『バイク乗りの勘所』

ゆっくり走りながら思うこと

掲載日:2013年09月09日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

私は、いわゆる “飛ばし屋” だった。インター間の所要時間を測っていたころ、東京~京都東で4時間52分や、浜松~京都東で2時間1分を記録(いずれも普通乗用車で)した。取材でヨーロッパを点々としていたときにも、168km を1時間とか 2,200km を 24 時間などの走りが常態化していた。当然、スピード違反で捕まった経験は多く、長中短合わせて 20 回近い免停のほとんどが速度超過によるものだ。スイスからオービスの写真を同封した罰金の請求書が来たこともある。

そんな私のことだから、道路や交通や規制に対して抱いていた不満の多くは、高めの速度をキープしたまま思うような走りができないのが原因。アウトバーンなどを走って感心するのは、いつも “速い者” の目で見た道路構造や規制について…だった。ところが、チューニングの進展とともに、自分のバイクがどんどん “ゆっくり走って楽しい” マシンになってきた今、ゆっくり走る者にとっても、日本の道路や交通や規制は決して走りやすいものではないと気づいた。

典型的なのが、地方の自動車道や郊外の国道によくある、片側1車線と2車線の区間が混在した道路だ。車線数が増減する箇所では、ドイツ流 にするのが安全であり、交通の円滑化も図れるはずなのに、日本ではそうなっていないところがあまりにも多い。これでは “速い者” は “遅い者” に進路を塞がれてイライラするし、“遅い者” は流れの速い車線に合流するときに恐い思いをする。遅い者と速い者の、どちらが速度の調整をするべきかを考えれば、当然、後者である。

“ゆずりレーン” などという、入ったら最後、しっかり加速 and/or 恐い目をしないと抜け出せない(だからみんな入らず、左側から追い越していく不心得者の専用車線と化している)車線や、“安全のための連続規制” などというわけのわからないダラダラ長い車線規制(ゆっくり走っていると後ろのクルマに車間距離を詰められて、恐い目…とまで行かなくても不快である)も然り。速い者のことはもちろん、遅い者のことも考えていない交通規制のあまりの多さに閉口する。

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