【モトグッツィ海外レポート1】イタリア本社で開催された3日間のイベントに3万人ものファンが集まった

掲載日:2018年10月09日 フォトTOPICS    

取材、写真、文/山下剛
構成/バイクブロス・マガジンズ

【モトグッツィ海外レポート1】イタリア本社で開催された3日間のイベントに3万人ものファンが集まった

3万人のグッツィスティが集まった
『モト・グッツィ・オープンハウス2018』

2018年9月7日(金)から9日(日)までの3日間、イタリア北部のマンデッロ・デル・ラーリオにあるモト・グッツィ本社で『MOTO GUZZI OPEN HOUSE 2018』が開催された。公式発表によれば3日間の来場者は3万人で、モト・グッツィ本社前の広場はもちろん、付近の道路や町の駐輪場などがモト・グッツィで溢れかえった。

イベントの趣旨は「オープンハウス」の名称が示すとおり、モト・グッツィ本社を一般開放することだ。エンジンや車両の組立工程、風洞実験施設、ミュージアムの見学、さらに今年発売するニューモデルやカスタムマシンの展示、フルモデルラインナップ試乗会などが催された。

また「THE CLAN」というモト・グッツィ公式のファンクラブ(誰でも登録でき、インターネット経由で日本からも申請できる)向けには、工場とミュージアムのガイド付きツアーのほか、モト・グッツィの点検整備ワークショップも行われた。

本社工場を開放してのファンミーティングは類がなく、それだけにモト・グッツィオーナー以外も多く訪れていた。ではイベントのコンテンツを見ていこう。

モト・グッツィ本社は「マンデッロ・デル・ラーリオ駅」の目の前にあり、普段はバス停や駐車場になっている駅前広場はすべてイベント来場者のための駐車場となった。

Tシャツやパーカ、ジャケットやヘルメットといったアクセサリーの公式グッズ販売も賑わっていて、イベント中の3日間、常にたくさんの人が集まっていた。サイズによっては売り切れも多かった。

「モト・グッツィヴィレッジ」と名づけられた広場には、フルモデルラインナップとカスタム車の展示、イタリアンフードとカフェのフードコート、休憩できるテラス席やDJブースが設けられた。この広場は使われなくなった古い工場棟を解体して生まれたものだ。

解体された工場棟は一部が遺構として残されていて「MOTO GUZZI」のロゴが描かれた壁の前で記念撮影するサービスも行われた。

モト・グッツィは1921年の創業以来、拡張と増改築を繰り返してきた。エンジンや車両組立棟は最新設備が導入されているが、建屋そのものは1930~1960年代までに建設されたものが多く、モト・グッツィの長い歴史を物語る。

DJブースとして使われている三輪車は、ピアッジオが生産する「アペ」。イタリアではもっともメジャーな仕事グルマで、どんな町へ行ってもその姿を見ることができる。金属のオブジェは幹線道路からモト・グッツィへ入るラウンドアバウトの中央島に置かれているもので、排気量500ccのV8エンジンを搭載したかつてのGPレーサーを模したものだ。

風洞実験施設は他メーカーの先駆けとなる1950年に作られた。資料によれば、風を起こすプロペラは300馬力を発生する電気モーターで駆動し、225km/hの走行風を再現できたという。しかし電力を大量に消費するため周辺地域の停電を引き起こしたり、工場が谷底にあるため騒音が反響してしまうなどの理由から使用停止となっている。コントロールルームは車両配置場に隣接している。いまは「ノルジェ1200」がサンプルとして展示されている。

最新モデルフルラインナップの展示にはいつもたくさんの人だかりができていた。現在のモト・グッツィは搭載エンジンによって分類され、V7とV9のほか、カリフォルニア系1,400ccの3系統がある。日本では現在8車種が輸入販売されているが、イタリアをはじめヨーロッパ各国や北米では14車種がラインナップされている。

風洞実験施設で公開されたニューモデル「V85TT」。2017年のミラノショー(EICMA)で初公開されたモデルだが、ヨーロッパではいよいよ発売間近。エンジンはV9とボアストロークが同一ながら最高出力は80psまで高められ、長距離ツーリングからダート走行までこなすアドベンチャーツアラーだ。このカテゴリーにおける貴重なミドルクラスで、日本での発売にも期待がかかる。

世界初公開となったのは「V9 BOBBER SPORT」だ。その名のとおり、V9 BOBBERの走行性能を引き上げたモデルで、オーリンズ製リアショックやメーターバイザー、シングルシートなどを装備。日本への導入は未定だ。

エンジン組立工場棟の内部。立ち入れる範囲は制限されていたものの、ラインにずらりと並んでいる組立中のエンジン、完成してパレットに積載されたエンジンを間近で見ることができた。白い扉の青いブースは計測ブースで、完成したエンジンをここでチェックする。

車両組立工場棟の内部。ラインは2本あり、異なる車種を同時に生産することが可能。ラインは最終工程の先で直角に曲がり、車両保管場所へとつながっている。完成した車両はシャシダイに載せ、エンジンやミッション、ブレーキその他が完全に動作するかを点検する。タンクなどが写っている写真の左上にはモト・グッツィのエンジンを搭載した軽飛行機が飾られている。また、普段従業員が使っている休憩所やトイレも一般開放されていたり、掲示板には夏休みや労災に関する社内通達が貼られたままだったのも印象的だった。

試乗会はすべてのモト・グッツィが用意されたフルラインナップとは別に「V7 III LIMITED」の試乗会も行われ、どちらも常にグッティスティが予約の列に並び、隊列を組んだ試乗車が会場を出発して周辺を走っていた。ちなみに4枚組の写真の左上は、最近建築された正門で、完成車両を運搬する大型トラックが容易に出入りできるようになった。

モト・グッツィによるメーカーカスタム2種と、モト・グッツィのカスタムを得意とするイタリアのビルダー「Officine Rossopuro」が手がけた3種が展示された。グリーゾ8Vや1200スポルト、V7をベースとしたボバーやフラットトラックといったアメリカンカスタムが人気のようだ。

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