『バイク乗りの勘所』

マシンとの対話

掲載日:2013年02月25日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

1台のバイクに乗り続けていると、あるところで“バイクが言うことを聞くようになった”…と感じることがある。だが、よく考えると、それはちょっと変だ。学習機能つきECU装備車両ならともかく、そうじゃないバイクが、乗り手の言うことを聞いたり聞かなかったりするわけがない。だから“バイクが言うことを聞くようになった”なんてのは錯覚で、実は、乗り手のアナタがバイクの言うことを聞くようになったのである。俗に言う“乗り慣れてきた”というヤツだ。

初歩的なところでは、発進時のスロットルの開け具合とクラッチミートのタイミング、シフトアップ時のスロットルの戻し具合とペダル操作のタイミング。中級になると、シフトダウン時のクラッチ・スロットル・ペダル操作の連携、ブレーキのリリース・リーン開始・スロットルの開け始めのつながり。これらは、乗り手がしたいようにしていたのでは決してうまくいかない。人それぞれクセがあるように、バイクにも個体差があるから、それに合わせてやるとうまくいく。

さらに乗り慣れてくると、バイクが“どう動こうとしているのか”を理解し、それに合った操作をするときは、間髪を入れず、しかし、それに反した操作をしたいときは、ひと呼吸置いて、まずはバイクが乗り手の要求どおりに動けるように態勢を整える…といったことができるようになる。バイク=機械は意志を持たない。だから、機械が何をしようとしているのか、乗り手がわかってあげることが大切だ。前にも書いた“サスのリズムに合わせたマシン操縦を”も同じこと。

他に、例えば、加速中にスロットルを開け増すときと、減速中に開けるときでは、開け具合が違う…というのもある。加速時はドライブチェーンの上側が張っているから、そのまま開け増してもよいが、減速(エンジンブレーキ)時は下側が張り、上側はたるんでいるから、そこで開けるときは、まずチェーンの上側が張る分だけ静かに開け、張ったあとで開け増す…といった、ていねいな操作が望ましい。これにより、いろんなところの耐久性が上がり、燃費も向上する。

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