小さいことにまた驚き。織田信長の墓、ウチの家のとそう大差ない…。意外に質素なんですね、戦国武将の墓って。霊的な存在を信じる性分ゆえ、こんな方々に祟られてはかなわんと、そそくさと高野山から退散した狂虎さんでした。

イメージ高野山をあとにし、国道480号線をガンガン走って下山します。高野山への参拝客の多さから、休日のこの道はかなり混雑しますが、入り組んだ細い山道ゆえじっくり進むほかありません。スリ抜けは危険極まりないので、ここはガマンの子です。そうして辛抱の末、和歌山の大動脈である国道24号線に入ります。ここまで来たらあとはフィニッシュ。僕が設定したゴールは「道の駅紀の川万葉の里」。和歌山ツーリングに来ると、ほぼ必ず立ち寄るところでして、紀の川の川縁に広がる芝生でゴロゴロ寝転がれるからなんです。2日間かけて突っ走ってきた体をほぐすには、ちょうどよいです。名物の焼餅などを食べながら、これまでのツーリングルートを思い出して眠りに…、って、まだ家に帰ってねぇよ。

前編・後編に分けてお送りした紀伊半島ツーリングレポート、いかがでしたでしょうか。琵琶湖一周や丹後半島など、ほかにも1泊2日でまわったツーリングはありましたが、やはりというかなんというか、さすが紀伊半島って感じでした。ルート自体はかなりスタンダードなものですが、寄り道できたりコース変更できるところは多数ありますので、これをベースにご自身でオリジナルのツーリング案を編み出してみてください。

スポット紹介

熊野本宮大社

住所/和歌山県田辺市本宮町本宮1100

電話/0735-42-0009

URL/熊野本宮大社

道の駅 熊野古道中辺路

住所/和歌山県田辺市中辺路町近露2474-1

電話/0739-65-0671

開設時間/9:00~17:00

休館日/無休(※ トイレ・駐車場・公衆電話は24時間利用可)

URL/道の駅 熊野古道中辺路

道の駅龍神

住所/和歌山県田辺市龍神村龍神170-3

電話/0739-79-0567

開設時間/9:00~17:00(7月~10月は延長あり)

休館日/12~3月水曜、12月29日~1月1日

URL/道の駅龍神

龍神観光navi(龍神観光協会)

住所/和歌山県田辺市龍神村西376

電話/0739-78-2222

営業時間/9:00~17:00

休館日/土日祝

URL/龍神観光navi

Mr.Crazy Tiger
プロフィール
Mr.Crazy Tiger

1975年生まれ、兵庫県尼崎市在住。トライアンフ 2004 ボンネビルT100所有。「生涯クラシック一筋」をモットーに、フットボール、ロック、阪神タイガースを愛する。常に新しいツーリングルートを開拓しようと、野に山にと走る行動派。

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