『バイク乗りの勘所』

ブーム再興を感じる今日このごろ

掲載日:2012年10月22日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

このところ、ウチから約 80km 離れた歯医者さんに通っている。なぜそんなに遠くに行くのか、答は簡単。知り合いで、技術的にも信頼できるからだ。そんなわけで、これまであまり経験がなかった、平日に自動車専用道路(具体的には三重県内の名阪国道)を走る機会が増えている。そこで感じるのはバイクの多さだ。先日、晴れた火曜日の昼ごろなど、それこそひっきりなしにバイクとすれ違った。その多くはソロ、または2~3台でツーリング中といった雰囲気だ。

途中の休憩ポイントで遭遇するバイク乗りの数も、1980年代のバイクブームのころには及ばないが、十数年前~数年前と比べると明らかに増えている。そして、かつてのブームと決定的に違うのは、車種である。レーサーレプリカはほとんど見かけず、BMW、ハーレー、古い国産ネイキッドが三大勢力といった感じ。装備を見ても、峠道を攻めたり、遠くまでツーリングに行くのではなく、ただちょっと、天気がいいからどこかに行こう…的な、軽いノリなのがわかる。

平日でさえそんな状況だから、土日祝日は推して知るべし。バイクで集まりやすいロケーション(具体的には名阪国道・針テラスや南丹市美山の道の駅など)など、知らない人には “何かバイク関係のイベントがあるのか?” と思わせるほど、バイクとバイク乗りでごった返している。そこでは、先の三大勢力に加え、国産スーパースポーツ、ドゥカティ、古いレーサーレプリカ、ビッグスクーターなども目にするが、いずれも乗り手は、40代以上の “かつての” 若者が主流だ。

こうした状況とは裏腹に、新車の販売台数は伸びず、パーツメーカーは不振にあえぎ、雑誌の売り上げ部数も低迷…と、いわゆる “業界” は、未だ長く続いた冬の時代から抜け出せていないようである。だがそれは、作れば売れる、目先を変えれば興味を持ってもらえる…という、旧態依然とした方針から抜け出せない “業界” の、いわば自業自得であろう。作る側が、もっとプライベートでバイクに乗り、外に出なければダメだ。バイクブームは、すでに再興しているのだから。

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