『バイク乗りの勘所』

たまには転がしてみる

掲載日:2013年08月19日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

転がす…と言っても、ガレージの出し入れや駐車場での向き変えではない。できれば下り坂、それも適度に曲がっていたりすると都合が良い。ただし、加速による危険回避ができないので、交通量が少なく、見通しが良いところが望ましい。…と、ここまで書けば “転がす” の意味はおわかりだろう。そう。エンジンを止めたまま、惰性でバイクを走らせるのである。なぜそんなことをするのか…と聞いたり考えたりする前に、とりあえず一度試してみるのが早いかもしれない。

エンジンの回転が車体の安定性に貢献しているんだな…と、そっち方面のことを考えた人もいれば、振動も音もなくて快適だった…と、新鮮な感触を味わった人もいるだろう。そこで、もうちょっとアンテナの感度を上げると、ふだんは排気音やエンジンの振動に埋もれてわからない音や振動を感じとることができる。そして、その音や振動からマシンの異常を知ることも可能。転がっているときに “ぐわんぐわん” とか “じゃら…じゃら” と周期的な音が聞こえたら要注意だ。

もしも周期的な音が聞こえたら、まず最初に、それがホイールの回転と同期しているかどうかを確かめるべし。ストリートバイクに一般的な 17 インチホイールの場合、時速 20km なら1秒間に2~3回転するから、音がそれくらいの周期だった場合は、ホイール、またはそれと一体で回転しているタイヤ、ブレーキディスク、ドリブンスプロケットなどに異常(多くの場合は振れ)がある可能性が高い。ホイール回転の2~3倍の長周期なら、ドライブチェーンの疑いが濃厚である。

転がしながら、ブレーキを軽~く、なめるように(ほとんど減速しない程度に)かけてみるのも良いテストになる。レバーやペダルに周期的なキックバックが来ないか、制動力にムラ(周期的な強弱)が生じていないか、ディスクやパッドが鳴いていないか、きしみ音が生じていないか、などなど、これらの症状もまた、転がしてみるとよくわかる。こうして判明した問題を放置せず、気持ちよく転がるようにすれば、通常の走行での気持ちよさもまた、格段にレベルアップする。

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