『バイク乗りの勘所』

備えあれば憂いなし

掲載日:2013年05月13日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

最近、ツーリングに必ず持って行く物がある。ヘルメットの布袋だ。日帰りの場合は出し入れ容易なテールカウルに入れ、泊まりがけでシートの後半に荷物を積んでいるような場合はタンクバッグに入れている。で、停車してヘルメットを脱ぎ、それを持ち歩くときは必ず袋に入れる。そうするようになった直接のきっかけは退色の防止だ。黄色は紫外線に弱いらしく、かぶって走っているとき以外は、屋内に置いているときも含め、なるべく光に当てないように気をつけている。

その布袋が、別の意味で役に立ったこともある。左手にヘルメット、右手にノート PC 入りのバッグを持って階段を下りる途中でバランスを崩し、転倒したときだ。最後まで両手の持ち物をかばったおかげで、私自身は腰を強打してしまったのだが、ともかくヘルメットは、最後にコロンと地面に転がっただけで、大きなダメージは免れた。そして、アスファルトの上で転がったにもかかわらず、布袋のおかげで傷からも守られた。“あ~、入れといて良かった” と、ほっとした。

上の幸運とは逆に、不運だったのは、崖沿いの道にバイクを停め、脱いだグローブをメーターの上に置いたときだ。バイクを離れていたわずかな時間に、強風で飛ばされたグローブが谷底に落ちてしまったのだ。ガードレール越しに、5メートルほど下の渓流の縁に落ちたグローブが見える。が、あたりには、下りていく道も階段もない。ホームセンターで 1,000 円未満で買って3シーズンほど使った物だったから、惜しくはなかったが、そこから先、グローブなしで走るのは寒い。

どうしよう…と思案していると、同行の仲間がスペアグローブを差し出してくれた。夏用では寒いかもしれず、冬用では暑いかもしれない微妙な時期だったので、彼は冬用を着用し、夏用をテールバッグに入れてきたらしい。これはありがたかった。その夏用を借り、落としたグローブのことは忘れてツーリングを続行した。というわけで、結局この一件も最後には幸運に恵まれたのだが “備えあれば憂いなし” を痛感するとともに、持ち物の置き場には気をつけたいとも思った。

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