ブレーキチューニングの勧め(最終回) コラム『カスタムの真面目な話』

『カスタムの真面目な話』

ブレーキチューニングの勧め(最終回)

Column #334  掲載日:2013年11月27日

Text/Noboru NAKANISHI ( ADVANTAGE )

コラム『カスタムの真面目な話』 

今回は、ブレーキに求められている要素についてお話ししましょう。

 

オフロードもオンロードも、ブレーキは重要な機能ですね。しかし両者では少し違うアプローチが必要になります。オンロードの場合、近年GSX1300R HYABUSAやZZ-R1400に代表されるようなハイパーツアラーには、安定したパフォーマンスを安全に長期間使用できるように設計します。モトクロスなどではサスペンションの役目を持たせたり、厚さわずか3mmほどで全日本選手権を全戦使用しても余りある耐久性と軽量化を織り込みます。もちろん、軽量化はロードレースなどストリートでも重要なファクターです。ここで単純なパフォーマンスと耐久性の話を、素材学以外で簡単にご説明しましょう。

 

φ300のディスクローターがあるとします。それをφ150にします。当然軽くなります。50%の軽量化です。そうなんです。それが体力が削がれた事を意味しています。“体力”(パフォーマンス+熱量)も半分に削がれました。単純にこういう事なのです。軽く、パフォーマンスも落とさず、耐久性のあるブレーキを作る。ここが難しいところです。

 

例えば丸い穴。この形状や位置にも、大きくパフォーマンスを損なう原因があります。大きな穴を開ければ軽量化は可能でしょう。しかし熱の入り方に影響しないでしょうか? 大きな穴を開けると問題が起こるなら、1mmの穴をびっしり開けたらどうでしょうか? いずれも問題は発生します。つまり穴の大小では無く、如何にバランスよく熱を通し、放熱させるかが最大のポイントなのです。

 

アドバンテージでは、サーキットテストを行い続けております。国内では、全日本選手権ロードレースは全戦テストの段階から帯同しており、モトクロスレースも一部カバーしております。全く違う条件の差が、今日のダイレクトドライブディスクローターを育て上げました。平成3年から20年以上もアップデートを続けています。それはもうライダーにすら分からないレベルの問題も多く、目に見えない部分でもアップデートを続けてきました。結果として今の Red Bull KTM Ajo に採用されたと思うと、感慨深いものがあります。こうして安全性やパフォーマンスは飛躍的にアップして行くのです。

 

「この世界ではこれで良い」とか、「これが一番」などという事は有り得ませんから、常にニュートラルなスタンスを心がけているのです。

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