『ウェア屋さんのひとりごと』

“防水”についてのおはなし

掲載日:2011年06月02日 タメになるショートコラム集ウェア屋さんのひとりごと    

Text/Junichi FUJIMOTO ( RS TAICHI )

日本列島も梅雨の時期に入ってしまいましたね。個人的に雨天のライディングは嫌いじゃありませんが、それも装備がシッカリしていて、快適なライディングが出来ればこそ。今回は防水についてのお話ですが、“防水”と“非防水”って、どこがどう違うのでしょう。

ウェア(今回は特にジャケット)の防水構造には大きく分けて2種類あります。ひとつはウェアの内部(表地と裏地の間)にフィルム状の防水ライナーを装着する“ライナー防水”。もうひとつは表生地の裏面に防水コーティングと、縫製部に目止めを施した“目止め防水”に分かれます。ほとんどの製品は後者の“目止め防水”を採用していますが、その理由として、表地に完全に水が浸みてしまうライナー防水に対し、目止め防水は表地そのもの(実際はその裏面のコーティング)で浸水を阻止する分、高い防水機能を備えるためです。

それではこの“目止め防水”と、防水とは呼べない“非防水”との生地や構造がどう違うのか、“目止め防水”を例に少しだけ突っ込んでみましょう。前々回『ライディングウェアっていったい…』で触れた“一般衣料より強度が高い”の理由ですが、生地の厚さという要素に加え、裏面にポリウレタンなどのコーティングを施しています。また、防汚を兼ねて表面にはテフロン等の撥水処理を施しているため、これらの相乗効果により“非防水”でも一時的で少々の雨なら凌ぐことが出来ます。

ただ、路面からしぶきが上がる様な雨ともなれば、そうはいきません。ウェアに付着した水滴は風圧に押さえつけられて浸みこみ、生地同士を縫い合わせた針穴や隙間はもとより、ファスナーの間などからもドンドン浸水してきます。

“防水”と呼ばれる生地では、表生地に風圧を受けても浸みこまない耐水圧を備えたコーティングと、縫い合わせた部分には“シームテープ”で目止め処理を行います。また、フロントファスナー等の開口部には“雨返し”と呼ばれるフラップによって、雨水がファスナーまで到達しない構造になっています。これらは防水ウェア、レインウェアに共通した構造となっています。

と、非常に駆け足での説明になりましたが、“防水機能”の有無によってウェアの作りに大きな違いがあり、用途によっても必要な機能か否かも変わってきます。機能を選択する基準については前回、軽く触れているので参考にしていただくか、もっと突っ込みたい方は、RSタイチオフィシャルサイトからお問い合わせいただければ、可能な限りでお答え致します。

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