『カスタムの真面目な話』

アドバンテージ流カスタム(スイングアームの勧め) #02

掲載日:2014年05月28日 タメになるショートコラム集カスタムの真面目な話    

Text/Noboru NAKANISHI ( ADVANTAGE )

アドバンテージが世に送り出すワークスクオリティのパーツは、そのままストリートやレースシーンで皆さんの期待に応え、きっと所有感も満たしてくれる事でしょう。

スイングアームの完成までには、職人の技と、三次元5軸制御のマシニングで各パーツを仕上げ、最新の技術は勿論、日々進化する各関連パーツの状況も踏まえながら作られます。それによってスイングアームに求める性能や考え方、方向性も随分変わってきました。

製品化し始めた当時は“高剛性”に着目しました。現在は剛性面を多角的に判断し、剛性面を見直しています。高剛性過ぎるのも、一長一短があるのです。スイングアームというひとつのパーツに対する考え方を、高剛性一辺倒ではなく、各部分に必要な剛性を持たせた上で、縦方向により剛性を持たせるように進化してきました。

スイングアームは、非常に手間暇をかけないと作れません。それは各工程毎に管理時間を設け、“加工しては寝かす”を繰り返し、最終ピボット部分の加工は、最終加工から約1ヶ月以上経ってから最終仕上げを行ないます。良い物は手間暇を掛けないと出来ません。製品を作って数日で完成という話もよく聞くのですが、それでは残留応力が抜けず、加工後に歪が生じてしまうのです。この部分を軽視すると、その製品自体に評価は与えられません。それほど重要な事なのです。そういった事情で、アドバンテージではスイングアームを1本完成させるのに、約2ヶ月以上かかっています。

この“寝かす”という作業は、商売的に言えば非効率でとても見合うものではありません。しかし我々は創業の理念として本物だけを作り出し、世に送り出しています。それらを求めてくれるショップやユーザーの方々、レース関係者を含め、供給する側の責任として、製品化を続けています。

スイングアームの仕事はフレームに次いで重要だと考えています。勿論、車体剛性を上げる為に適度なしなりを持たせる事も、かなり重要なポイントです。このしなりを求めて各メーカーは膨大な数のスイングアーム形状や加工方法、製品のデザイン、素材形状や厚さや焼入れ方法なども考え、しなりを得るわけです。

ピポットベアリング部分の加工や完成から数週間後の加工面の精度が100分の1mmまで高められたスイングアームこそ高性能パーツであり、装着されたマシンは走行安定性が増し、ストリート&ワインディングでのコーナリングはマシン挙動が驚くほど変化する事でしょう。アドバンテージのスイングアーム交換は、究極のフレームチューンと言えるのです。

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