『バイク乗りの勘所』

減速比を変えてみる

掲載日:2015年05月26日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

今現在、私の愛車はバラバラである。今年に入ってまもなく、エンジンを降ろし、クランクケースを開けたままなのだ。一時は、このまま長期放置~代車入手~再起断念…という最悪の事態もちらついたが、暖かくなり、ガレージでの作業が苦にならなくなったあとは、来るべき復活の日に向かって、少しずつ、各部の点検と手入れ、消耗(交換)パーツの購入、ケミカル類や特殊工具の調達、組み立て作業のシミュレーション…といった準備を進めている。

バラした目的は、エンジン内部のギアを特注し、それに交換して減速比を変えるためである。駆動側37/従動側48のギアセットを40/44に変更し、もともと3,000rpm時に得られた車速を2,500rpm強で、5,000rpm時に得られた車速を4,200rpm強で得られるようにするのが狙いだ。これにより、振動緩和、燃費の改善、スロットルレスポンスの鈍化による乗り手の疲労の低減など、主に高速道路を一定速度で走り続けるような場合に多くのメリットがあると考えている。

クランクケースを開け、ギアセットの特注までしなければならなかったのは、私の愛車がシャフトドライブだからだ。一般的なチェーンドライブなら、前または後ろのスプロケットの歯数を変えるだけで減速比の変更が可能だし、特注などしなくても、歯数違いの前後スプロケットがアフターマーケットパーツとして販売されていたりする。場合によってはチェーンの交換や調整が必要になるが、そんなのは日常整備の延長線上にある簡単な作業にすぎない。

そもそも、国産の大型スポーツバイクは、シフトダウンをせず、スロットルを開けるだけで得られる追い越し加速性能を重視するあまり、平和なツーリングにおける心地よさを犠牲にしているような気がする。現状でも充分に心地よい…という反論はあろうが、その良さをさらに伸ばす方向のチューニングがあってもいい。ダメなら元に戻せばよいだけだし、逆方向(減速比を低くして加速性能を高める方向)にするのも、チェーンドライブ車なら簡単だ。

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