2016 MotoGP 日本グランプリ イベントレポート

掲載日:2016年10月21日 フォトTOPICS    

文/酒寄俊幸(gasgraphix)  取材・写真/gasgraphix

今年は3日間共に晴天に恵まれ、決勝日は5万人以上のファンが来場しました。パドックもブースエリアも各席も人、人、人で大盛況! この場所はMotoGPクラスで最高速300km/hを超えるダウンヒルストレート付近です。

MotoGPの見どころはレース観戦だけじゃない
3日間で8万8,472人が訪れるビッグイベントだ!!

2016年10月14日(金)~16日(日)に、栃木県のツインリンクもてぎで『2016 FIM MotoGP 世界選手権シリーズ第15戦 MOTUL 日本グランプリ』が開催されました。『MotoGP』と呼ばれるこのレースは、各メーカーのプロトタイプマシンによる世界最高峰のロードレースで、3月のカタールでの開幕戦を皮切りに、11月の最終戦バレンシアまで、全18戦が繰り広げられています。

ツインリンクもてぎでこの世界戦が初開催されたのは1999年。その後、2000年から2003年までは、春に鈴鹿サーキットで日本グランプリ、秋にツインリンクもてぎでパシフィックグランプリとして、年間2回のレースが開催されていました。2004年以降はツインリンクもてぎのみで実施されるようになり、これが現在の『日本グランプリ』として引き継がれています。

MotoGPでは、4ストローク1,000ccプロトタイプマシンによるMotoGPクラスを頂点に、ホンダCBR600RRのエンジンを使用するMoto2クラス。そして、単気筒4ストローク250ccエンジンを使用し、16歳から25歳までしか参戦できない入門クラス、Moto3の合計3クラスによる戦いが繰り広げられています。

MotoGPクラスでは、ホンダ、ヤマハ、スズキといった国内3メーカーとイタリアのドゥカティが中心に。また、Moto3ではホンダ、オーストリアのKTM、そしてインドのマヒンドラといった各メーカーが参戦。またMoto2では、エンジンがホンダのワンメイクとなっていることで、各シャシーのコンストラクターによる争いにも注目が集まりました。

今年は期間中好天に恵まれたこともあり、3日間で8万8,472人(決勝日は5万2,216人)のファンがツインリンクもてぎに来場しました。観戦チケットも、メインストレートの真横に特設されたビクトリースタンドや、ダウンヒルストレートでの時速300km/hを超える最高速からのフルブレーキング争いが楽しめるV席。また、サインをもらったり写真を撮ったりと、憧れのライダーとの交流が楽しめるパドックパスといった人気のチケットは、レースウィーク前に売り切れていることからも、MotoGPが国内の2輪モータースポーツの中で特に人気が高いイベントであることを証明しています。

さらに近年は円安の影響もあり、海外からの来場者も急増中。はるばるフランスから来日したファンや、憧れの日本でレンタルバイクでツーリングを楽しみながら、ツインリンクもてぎに台湾からやってきたグループ。また、実は某社のエンジニアとして来日し、普段は日本国内で勤務しているブラジル人。他にも、タイやマレーシア、台湾などのバイク販売店が応援ツアーを企画して来日したりと、昨今の来場者数の増加は、海外のMotoGPファンが急増していることも理由のひとつでしょう。

MotoGPでは、各クラス共に金曜日がフリープラクティス、土曜日がフリープラクティスと予選、そして日曜日がウォームアップセッションと決勝が実施されます。映像では伝わりにくいスピード感や迫力の排気音は、サーキットに来場した人だけが楽しめるもの。しかも、ビクトリースタンド裏に設置されたホスピタリティガーデンや、グランドスタンド裏に設営された各メーカーブースでは、ライダートークショーやサイン会が開催されたり、ライダーのオフィシャルグッズや彼らをサポートしているショップブースでは、人気の商品がイベント特価で販売されたりと、レースを観戦するだけではなく、これらのブースで実施されるイベントに参加したり、ショッピングをするだけでも満足できるほどたくさんのブースが出店されているのもポイントです。

また『MOTUL日本グランプリ』の公式イベントとして、グランプリロードR123パレードも開催されています。こちらは「RIDE SAFETY, RIDE GREEN」を合言葉に、安全運転の啓蒙活動を目的として2012年から実施されています。今年もバイク芸人として有名なRGツーリングクラブのメンバーが参加。集合場所の道の駅もてぎから『MotoGP MOTUL 日本グランプリ』の会場となるツインリンクもてぎまで、約7.5kmの道のりをパレード走行しました。

こうして、レース観戦以外にも、様々な催しものやお楽しみポイントがあるのが『MotoGP MOTUL 日本グランプリ』なのです。まだ暫定ですが、2017年度の開催スケジュールも、MotoGP主催者であるDORNAから正式に発表されています。来年の日本グランプリは、10月13日(金)~15日(日)で、今年と同じくツインリンクもてぎで開催の予定。同サーキット周辺の水戸や宇都宮のホテルは軒並み満室となるほど人気のMotoGP。来年は早めの予定を立ててホテルを予約し、ぜひサーキットで体験してみるのはいかがでしょうか? 今までにない興奮を味わえるのは間違いないでしょう。

フォトTOPICS(写真点数/25枚)

01駐輪場も御覧のとおり。バイク駐輪場は南ゲートから来場し、テント宿泊可能なステイエリア付近に2か所設置されましたが、どこも満車。しかもメインゲート近くや外周路に駐車可能な指定駐車券は、全て売り切れとなりました。

02一般来場者はもちろん、多くの関係者が集まるのもこのMotoGPの特徴。これだけ多くの人達が集まるため、その昔INDY CARシリーズが開催されていたオーバルコースも、この日は臨時駐車場として利用されるのです。遠くに見えるお客さんの姿も含め、これだけの人やクルマが場内に溢れる光景は、MotoGPでしか見ることはできません!

03入場券以外に、別途パドックパス(枚数限定)を購入すれば、誰でもパドックに入場可能。ちなみに全18戦中パドックパスを購入することで一般のファンが入場できるのは日本のみ! 他のレースは全て、非売品のゲストパスが無いと入場できないのです。

04パドックに入場すると、このように憧れのライダーと写真を撮ったり、サインをもらうチャンスも! こちらのライダーはMotoGPクラスで2位入賞のアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Ducati Team)!

05日本グランプリの前戦、第14戦アラゴンGPにて、Moto2クラスで初表彰台を獲得したアレックス・マルケス(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)を祝福するために集まったファンの皆さん。本人と一緒に記念撮影して大満足! ちなみに、アレックス・マルケスは、MotoGPクラスでチャンピオンを獲得したマルク・マルケス(Repsol Honda Team)の弟です。

06もちろんライダーがO.K.してくれればツーショット撮影も可能。海外観戦に行かない限りここでしか会うことはできないので、ファンの皆さんはお目当てのライダーを見つけるのに必死です。こちらは現在Moto2クラスでランキング2位につけるアレックス・リンス。来年はMotoGPクラスにステップアップして、スズキのファクトリーライダーとなることが決定しています。

07ホルヘ・ロレンソの応援にやって来たこちらのお2人は、お約束のフェイスペイントではなく自作ステッカーでロレンソ好きをアピール。このようなオリジナルの応援グッズを用意すると、ライダーにとっても分かりやすく、しかもその深い愛情を感じ取ってくれるので、サインや写真撮影に応じてもらえる可能性も高まるはず。

08パドックではサーキットホテルからここまでスクーターで移動してくるライダーの姿も。スズキ アドレス110に乗って出勤(?)して来たのは、MotoGPクラス3位表彰台を獲得したマーベリック・ビニャーレス(Team SUZUKI ECSTAR)!

09MotoGPクラスのライダー達は、各走行の合間にメディアのインタビューを受けたり、サイン会やトークショーなどのイベントなどに出演したりと、3日間を通して大忙し。Repsol Honda Teamのマルク・マルケス、ダニ・ペドロサの2人は、ホンダのロードレース世界選手権(WGP / MotoGP)最高峰クラス参戦50周年記念の撮影会に参加。ホンダが最高峰クラスに初参加した際のマシン「RC181」と、現役マシン「RC213V」と共に、世界各国のたくさんのメディアのフラッシュを受けていました。

10MotoGPには、レースに参加するチームやライダーだけではなく、このレースそのものを主催運営する『DORNA』のスタッフも大勢来日します。こちらのみなさんは、サーキット内のスポンサー看板や表彰台などの製作スタッフ達。彼らは月曜日に来日し、自分たちで持ち込んだ巨大なプロッターで各スポンサーロゴを出力し、貼り付けた看板を各所に設置。木曜日までに全ての作業が完了すると、日曜日の決勝終了後まではのんびりと過ごすのだそうです。

11各ライダーをサポートしている外国製のヘルメットメーカーやレーシングスーツメーカーのスタッフも来日。こちらは、あのバレンティーノ・ロッシをサポートするAGVヘルメット&ダイネーゼのサービスルーム。各アイテムの準備やクリーニング、補修はもちろん、サポートライダーの要求に現場で応えるためのプロフェッショナルがツインリンクもてぎに集結していました。

12MotoGPの世界では、現役を退いたライダー達が第2の人生をスタートさせる場所でもあります。2004年から2014年まで、MotoGPクラスに参戦していたコーリン・エドワーズ(右)は、MotoGPオフィシャルサイトのコメンテーターを担当。その元気な姿をファンに見せてくれたのでした。

13モータースポーツと言えば、忘れてはいけないのがレースクイーンの存在。MotoGP 日本グランプリのタイトルスポンサーを務めるMOTULがグリッドガールを担当。その模様は、日テレジータスや公式映像でも確認できます。

14グランドスタンド裏には、今年もたくさんのメーカーブースやショップが出店。特に、ライダートークショーや参加人数限定のライダーサイン会は大人気。トップライダーを間近に見ることができるため、ファンが各イベントに殺到するのです。

15オイルメーカーMOTOREXのブースに登場したのは、Moto3クラスですでにチャンピオンを獲得したブラッド・ビンダー(Red Bull KTM Ajo・右)とチームメイトのボ・ベンスナイダー。チャンピオンのサイン会ということもあり、開始予定時刻の1時間前からファンは並んでいました。

16ホンダやスズキのブースには、実際にMotoGPマシンのバンク角が体験でき、しかも記念撮影ができるこちらの参加型イベントが大人気! トップライダー達がどれだけ凄い走りをしているのか体験できるのが人気の理由なのです。

17ビクトリースタンドの裏側に設置されたホスピタリティガーデンでは、2000年以降にMotoGPで活躍した名車が勢ぞろいした「ライバル ~History of Japanese GP~」という展示イベントが実施されていました。バレンティーノ・ロッシが最高峰クラスGP500で初めてチャンピオンを獲得した2001年型NSR500や、各トップライダー達が駆ったチャンピオンマシンが、メーカーの枠を超えて集結したのでした。

18最近は海外からのファンもたくさん来場しています。特に、バイク文化が根付いているヨーロッパや東南アジアからの来日が多い印象。こちらの皆さんは、台北でYSP店を営むバイク屋さんとそのお客さんたち。レンタルバイクを借りてツインリンクもてぎにやって来ました。また別の日には富士山ツーリングも慣行したそうですよ。

19ワニやジョーズの被り物が目立っていたこちらの皆さんは、ブラジルからやって来た応援団。しかも、このMotoGPに関わる某メーカーのエンジニアだそうで、7月に赴任されてから日本での生活を満喫しているのだとか。これだけはじけた楽しみ方をするのは、やはりラテンの国、ブラジルの国民性!?

20ファンの皆さんは、応援するライダーのオフィシャルグッズを手に入れたり、自分でオリジナルの応援グッズを作ってきたり、みんながそれぞれの方法でMotoGPを満喫しています。女性ファンでよく見かけるのが、オリジナルのネイル。こういった細かい演出は、日本人ならではかもしれませんね!

21自分の情熱をライダーに伝えるために、ファンは工夫を凝らして自分をアピールするのもMotoGPの楽しみ方のひとつ。こちらの彼女は大好きなバレンティーノ・ロッシのゼッケン「46」を、編み込み&ロッシのイメージカラーで仕上げた力作。

22MotoGP日本グランプリの開催期間中は、常設フードコートをはじめ屋台など様々なフードショップも並びます。今年はチームタイアップオリジナルメニューが用意され、写真のTeam SUZUKI ECSTER公認「手作りペッパーポークの柚子マリネサンド」や、Movistar Yamaha MotoGP公認「5種のきのこのボスカイオーラ」、Repsol Honda Team公認「ソフトシェルシュリンプとアボカドの本格パエリア」を味わうことができたのです。

23レースを支えるのはファンだけではありません。MotoGPウィークに集まった約400人のオフィシャルの皆さんがいないと、円滑にレースは運営されません。来年はファンとして来場するのではなく、オフィシャルとなってMotoGPを裏から支えるのもありかもしれませんよ!?

24レースが終了すると、各チームは次のレースに向けて移動の準備に取り掛かります。特に、日本グランプリの翌週がオーストラリアグランプリということで、チームスタッフは機材の梱包で大忙し。専用のボックスにマシンやパーツを梱包していく無駄のない動きは、見ていて感動します。

25運が良ければ、レース終了後にこうしたお宝(?)を手に入れることができる可能性もあるのです。特に、転倒して使い物にならなくなったパーツはチームにとってはゴミ同然。捨てるくらいなら応援してくれたファンへのサービスのひとつとして、ライダーのサインを入れてプレゼントしてくれることもあります。こういったサプライズがあるから、サーキットでの観戦は辞められなくなるのです!

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