『バイク乗りの勘所』

啓蟄に向けてバイクを万全に(その1)

掲載日:2012年02月13日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

啓蟄(けいちつ)とは “土の中で冬ごもりしていた虫が、穴から這い出す” といった意味で、立春と雨水に続く二十四節気の3番目。今年は3月5日が啓蟄に当たる。私の住む京都府南部あたりでは、ちょうどこのころから、多くのライダーたちが、穴から這い出す虫たちよろしく、続々と路上に復帰してくる。冬が終わり、新しいバイクシーズンを迎えようとしている彼らを見ていると、例年、啓蟄の二文字を思い浮かべ、思わず頬が緩んでしまう。

啓蟄のころのライダーとバイクは、まさに穴から這い出てきた虫たちよろしく、動きが鈍く、おっかなびっくりである。まあ、ライダーのほうは、季節が進み、二十四節気でいうと次の春分や清明あたりまでは、勘を取り戻すための期間と捉え、徐々に本調子に持っていくとして、バイクのほうは、それほど呑気に構えているわけにはいかない。…というか、乗らない(距離が伸びない)今のうちに整備をし、啓蟄のころに万全に仕上げたいものだ。

1年のうちで今ごろ、つまり、冬の終わりにしておきたい整備項目は多い。冬の間は乗らないと仮定しての話だが、各種のオイル交換、タイヤ交換、エアクリーナーエレメントの掃除または交換、各部のグリスアップ、フロントフォーク内圧の適正化、ガソリンタンクと燃料系の水抜きなどが代表的なものだ。これらはもちろん、シーズン中、あるいは年に何度してもかまわないが、仮に年に1回しかしないとすれば、今がそのチャンスである。

なぜ今なのか。それは、ライダーがおっかなびっくりなのに加えて、バイクの調子がイマイチだと、せっかくのシーズンインを充分に楽しめないから。そして、不動期間中には、油脂類が劣化したりゴムや樹脂類が硬化したりしているから。さらに、冬場は、空気と触れるところ(エンジン内部を含む)すべてに結露の可能性があり、水が溜まっている可能性があるからだ。啓蟄まであと3週間ちょっと。次回は具体的な “迎春整備” について書いてみたい。

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