『バイク乗りの勘所』

ベテランライダー諸兄へ

掲載日:2013年07月22日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

先日、地元のバイク仲間と話していて「ぜひ、どこかで書いてください」と言われたので、彼の話を参考に書いてみたい。最近よくあるオートバイの自損事故の例と防止策について、である。彼いわく、復帰して間もないリターンライダーが、仲間とのツーリング中、先行車を追走しようとしてオーバースピードでコーナーに進入。曲がりきれずにそのままガードレールに接触、あるいはコースアウトして崖に激突したり側溝に落ちる…というパターンが増えているのだそうだ。

そういえば、去年の秋、ソロツーリング中に2台のバイクに追いつき、後方に従って走っていたとき、とある山道のコーナーで、2台目のバイクがコースアウトし、私の目の前で側溝に落ちたのを目撃した。先頭のライダーにとっては何ともないコーナーでも、2番目のライダーには難所だったのかもしれない。この1件には、私にも反省すべき点がある。追いついたあと、抜き去るか、もっと車間を開けていれば、先頭のライダーがペースを上げることはなかったかもしれない。

再び、もとの “彼” の言葉を借りると「先導役が初心者(リターンライダー)に、いいところを見せようとして、ちょっとペースを上げたりするとヤバい」のだそうだ。確かに彼の言うとおりである。後ろにいるのが初心者、あるいは自分よりもコーナリングスピードの低いライダーだった場合、先導役に望まれるのは、まずはペースを落とすこと。そして、後ろのライダーの走りを観察しながら、余裕があるかどうかを見極め、習熟度に応じて徐々にペースを上げていけばいい。

マスツーリングで先頭を走る機会が多いベテランライダー諸兄には、とにかく、全員が無事に帰り着くのに大きな役割を果たしているのだという自覚を新たに、自分だけでなくメンバー全員の安全を考えた走りをしていただきたい。そして復帰間もないリターンライダー諸氏には、どんな状況でも冷静に、自分が安全だと思える速度を超えない走りをしていただきたい。ツーリングの先導役というのは単なる道案内であり、走り方の先生ではないということもつけ加えておきたい。

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