『カスタムの真面目な話』

アドバンテージ流カスタムパーツ造り(ADVANTAGE F.C.C.) #01

掲載日:2013年10月09日 タメになるショートコラム集カスタムの真面目な話    

Text/Noboru NAKANISHI ( ADVANTAGE )

今回は、アドバンテージで販売しております 『ADVANTAGE F.C.C.』 いわゆる “トラクションコントロール・クラッチキット” についてお話いたします。

クラッチキットではありますが、“強化クラッチ” とは異なります。なぜなら、“トラクション” に注目し、地面にパワーを伝える事がコントロールできる、フリクションを採用してセッテイングしているからです。クラッチスプリングを強く設定すると、路面に急激な衝撃が伝わり、バイクを外に押し出す力が働きます。アドバンテージが 『F.C.C.』 とコラボレーションするうえで、そこを最も改善したかったのです。そんなクラッチに対するアドバンテージのアプローチを、数回にわたりお話をさせて頂きます。

近年、クラッチのフリクションプレートは、コルクの時代からペーパー系の摩擦素材が増えています。コルク製摩擦素材の良いところはタッチでしたが、それ以上にデメリットがとても多いものでした。耐久性が低かったり、唐突に繋がったり、エンジン内の環境に性能が大きく左右されるなどです。近年は少なくなりつつありますが、海外製品を含め、圧倒的に多く使用されています。

そこで、アドバンテージは国産車両を1台ずつ再検討し、『ADVANTAGE F.C.C.』 を販売しようと考えました。着目点は、フリクションのコンパウンドからスプリングの再設計、容積の再検討等々、全ての見直しです。

いつもの様にコストは無視です。納得のできる物を再構築したいというのが始まりです。“常に2輪は転倒するもの” と、以前も書きましたが、クラッチでもそのリスクを幾分か軽減できるからです。

ハイパフォーマンスの物を一般ライダーが知らずに体感できることがアドバンテージ流です。一般的な強化クラッチと銘打って販売してる物の中のほとんどが、唐突にクラッチが繋がってしまう事によりタイヤのホッピングを誘発してしまい、結果的に転倒という事態を招く可能性があります。理由としては、スプリングの強度を上げ過ぎている、クラッチのセット長の不良などが大きいと思います。つまり、セット長やミッションに対する影響は考えられてるのか? 路面に対する追従性はどうなのか? 安全性や耐久性は確保できているのか? 結果的に基本設計を見て作ってるのか? という事です。

また、温度上昇によりクラッチが切れなくなるという現象が起こることもあります。こうなってはクラッチの意味は半分以上無いでしょう。大前提として、アドバンテージでは滑りに対して(これらのキットを使用する場合)、添加剤の類は使用しません。エンジンオイルには純正か MOTUL を推奨しています。添加剤に頼らないことが、これらを生かす絶対的条件を守れるスタートラインだと思ってください。単純に、アドバンテージのクラッチのパフォーマンスを体感していただくための、最良の方式です。

次回は、実際にどの様な物がクラッチを構成しているか? さらに深い部分をお話ししたいと思います。クラッチに対してかなり違った角度で、多方面からの見方が出来ると思いますので、アドバンテージのクラッチに対するアプローチをどうぞお楽しみに。

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索