ホンダ CBX400F/INTEGRA(1981)

掲載日:2014年02月07日 絶版ミドルバイク    

文/柏 秀樹(柏 秀樹のライディングスクール『 KRS 』)

記事提供/ロードライダー編集部

※この記事はカスタムNo.1マガジン『ロードライダー』の人気企画『ミドルバイク流星群』を再編集したものです

HONDA CBX400F/INTEGRA(1981)

かつてのCB400フォアに負けない美しいX字配置のエキパイを見せながら、レースで培ってきた最先端技術を惜しみなく投入。美とパフォーマンスの高度な結晶が「クライマックス!」という表現を生んだ。この表紙をめくるとコーナリング中の天才ライダー、F・スペンサーも現れる

DOHC4気筒400cc戦線で最後発となったホンダは、RCB耐久レーサーとNR技術を集大成。
入魂の一作、CBX400Fを生み出した。

最高技術と品質で勝負!

パッと見ただけでも、走り出してもライバル他車とは明らかに違うオーラがそこにあった。1981年にデビューのCBX400Fは高い質感とハイメカの香りを放ちながら、走る・曲がる・止まるの3要素でも、ライバルとなるカワサキZ400FX、ヤマハXJ400、スズキGSX400Fという先行3車にはない独自の切れ味を見せつけた。

ホンダは’74年末にCB400フォアを発売してナナハンクラスだけではなくミドルクラスでも直4スポーツの先駆者となった。しかし、’70年代後期になるとその生産を中止。新戦略として並列2気筒のホークシリーズと縦置き水冷V型2気筒のGLシリーズを投入した。これによりワールドワイドなミドルクラス強化戦略には成功していた。

一方、この生産中止とほぼ時を同じくして日本国内では2輪車の交通事故増大により免許制度が改正され、大半のライダーは400cc以上の大型バイクに乗ることが出来なくなった。ハイパワー&ハイメカで威風堂々のナナハン4気筒に乗ることがままならなくなった日本のライダーは、ナナハンと同じ4気筒のヨンヒャクがほしくてたまらなくなったわけだ。

これに応じ’79年に登場したZ400FX以降、XJ400もGSX400Fも高い人気を集め、4気筒ヨンヒャクがバイクマーケットを拡大させつつスポーツバイクの中心になっていく、という日本独自のバイク文化ができ上がったのだ。

こうした背景の中でCBX400Rはホンダファンの期待を一身に背負って、400ccクラスではDOHC4気筒最後発のバイクとして’81年10月の東京モーターショーに参考出品車として登場し、その翌月の11月に正式発売されたのだった。

そのCBX400Fは発売されるやいなや、ダントツのセールスを記録し続けた。理由はいろいろ考えられるが、ライバルにはないCBX独自の設定や技術が投入されている点がまず見逃せない。

認証上は「オイル・リザーバータンク」と称したオイルクーラーを国産車で初採用。CB400フォアに勝るとも劣らないX字を描く美しいクロームメッキのエキゾーストパイプ。フロント・セミエアサス、特殊鋳鉄材使用のインボード型ベンチレーティッドフロントディスクブレーキ、スタイリッシュなメーターまわりやジュラ鍛のセパレートハンドル&チェンジ・ブレーキペダルなどなど……。

そして豪華な装備以上に、何よりもホンダらしく低振動のエンジンから生まれる低中速回転域のパワーの充実により抜群の扱いやすさを発揮して、ここから生まれる実質的な速さが誰にも実感できた。リッター当たり120馬力となる48馬力を発揮しながら燃費はCB400フォアよりも10%以上改善した。タペット調整の容易なロッカーアーム式DOHCをホンダで初採用し、ムービングパーツの徹底的な軽量化も押し進めた。楕円ピストンのNRや耐久レーサーRCBで培ったさまざまな技術を惜しみなく投入したものだった。

これにより、あらゆる回転でもレッドゾーンまで一気に吹き上がるパワフルなエンジンが、ビッグパワーに慣れているはずのナナハンライダーさえも虜にした。ナナハンには出来ない小気味よいエンジンの軽快感が前面に出ていたのだ。しかも、軽量性を誇るホイールと組み合わせたリンク式リヤサスペンションの採用で、それまでの400クラスでは成しえなかった安心感をともなう抜群の乗り心地を見せつけたのだった。

ライバル3車の前19、後18インチのキャスト式ホイールに対して、CBX400Fはブーメラン型コムスターと呼ぶ18インチホイールを前後輪ともに採用。モノサスとの組み合わせによってカーブではツインショック式リヤサスのライバル車にはできないマスの集中と優れた路面追従性によって、抜群のコーナリング性能を発揮した。

他社よりも遅れてDOHC4気筒400ccスポーツを発売するなら性能はもちろん、ライバルにはない独自性を打ち出す。ホンダのプライドを賭けた同社技術の集大成であった。

そんな、ライバルにはない独自性はさらに続いた。フレームマウント型ハーフカウル装備のCBX400Fインテグラが同時開発の550ccバージョンとともに登場。言うなれば今に至る、時代を先取りしたこのツーリング仕様だったが、今では超レアな存在となっている。

カタログは時代の証明。カタログで知る名車の系譜…

リヤのショックユニットはエア圧調整可能型。そのプロリンク式モノサスおよび世界初の超軽量中空アルミキャスト式スイングアームを採用。フロントサスは4段階調整可能なトルク応答型アンチダイブメカTRACを装備した。前後18インチ軽量ホイールと相まって優れた路面追従性と安心かつ、軽快なコーナリング性能を発揮

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