『バイク乗りの勘所』

ノンクラッチ・シフトアップのススメ

掲載日:2011年10月03日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

スポーツバイクの主流はマニュアルシフト。左足でギアシフト、左手でクラッチを操作するのが近年の世界標準だ。変速機構は、カタログなどによると “常時噛合式”。これの特徴は、ドッグによる結合(駆動力伝達)と分離(駆動力非伝達)である。1本の軸上に並んだ2個のギアを例にとると、側面に突起や凹みを持った片方のギアが軸に沿ってスライドし、もう一方のギアの側面の突起や凹みと噛み合えば駆動力が伝わり、離れれば伝わらない。

常に噛み合っているのはギアの “歯” であり、ドッグはシフト操作によって結合したり分離したりする。さらに言うと、力が伝わっていないときのドッグは、結合(噛み合い)しているように見えても、実は容易に横滑りする。だから、あるギアでビューっと加速して、すっとスロットルを戻した瞬間に左足でシフト(アップ)操作を行えば、クラッチを切ろうがつないだままだろうが関係なく、スコッと気持ちよくシフトアップできる。

慣れるまで、うまくいかないのは、左手の動きを合図にして左足を動かしているからかもしれない。そういう場合は、左手はレバーを握らず “空” を握り、指の動きだけクラッチ操作と同じにして練習すれば、慣れが早い。ただし、ニュートラルからローへのシフトとシフトダウン操作時はもちろん、ローからセカンドへのシフトは、クラッチを使うのが望ましい。だから、セカンド以上で、気持ちよく加速するときに練習するのが良いだろう。

ノークラシフトのメリットは、短時間で変速操作が終わる(レースでは常識)ことだけではない。うまくすれば、ミッション(とくにドッグ)に加わるストレスを低減でき、ギア関係のトラブル防止につながる。さらに、クラッチの操作回数が減るから、クラッチまわりの耐久性アップも図れる。それに加え、ミッションとクラッチの構造や作動について考えることにより、メカニズムに関する理解と興味が深まり、愛車との距離感がグッと縮まるはずだ。

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