ヤマハ SRX250/250F(1984)

掲載日:2015年01月09日 絶版ミドルバイク    

文/柏 秀樹(柏 秀樹のライディングスクール『 KRS 』)

記事提供/ロードライダー編集部

※この記事はカスタムNo.1マガジン『ロードライダー』の人気企画『ミドルバイク流星群』を再編集したものです

YAMAHA SRX250 / 250F(1984)
’80年代前期の数あるニューモデルの中で、スタイルの独自感と安心感を両立させたものは少ない。
SRX250はその数少ない成功例だ。

先進の秀作軽量シングル

ファッショナブルであることと、卓越した走りの性能を持つこと。美的という意味では機能美が先に立つバイクでは、なかなか両立しにくい要素と言える。見たことのないスタイルを作ればそれは未来的などと言われもするが、その未来は誰も見たことがないから、想像も付かない。だが、今回紹介するヤマハSRX250とそのカウル付き、250Fはその未来的なデザインをファッションに結びつけ、成功した例と言える。

デビューは1984年6月。いわゆるバイクブームが落ち着きかけてきた頃だが、バイクに乗ることはオシャレ、という考えも成立していた時代だった。カタログはそれを反映するように、女性ユーザーや、バイクマニアではない男性ユーザーを意識していた。あたかもファッション雑誌にバイク情報を盛り込んだポップなタッチと言えばいいだろうか。ただSRX250/Fは、それだけでない確かな作り込みも得ていた。

この頃は大型二輪免許の取得が難しい時期でもあり、その分250/400ccクラスは国内の主力として魅力的なモデルが溢れていた。250ccクラスではRZ250/R、VT250F、RG250Γなどの高出力・高性能車が中心的な役割を見せたが、ここに投入されたSRXは、そんなハイパワーやハイメカよりも「軽量・スリム・コンパクト」を徹底した作り込みを、先述の新しいデザインに融合させた。この軽量コンパクトは見事に当たり、女性ライダーをはじめ、幅広い層に浸透する。

ちなみに同じヤマハの250ccクラスで当時のベーシックなスポーツモデル、XS250Sは乾燥166kg。SRX250Fは乾燥123kgと43kgも軽く、これは125ccクラス単気筒スポーツ車に相当していた。さらに並列2気筒エンジンを積むXSに対してSRXは単気筒エンジンだから、その分エンジンはスリムでコンパクトとなり、ひいては車体全長もホイールベースも短くできた。SRXはXSよりホイールベースが30mmも短く、これはSRXがキビキビ走るための要素ともなる。

カタログもポップなタッチの中に、きちんとしたメカ解説も行われていた。それを読み解けば、先述のデータを生かしたSRXの「加速性能やトップスピードよりも、ハンドリング性能を重視したコーナリングマシン」というコンセプトは見えてくる。それも熟練のエキスパートライダーではなく、ごく一般的なライダーが安全に楽しめる設定だった。

エンジンはハイメカとしてのDOHC。これはヤマハ初のDOHC4バルブ単気筒、XT250T由来。1軸バランサーによる振動低減で、車体に無理をかけず軽さを維持、ライダーの快適性も確保する。吸気系も強制開閉式と負圧式のふたつのボアをひとつのキャブにまとめたY.D.I.S.(ヤマハ・デュオ・インテーク・システム)をXTから継承し、低速の扱いやすさと中高回転の伸び感とパワーを両立して+5psの32psに。

車体は、シンプルでいながらも近未来的な感覚を漂わせる外観も持っていた。フレームはダブルクレードルながらも外側に見えるように出したワイドデザインで、シャンパンゴールドの塗装仕上げとする。素材はこの頃から一般化した高張力鋼管。この250では丸断面だが、角断面材を使ってこの後1985年に登場するSRX-4/6の習作になったともいえる。タンク形状もフレームを跨ぐのではなく、ダブルクレードルに載せるタイプ。フロントもそれまでの標準だった19or18インチから、レプリカ系を軸に流行し始めた16インチを導入。ただそれは軽快感ではなく、超軽量な割には比較的落ち着いたハンドリングキャラクターという印象を持たせるためで、速度を出した時の安心感が主となっていた。

オフロード車系の単気筒エンジンをロードスポーツ車に流用するという方法はポピュラーではあったが、それを独自のデザインと巧みに組み合わせて、走りもスタイルも好評価を得たモデル、つまりヒット作となったモデルは、意外に少なかった。

このSRX250/Fは、翌1985年に登場しビッグヒットシリーズとなる新しいヤマハ単気筒スポーツ(オーソドックスかつ2バルブエンジンのSRに対して、ニューシングルスポーツかつ4バルブのSRXとなる)、SRX-4/6に先鞭を付けたとも言える。その意味でもSRX250の足跡は、大きかった。

カタログは時代の証明。カタログで知る名車の系譜…

 

カタログにもライト・スポーツとカテゴライズされたSRX250/Fは、単に軽量性をアピールするだけでなかった。外観も伝統的でマニアックなイメージを捨て、軽量性を見た目でも分かるように、誰でも気軽にアクセスできるという作り込みを狙った。だが、気軽と言っても乗ってフラフラ、ヒラヒラしたタッチではなく、単気筒らしいパルス感を味わいながらそれを軽量性と両立させる安心感に満ちた操縦性を確保していた

欧州では高性能な日本車ラッシュの中でも、ドイツを中心にSR500の人気が継続していたが、エントリーユーザー向けにもう少し小さい排気量でのラインナップ充実が望まれていた。そこでヤマハは並列2気筒スポーツのXS250系と単気筒オフロードのXT250Tなどに加え、新しいデザインと乗り味を持たせたSRX250(写真はイギリス仕様のカタログで、カウル付き車をSRX250とした)を欧州市場に投入。シンプルでタフ、そして実用的なモデルを好むユーザーに支持された

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