『ウェア屋さんのひとりごと』

レーシングサービスのお仕事(レーシングスーツ)

掲載日:2011年07月07日 タメになるショートコラム集ウェア屋さんのひとりごと    

Text/Junichi FUJIMOTO ( RS TAICHI )

このコラムを書いている週末は、全日本ロードレース選手権が開催されている“ツインリンクもてぎ”にレーシングサービスの仕事で来ています。ウェア屋さんがレーシングサービス? はて…? という方もいらっしゃるかと思いますが、全日本の様に大きなレースでは、チームのメカニックやヘルパー以外に、タイヤやパーツなどのハード面と、スーツやヘルメットといったソフト面のメーカースタッフが選手達のレース活動をサポートしています。そんなレーシングサービスについて、実際の現場ではどんなことをしているのか、私たちレーシングスーツのメーカーを例にお話していきましょう。

全日本選手権は基本的に、金曜日から練習走行が行われ、土曜日に予選(クラスによっては決勝も)、日曜日に練習走行~決勝レースといった日程で開催されますが、開幕戦や8耐などの様に木曜日から走行が始まる場合もあるため、その日程に合わせてサーキットに入ります。サーキットに到着したら、指定された場所へブースの設営を行い、事前に修理の依頼などで選手から預かっているスーツがあれば、早めに選手達へ届けて練習走行に備えます。本来であれば到着して早々から転倒…という事は無いのですが、「先週のテスト走行で転んじゃいました~」とか、ワッペンの取り付けなどを依頼されることが多く、現場に着いた早々から大抵バタバタしています。開幕早々のレースでは特に…ですね。

走行が始まり、練習走行から予選へとスケジュールが消化され始めると、やがて “転倒” というアクシデントが発生します。スーツの安全性を維持するという意味で破損した箇所の修理は必要なのですが、スポンサーを得て参戦しているライダーにとってはスーツ自体も広告塔となるわけで、たとえ安全性に問題が無くても、スポンサーのロゴがボロボロになった状態で走行を続ける訳にはいきません。私たちにとっても、できるだけ綺麗で格好良いスーツを着てもらいたいという思いがあるので、ダメージを受けたロゴマークの交換やスーツ自体のタッチアップ(ペイント)などを行い、損傷の程度によっては新品と見間違う様な修理を行う場合もあります。

単純に言えば私たちは “現場の修理屋さん” といった立場ですが、それ以外にも選手から製品に対するコメントを得て製品の改善や開発にフィードバックし、より良いものづくりに役立てていきます。ツーリングとレーシングは一見すると全く異なるカテゴリーですが、安全性はもちろん、動きやすさや通気性などの快適性は、より良いライディングを行う上で非常に重要な要素であることに変わりはありません。いま、みなさんが使用されているライディングウェアにも、レーシングシーンからのノウハウが活かされているのです。ちょっと身近な感覚で、ツーリングを兼ねてサーキットへ遊びに行ってみてはいかがでしょう!?

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