『バイク乗りの勘所』

バイクの適温、ご存知ですか?

掲載日:2011年04月18日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

桜の花咲くころから梅雨入り前あたりまでの時期が、走っていて気持ちいい。これは、暑がりだろうが寒がりだろうが、バイク乗りに共通した意見のようである。バイクに乗って気持ちいいと感じる気温は、摂氏15~30度あたりだろうか。ただ、この数字は、乗っている人間にとっての適温であり、バイクそのものの適温ではない。では、バイクにとっての適温とは、いったい何度くらいなのか。

空気密度を考えると、寒いほどパワーは出る。摂氏30度の空気と0度の空気を比べると、0度のほうが1割程度密度が高い。つまり、同じ量(体積)の空気を吸い込んでも、1割程度多くの酸素が含まれているということだ。キャブ車で高温に合わせたセッティングをしている場合は別として、夏より冬のほうがエンジンの調子がよいのは、空気密度の高さによるところが大きい。

これとは逆に、バイクのメカニズムの中には、温度が高いほど動きやすくなる箇所が多い。グリスで潤滑されているところや、オイルが漏れないようにオイルシールやOリングなどでシールされていることろなどがその一例だ。油脂類やゴム類は、温度が高いほど粘度が低く、滑りに対する抵抗が小さくなるからである。冬より夏のほうが足まわりの動きを敏捷に感じる理由のひとつだろう。

これらと比べると、エンジンやタイヤは、乗り手と同じ時期に適温になりやすい。エンジンもタイヤも、気温が摂氏10度以下では適温に達せず、30度以上ではオーバーヒートの兆候が現われる。これらのことを考えて、冬場は直線主体の遠距離でパワーを味わい、夏場は涼しいワインディングで運動性を満喫するというふうに、美味しいところを味わうツーリングプランを練ってみてはいかがだろう。

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