『バイク乗りの勘所』

『プリロードを抜いてみませんか』 の続編

掲載日:2013年04月22日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

昔…と書き始めると、ヘッドライトにアセチレンランプを使っていた頃かと思う人がいるかもしれないので、具体的に言うと、私がオートバイとロードレースの世界に入った 1970 年代後半から 80 年代にかけての話。今や充分に昔話だ。当時、市販レーサーではなく一般のストリートバイクでレースをするためには、マシン造りに膨大な時間、労力、資金が必要だった。保安部品を外し、キットパーツがあれば装着し、なければ自分たちで改造。苦労してセッティングを詰めていった。

80 年代後半から 90 年代にかけてのレーサーレプリカブームで、マシンの性能は一気に高まったが、一部の例外を除けば、やはり、サーキットを走るためにはそれ相応の改造~セッティングが必要だった。市販状態のレーサーレプリカはレーサーではなく、あくまでストリートユースを前提にしており、ポテンシャル(潜在能力)は高くとも、パフォーマンス(性能)は、かなり抑えた状態で販売されていた。ポテンシャルを引き出すのはメカニックの腕の見せどころでもあった。

ところが、今世紀に入ったあたりから、1,000cc と 600cc のスーパースポーツをはじめ、一部のネイキッドモデルも含めて、サーキットでのパフォーマンスを重視するあまり、昔とは逆に、ストリートモデルらしくするために手を加えたくなるマシンが増えてきた。具体的には、前後サスペンションの設定荷重が高すぎ、サーキット走行や2人乗り&荷物満載でアウトバーンを走るには適していても、日本の一般道をのんびりツーリングするには適さないセッティングなのである。

某タイヤメーカー主催のツーリングイベントで “足まわりセッティングアドバイス” を担当している私が、最も多く相談を受けるのが、2000~2010年型あたりまでのスーパースポーツユーザーの「乗り心地を良くしたい」や「トラクション感を高めたい」や「二次旋回性能を高めたい」といった悩みについてである。それらの問題の解決には、最終的にはレート違いのスプリングが必要かもしれないが、まずはプリロード(イニシャル)を減らしてみるところからスタートしたい。

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