スズキ GSX400E KATANA/250E KATANA(1982)

掲載日:2014年05月16日 絶版ミドルバイク    

文/柏 秀樹(柏 秀樹のライディングスクール『 KRS 』)

記事提供/ロードライダー編集部

※この記事はカスタムNo.1マガジン『ロードライダー』の人気企画『ミドルバイク流星群』を再編集したものです

SUZUKI GSX400E KATANA/250E KATANA(1982)
名車GSX1100Sカタナのデザインを、スズキはミドルクラス2気筒車でも展開。
新しいスズキ・スタイルへの挑戦がそこにあったのだ。

派生、カタナ・スタイル

GSX1100Sカタナこそカタナだと信じ、熱狂するカタナファンは今なお多い。その偉大な名前やサブネームを使って各排気量別にイメージやスタイルをアピールする手法はスズキに限らないが、今回のGSX400Eカタナ/250Eカタナもそのひとつだ。ちなみにカタナの名が付く機種はほかにGSX1000S、GSX750S、GS650G、GSX400S、GSX250Sなど。国内外のクルマやスクーターまで含めると、実に12機種以上に及ぶ。

その一角を成したGSX400Eカタナ/250Eカタナは1982年前期に登場した。’82年といえばバイクブーム真っ盛りで、400ccクラスといえばすでに4気筒が当たり前の時期になっていた。

大型二輪免許取得が困難な当時では、400ccクラスで最高ポテンシャルとメカニズムを持つバイクへのニーズが高かった。それ故、この2機種は大人しいスタイルと伝統的な並列2気筒エンジンという作り込みのためヒット商品にはならなかった。

だが、不人気作イコール駄作と限らないのが世の常。実際に両車の走行性能は必要にして十分以上。ライバルはもちろん、例えばGSX400Eは’81年登場の4気筒スポーツGSX400Fに劣らぬ性能だった。両車ともDOHCであり、TSCC(ツイン・スワール・コンバスチョン・チャンバー)と呼ぶ2渦流吸入式のシリンダーヘッドを採用するが、最高出力がわずかに低いGSX400E(400Fは45ps、Eは44psだった)の方が実質的には速く走れた。

低回転から大きなトルクが引きだせる2気筒の方が、立ち上がり加速が優れていたからだ。サーキットならまだしも、勾配のあるタイトコーナーの続くワインディングロードではGSX400Eに優位性があった。

だが、日本では先の理由で4気筒車に人気が集中。2気筒車は利便性とコストパフォーマンス優先の海外市場で支持された。ともあれ、並列2気筒180度クランク・エンジンならではのリズミカルな鼓動感と2気筒特有のトルク感をともなったシャープな吹き上がりがGSX400Eカタナだけでなく、250Eカタナでも存分に楽しめたのは事実。

この後にスズキに限らず、どのメーカーでも並列2気筒ロードスポーツ車は不遇の時代を迎えることになるのだが、この2機種は派手さはなかったものの、スズキならではのデザイン・アプローチがなされていたことを改めて認識しておきたい。

それは「カタナ」というネーミングに端を発したスズキならではのアピールだった。そもそもGSX1100Sカタナを検討する段階でスズキは西ドイツ(当時)の工業デザイン会社「ターゲットデザイン」へデザイン案を依頼。その具体化1番手となったのがGS650Gだった。

2番手が衝撃デビューを果たした1100カタナ。そして3番目に、同じ’82年型でGSX1100Eが具体化。このデザインを400/250の2気筒カタナに生かしたのだ。

当時のスズキは日本の4スト最後発メーカーとしてのハンデを乗り越えるべく、世界トップクラスの高性能と信頼性のGS750/550/400シリーズを前作としてリリースし、他社に引けを取らないポテンシャルをレースという最高のシーンで証明し続けた。

だからこそ、次は4ストエンジンのスズキではなく、一気に「デザインのスズキ」としてアピールしたかったのだ。GSX1100Sカタナの名を他機種にも多く採用したのは、「カタナ」こそはスズキの4ストスポーツのプライドを込めた特別なネーミングであったからだ。

カタログは時代の証明。カタログで知る名車の系譜…

GSX400Eカタナ/250EカタナのデザインルーツはGS650Gのストリーム・フローライン。高性能と信頼を4ストでも勝ち取ったスズキの、伝統スタイルからの脱皮だった。外装類共通だが400は前輪Wディスク・19インチ、Wクレードルフレーム。250は前輪シングルディスク・18インチ、セミダブルクレードルを採用

GSX400Eカタナ/250Eカタナは前作・初代GSX400E/250Eが角張ったデザインであったのとは逆に、上記のストリーム・フローライン採用で、複雑な曲線を取り込みながらの流麗なデザインもアピールポイントだった。メーターナセルには現行車(GSR250やV-STROM650など)にも装着され好評の、ギヤ・ポジション・インジケーターも初代から継承。アナログ式燃料計も組み込まれる、豪華さもウリだった

スズキは、4気筒400ccではGSX400Fの後継車として’82年にサイクロンマフラー装備で48psの最高出力とした、GSX400FSインパルスを発売。そうした4気筒車販売激化の中でも、スズキは2気筒のGSX400Eと250Eにビキニカウル装備のカタナを’83年に発売。キャストホイールデザインとメーターナセルを変更。GSX250Eカタナの出仕様はGSX250ES。400の輸出仕様はGS450Eとカウル付のGS450Sの2機種があった

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