『カスタムの真面目な話』

アドバンテージ流 Z系改造論 #05(ケーブル編)

掲載日:2014年03月12日 タメになるショートコラム集カスタムの真面目な話    

Text/Noboru NAKANISHI ( ADVANTAGE )

前回は、次々と40年を迎えるZ系の専用パーツの話をしましたが、長く乗り継がれるバイクは本当にごく一部しか存在しません。そういう意味では、カワサキは素晴らしいメーカーですね。このZブームもかれこれ20年以上続いていますから。

アドバンテージでは、パーツの製品化を決める際にいくつかの条件があります(日本製であることは勿論です)。

①作ろうとする製品が全て出尽くしていて最後発である事(ライバルが出尽くしてこそやり甲斐があります)

②難しい物(笑)

③サスペンション

④トラクションに関係する物

⑤ハイパフォーマンスになる物

これらの条件を基本に開発しています。

そんな中で、クラッチケーブルとスロットルケーブルも何点か製品化してます。みなさんが「バイクに乗りたくない」という衝動に駆られるのは、どのような瞬間でしょうか? 私の場合、断然クラッチワイヤーなどの操作系が“重たい”と感じた時です。もう乗る気がしません。腱鞘炎になる方も少なくありません。この様な事態は本当に避けたいものです。

ケーブルで重要なのは、何と言ってもインナーケーブルです。高密度の“複より”(7×7=49)にしたステンレスケーブルを使用しています。しかしステンレスケーブルは、スチール製のケーブルに対して30%や50%もフリクションが軽減されたり、強度が上がることはない、という事は覚えて頂きたい事実です。

新車のオートバイに跨った時、まずはクラッチを握ったりしませんか? 街中に出た時や停止する時に、「新車はなんてクラッチが軽いんだ」と思いませんか? 新車時のスチールケーブルには、それ程のポテンシャルがあるのです。そこを安定させながら、その状態を少し上回る性能をより安定的に、継続的に使用可能とするのが、アドバンテージの真の狙いです。

ケーブル自体は高張力加工を施し、表面特殊加工で滑らかにします。この高張力加工とは、簡単に言うと1本のピアノ線を引き伸ばした状態です。伸ばす事で鍛造のような強度が生まれます。勿論引っ張り過ぎると強度が落ちるので、ここのサジ加減は企業秘密です。これらの効果はワイヤーの伸びに対して非常に有効に機能します。“伸びにくい”というのは最も重要なことなのです。

また、インナーに特殊ポリプロピレンを使用し、他メーカーとは少し違うアプローチをしています。一般的なメーカーではテフロンを使用しますが、テフロンは耐久性や耐摩耗性に対して、あまり良い結果が出ません。滑りは良くなりますが、柔らかいためケーブル内で擦れて一気に摩擦抵抗が大きくなります。これが致命的だと私は考えております。少しでも削れてしまえば、当社ではもう使用出来ないと判断するくらいです。次回はもっと確信部分をお話ししましょう。

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