『バイク乗りの勘所』

ブーストが効く冬こそバイクに!

掲載日:2011年11月21日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

寒くなってきた。とくに朝夕のライディングは辛い。だから、これから春先までのツーリングは、遅出の早帰りになりがちだ。しかし、そこはひとつ、寒さをぐっと我慢して(または温かいウェアの助けを借りて)、早出に努めていただきたい。朝の空気が心地よいのは夏に限らず、冬もまた然り。そして、冬の晴れた日の冷たい空気は、あなたのマシン(とくにエンジン)にとって、夏とは異なる底力を発揮する材料にもなる。

このコラムの初回 『バイクの適温、ご存知ですか?』(2011年4月18日掲載)にも少し書いたように、冬の晴れた日は、気温が低く、気圧が高い。摂氏30度の空気と0度の空気を比べると、0度のほうが1割程度密度が高く、気圧もまた、平均的に冬のほうが高いから、同じ量の空気の中に、夏よりも多くの酸素が含まれている。古典的なエンジンチューニングとして知られる、より多くの空気を燃焼室に送り込む “ターボチャージング” に似たことが、自然の力で行われているわけだ。

ただ、エンジンの調子が良いからといって、峠道を攻めるのは、おすすめしない。とくに午前中は、ただでさえ滑りやすい道端の落ち葉が、夜露を含んで湿っていたりするから、なおさらだ。タイヤやサスペンションも、低温環境では、夏ほどしっかり仕事をしてくれないから要注意。平坦路を主体に、ときどきブーストの効いたエンジンを味わいながら淡々と走り、昼食前には目的地に着く…といったあたりが、安全面では望ましい。

マシンや道路環境以外で、冬場に気をつけていることは、降車中、ヘルメットとグローブを冷やさないということだ。昼飯に鍋物を食べたり、休憩でココアを飲んだりして、せっかく体が暖まったのに、いざ出発しようとして身に着けたヘルメットやグローブが冷えきっていたら、一気に気持ちが萎えてしまう。つけ加えると、早出はいいが、遅帰りはおすすめしない。寒さと暗さの両面攻撃で焦燥感がつのり、思わぬ事故を起こさないとも限らないからだ。

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