『バイク乗りの勘所』

救急車のサイレンを改良すべし

掲載日:2011年11月14日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

バイクに乗っていると、周りの音がよく聞こえる。ヘルメットの種類や程度による差はあっても、窓を閉めたクルマに乗っているときよりは、はるかに聞こえやすい。もちろん、聞こえにくいよりは聞こえやすいほうが安全である。だが、聞こえてほしくない音が聞こえたり、必要以上に大きな音が聞こえるのには閉口する。ヘルメットをかぶっていてもウルサく感じるのだから、歩行者や沿道の住人は、さぞ迷惑しているだろうと思う。

違法改造の騒音撒き散らしバカスクや旧車會の話ではない。救急車、パトカー、消防車などの、いわゆる緊急自動車のこと。中でも、とくにウルサく感じるのが救急車だ。遮音性の高いクルマのドライバーに聞こえるように、音量を上げたいのは理解できる。しかし、あの、ヘルメット越しでさえ耳が痛くなるような音色でなくてもいいじゃないか。あの “ピーポー音” を聞いていると “オマエが悲壮感漂わせてどうするんだ” と突っ込みたくもなる。

高音ほど指向性が強く、減衰しやすいから、遮音性の高いクルマの中に届くためには音量を上げるよりもむしろ、音程を下げるべきだ。金切り声よりもドスの効いた声のほうが、聞いている者の神経を逆撫でせず、搬送される者にとっても安心感が得られるのではないだろうか。ついでに言うと、クルマ(ごく普通の乗用車)のクラクションの音も、大いに研究・改良の余地ありだ。驚かす(おどろかす)のは仕方なくても、脅かす(おどかす)必要はない。

当人や周りの者を不快にさせずに注意をするのが苦手な日本人の悲しい性が、救急車のサイレンやクルマのクラクションにも現れているのだろうか。注意と言いがかりは違うのだから、まずは、あの金切り声みたいな救急車のサイレンを廃止し、バルセロナの救急車 みたいに、よくわかり、よく届き、しかし聞く者を不快にさせず、かつ、威風堂々、有無を言わさず道を譲らせるサイレンの音というのをデザインしてもらいたいものだ。

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