『バイク乗りの勘所』

被害を被って損をしないために

掲載日:2013年09月30日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

私は二度も大きな交通事故に遭った。一度めは、目の前でスピンして崖に当たって跳ね返ってきた対向車のリアに突っ込み、左足の大腿骨と膝の皿と膝下の太いほうの骨が折れ、両手にも深い傷を負った。二度目は、すり抜けざまに急に開いたクルマのドアに当たり、左足膝下の太いほうの骨と細いほうの骨が折れた。幸い、どちらの事故の加害者も任意保険に入っていたので、治療費、バイクの修理代、休業補償、慰謝料などの支払いに不満を感じることはなかった。

ただ、一度めと二度めでは、治療費の請求~支払いと診断書の作成依頼~受領の流れが異なっていた。二度めの病院は、患者の頭ごしに保険会社に治療費を請求するのも、保険会社の依頼で診断書を作成するのも、どちらもしない主義。すべて被害者である私を経由するから、通院のつど、治療費を(立て替えて)支払い、あとで保険会社に請求するのは面倒だったが、その病院のおかげで自分の診断書の内容を見て、不備があったのを指摘することができた。

このような例は珍しく、多くの場合は、保険会社が用意した書類に被害者が署名捺印することにより、治療費の請求~支払いと診断書の作成依頼~受領が被害者の頭ごしに行われる。便利ではあるが、自分に関する重要な個人情報である診断書が、自分が知らないところでやりとりされるのはいただけない。これを防ぐには、上に書いた書類に署名捺印しなければよい。事務手続きが繁雑になるから、保険会社は嫌がるが、自分に関する情報に誤りがあれば訂正できる。

私の場合、私が病院に診断書の作成を依頼し、出来上がった診断書を受け取った段階で内容の不備に気づき、自分で書いた訂正版を医師に提出し、ほぼ訂正版のままの内容に作り直してもらった診断書を保険会社に提出した。これによって後遺障害等級が上がり、慰謝料が増額した。面倒だし時間もかかるから…と、保険会社任せにせず、自分に関する情報を自分でチェックしたおかげで損をせずに済んだ(得をしたわけではない)一例として参考にしてほしい。

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