『バイク乗りの勘所』

国土地理院発行、20万分の1地勢図のススメ

掲載日:2011年05月09日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

10人集まれば、たいてい2~3人は持っているツーリングマップル。行く先々でしょっちゅう覗かせてもらう私も、立派な愛用者の一員かもしれない。でも、自分では持っていない。だれかが持ってきてくれるだろう…という期待&安心感のせいだ。だれも持ってこないとわかっていて、しかも、ご一行さまを間違いなくご案内しなきゃならないツーリングの先導役を仰せつかったりすれば、たぶん、愛用者から所有者にステップアップするはずだ。

ツーリング好きには地図好きが多い。そんな仲間との会話の中で「道路公団がサービスエリアで無料配布している高速道路地図って、旅ごころを痛く刺激してくれるよね…」という話になった。まったくそのとおり。あの紙面の大きさと縮尺、適度な情報量などが、実用の道具としては物足りなくても、ツーリングに行く前や帰ってきたあとで、ただぼんやりと眺めるには最適ではなかろうか。そういった使い方においては、情報が多すぎないのが好ましい。

じつはもうひとつ、私が密かに愛用している地図がある。国交省国土地理院発行の20万分の1地勢図というヤツだ。地面に陰影をつけてレリーフ状に表現されているから、起伏がわかりやすく、地図上の1cmが実際の2kmに相当するという手ごろな縮尺もあって、眺めているだけでも充分に楽しめる。おまけにこいつは紙の質がいい。柔らかめの鉛筆で書き込む~プラスティック消しゴムで消す…あるいは折り畳む~広げる…の繰り返しに、とてもよく耐えてくれる。

それと、あの素っ気なさ。あれを好むかどうかは“乗ること”と“行くこと”のどちらに重きを置くかで変わる。行くこと派、つまり“ツーリング=旅”と捉えているひとにとって、過剰な情報は楽しみの低下をまねく。そこにあるとわかっている物を確認しに行くより、知らずに行って発見するほうが楽しいじゃないか。そんな“旅”の道中では、使い込んでシワシワになった20万分の1地勢図をパンツのポケットから取り出す…なんてのがフンイキあっていいなあ。

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