『ウェア屋さんのひとりごと』

夏の耐久レースには吸水システムが必須!

掲載日:2013年06月27日 タメになるショートコラム集ウェア屋さんのひとりごと    

Text/Junichi FUJIMOTO ( RS TAICHI )

さあ、いよいよ夏の祭典とも言える鈴鹿8時間耐久レース、いわゆる “8耐” の開催まで、あと1ヶ月前となりましたね。8耐は2~3名の選手が1台のオートバイを交代で走らせ、8時間で走りきった距離(周回数)を競うというルールでレースが行われます。8耐に参戦出来るのは、国内だと “ロードレース国際” というライセンスを所有する選手で、参加資格の無い “ロードレース国内” の選手は土曜日に決勝が行われる4時間耐久レースに参加することができます(詳しいルールについては割愛しますが)。ちなみに私は “国内” なので、“4耐” であれば参加できますが、耐久ウィークは1年間で最も多忙なレーシングサービス。とてもレースなど出来る状況ではありません。

その8耐ですが、長丁場を走るという以外に重要なのが “暑さ” への対策です。一般的なツーリングレベルであれば息が上がる様な事も無く、走行風を受けることで少しは涼しさを感じることもできますが、レーシングスピードとなればそうもいきません。まず、ストレートでは空気抵抗を抑えるため、カウルの中に目一杯伏せるので、300km/h 近い最高速付近でも、風を感じることは殆どありません。コーナリングセクションでは車体を右に左にコントロールし、1,000cc のエンジンがもたらすフル加速や、目のくらむ様なフルブレーキなど、周回数を重ねるごとに体温はドンドン上昇し、選手達の体力を容赦なく奪っていきます。

そんな疲労を少しでも抑えて集中力を維持するために、走行中の水分補給は欠かせない対策のひとつとなりました。では実際にどの様な仕組みになっているのでしょう。と、メーカーによって方法は微妙に異なりますが、何ももったいぶる様な仕組みではありません。ここ10数年程の間でレーシングスーツには標準的な装備となった背中のコブ、通常はこの中にキャメルバックという袋状の水タンクを仕込み、チューブを通じて走行中に水分補給を行うというものです。

ただこの吸水システム、国内のレースでは8耐や4耐以外で使用している選手は殆ど居ないので、夏の耐久レースならではの風物詩? と言えますが、世界選手権等で気温の高い地域でのレースなら、スプリントレースでも使用している選手を見かけることは珍しくありません。レースの画像や映像で、背中とヘルメットを繋ぐ様なチューブが見えたら、その選手は吸水システムを使っていると思って間違いないでしょう。

この様な吸水システムは一般道で必要とは思いませんが、喉が乾きやすい方や熱中症になりやすい方であれば、気温が高い時期のツーリング等で試してみると、意外に効果的かもしれませんね。

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