『カスタムの真面目な話』

アドバンテージ流カスタム(ハイカムの勧め) #06

掲載日:2014年08月20日 タメになるショートコラム集カスタムの真面目な話    

Text/Noboru NAKANISHI ( ADVANTAGE )

ハイカムへ交換する際に考慮すべき最も重要な物は、それらの周辺パーツです。特にカムチェーン(タイミングチェーンとも言います)は重要です。カムチェーンには通常のタイプとサイレントチェーンの2種類があります。4輪などでは、カムチェーンもありますが一時はベルトが使われていた事もありました。それが、確か20年ほど前、アメリカで20万kmほど持たせなければならないとの理由から、30万kmほど持つカムチェーンに戻ってきています。当時のタイミングベルトの寿命は10万kmほどだったと思います。4輪のカムチェーン(タイミングベルト)の場合、カムシャフト、オイルポンプ、ウォーターポンプなどを駆動させるために使用されています。

2輪のカムチェーンは、初期伸びに気を遣う必要があります。カムチェーンの異常(異音)の見つけ方は、アイドリングが不安定な時やアクセルオフ時、走行中のアクセルを戻した時に異音が出やすい傾向があるので、走行中にアクセルを戻して明らかに音がしていたら交換した方が良いでしょう。音の種類としては“ガラガラ”という感じです。アクセルを開けた時、つまり回転数を上げた時は、回転方向にカムチェーンが引っ張られるので音は消える傾向にあります。“カチカチ”と少し甲高い音であれば、ほぼバルブ関係からのメカニカルノイズだと思われます。

カムシャフトを交換するのであれば、カムチェーンは同時交換と理解した方が良いです。カムチェーンはテンショナーで張られており、手動式や自動式、油圧式、その他複数のタイプのテンショナーが存在します。自動テンショナーは「自動」とは言っても常にロッドを押し出してカムチェーンを張ってくれるわけではなく、段階的なノッチの駒の分だけカチカチと進んでいく仕組みです(逆戻りはしません)。トラブルは何らかの理由でうまくノッチが進まず、カムチェーンが張られないことにあります。また、ドライブチェーンと同じくピン部分が焼き付きや変形によってきれいに伸びなかったり、回転運動に支障をきたす事が最もまずい状態です。

カムチェーンが伸びるとカムのタイミングを遅らせてしまい(遅角)、問題を引き起こします。もっと簡単に言うと、カムチェーンの伸び(遊び)が大きくなってカムの回転が遅れ、バルブの開閉タイミングが崩れ、その結果エンジンのレスポンスなどが悪くなり、エンジンの始動性も悪くなります。

過去にモトクロスの新車を慣らし運転から引き続き5時間ほど走らせた後、チューニングのため全バラしたところ、カムチェーンが3mm以上も伸びていて驚いたことがありました。エンジンオーバーホール時には、必ず交換したい部品ですね。

ハイカムを購入したら、カムチェーン、バーニャタイプのカムスプロケット、カムチェーンスライダーなどの各消耗品、そしてテンショナー関係は、同時交換が無難だと思います。

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