『バイク乗りの勘所』

動きやすくしてから動かせ

掲載日:2014年05月19日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

前回のコラム『下手ほどタイヤを端まで使う』は、狙いどおり、大反響を呼んだ。この原稿を書いている木曜午前の段階で、フェイスブックの“いいね”が1,353、ツイートが231。いずれも、これまでの私のコラムの中では群を抜いた数字である。編集担当者からの連絡によると、フェイスブックでは賛否両論あるそうだが、それもまた想定範囲内のこと。ともかく“タイヤネタは関心が高い”という、以前からの私の予想を裏づける結果となった。

地元のバイク仲間と集まって、いろんな話をする中で、みんなの食いつきが良いのも、やはりタイヤである。そして、タイヤと関連の深いライテクあたりが上位に来る。…というわけで、たまにはライテクの話をしてみよう。とはいえ、人様にライテクを語れるほど、私自身、達人ではないし、速くもカッコ良くもないのは承知のうえ。ただ、そこそこのペースで延々と走り続けるテクニックは、これまで長年のバイクとのつきあいを通して身につけてきた。

私のライテクの根幹は、今回のタイトル『動きやすくしてから動かせ』の前半部“動きやすく”にある。ある物体に、何もせず、ただ動かそうとして力を入れても、動きにくかったり、不意に動きだした結果、動きすぎたりする。床に置いた机を回転させるとき、そのまま力任せに引きずるよりも、傾けて1点支持(1本の足だけが接地した状態)にしたほうが、はるかに動かしやすく、姿勢制御も容易になる。これと同じことがライテクにも言える。

コーナーにさしかかって倒し込みを始める直前に、マシンを倒れやすい状態にしておく。加速をしようとスロットルを開け始める直前に、マシンに駆動力が伝わりやすい状態にしておく。ブレーキをかけ始める直前に、ブレーキが効きやすい状態にしておく。これらは、速く走りたい場合も楽に走りたい場合も同じ。一言で言うと“効率アップ”だ。これをせず、力任せや度胸頼みの走りをしている限り、上達は難しく、危険なうえ、疲れやすくもある。

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