『2014 鈴鹿8時間耐久ロードレース』~イベントレポート編~

掲載日:2014年08月04日 フォトTOPICS    

取材・写真・文/MotoRIDE編集部  取材協力/株式会社モビリティランド

2014年鈴鹿8耐決勝前日。これからはじまる『TOP10 TRIAL』に向けて、前日行なわれた予選上位10チームの選手が紹介される。選手の横に立つ“コカ・コーラ ゼロ”サーキットクイーンが行進中。

鈴鹿8耐はレース観戦だけじゃない
発見・感動・体感できる面白さも

2014年7月24日(木)~27日(日)に開催された年に1度のバイクの祭典『鈴鹿8耐』(正式名称:2014 FIM世界耐久選手権シリーズ第2戦“コカ・コーラ ゼロ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第37回大会)は、例年どおり酷暑となりました。今年はヨシムラジャパン60周年という節目に2チーム体制での出場、それにメーカー直系チームとしては13年ぶりの出場となるカワサキ『Team GREEN』が大きなトピックスでしょう。

2万8,000人の観客が訪れた決勝前日の『TOP10 TRIAL』では、ポールポジションをかけて見ごたえのあるバトルが興奮を呼び、決勝当日(観客数6万2,000人)はスタート直前の雨によるスタートディレイ、相次ぐ“まさか!”の転倒、晴れたと思えば降りだす雨、度重なるセーフティカーのコースインなど、観ている側にしてみれば、8時間(実際には6時間55分)という長丁場のレースでも気を緩める隙はあまり無かったレース展開となりました。

しかしレースだけがすべてではないのが鈴鹿8耐のいいところ。ここでは決勝前日と当日に催されたイベントなども交えながら、8耐の模様をお伝えします。

フォトTOPICS(写真点数/49枚)

01入場ゲートをくぐった先の広場、『GPスクエア』では、“コカ・コーラ ゼロ”仕様のホンダNM4が来場者をお出迎え。今年限りの8耐マーシャルマシンだとか。

02毎年たくさんの視線を集める『エヴァンゲリオンレーシングレースクイーン』がGPスクエアのブースステージに登場。決勝戦に向けて彼女たちも応援シンクロ率を高めるため、ちょっとした芸を披露。

03イベントステージではさまざまなプログラムが開催された。写真はバイクもクルマも大好きという加納典明さんを挟んで、MOTONAVI編集長(写真左)とチュートリアル福田さん(写真右)のトークステージの様子。加納さんは『TEAM TENMEI 桜プロジェクト』の監督を務める。

042014年で60周年を迎える『ヨシムラ』は、歴代のレーシングマシンを特別展示。8耐とヨシムラに思い入れのある人にはたまらない状況(写真は展示車両の一部です)。

05GPスクエアから道路を挟んで『STEC』(交通教育センター)側へ渡ると、イベントエリア『BASE 8耐』(昨年まではMOTOMAX)がある。その“パフォーマンス”エリアではトライアルのパフォーマンスが行なわれ、全日本トライアル選手権でTOPを競い合う『チーム ミタニ』の2人が凄ワザを披露。

06特設の障害をクリアしながらハイレベルな技を披露し、観客の注目を集めていた。しかも技を繰り出しながらマイクパフォーマンスも同時に行ない、トライアルの難しさや競技レベルの高さ、なにより観ることの楽しさを伝えてくれた。

07今年は8耐史上初となる『FMX』(フリースタイルモトクロス)が登場。海外でも活躍するライダーたちのパフォーマンス集団『MX VIRUS』が空中技を次々と披露。これには観客も度肝を抜かれていた。

08GPスクエアからパドックへ向かう『パドックトンネル』。地下深くまでもぐり、空気がひんやりとしたコンクリートの長いトンネルをひたすら歩く。徒歩以外に移動手段は無く途中でイヤになるところだが、こんな洒落の効いた表示が気持ちをやわらげてくれる。

09限られた時間の『PIT WALK』では、出場チームのピットを覗くことができる。こちらはエヴァンゲリオンとのコラボチーム『エヴァRT初号機シナジーフォースTRICKSTAR』のピット。その走りは“沈黙”や“暴走”や“覚醒”などで例えられ、まるでチームそのものがエヴァのイメージとシンクロしている面白いチーム。

1013年ぶりに鈴鹿へ戻ってきたカワサキ直系チームのピット。この『Team GREEN』の出場によって多くのカワサキファンが鈴鹿に集い、これで国内4メーカーが出揃ったことになる。

112014年で60周年を迎えるヨシムラは、『Legend of YOSHIMURA SUZUKI Shell ADVANCE Racing Team』を結成。その名の通り伝説のライダー、ケビン=シュワンツ、辻本 聡それに現役ライダーの青木宣篤選手など、かつてヨシムラで走ったライダーたちが登場。メディアの注目度も非常に高い。

12ここでは“あの”シュワンツを間近に見ることができる。80年代の鈴鹿8耐を知るファンにとっては奇跡の光景かもしれない。

13ヨシムラはレジェンドチームと『YOSHIMURA SUZUKI Shell ADVANCE Racing Team』の2チーム体制で8耐に臨む。ピット内には#12と#34のレーシングマシンが並ぶ。

14決勝前日、陽が暮れてもメカニックたちはマシンの整備を入念に行なう。8耐常連のヨシムラにもなると、持参したLED照明を天井から吊るして整備環境を最適化。各チームでこういった工夫が見られるのも楽しみのひとつ。

15苦労してここまでやってきた自分を労うかのように、明日の決勝戦に挑むマシンの写真を撮るチームスタッフの後ろ姿。決勝前日のピットレーンには、全体的に「ついにこの日がきたか」「いよいよ明日」という空気が漂っている。

16決勝当日午前(8時40分)、『BASE 8耐』では本日1回目となるFMXのパフォーマンスが披露され、鈴鹿サーキットへやってきた来場者は朝から大興奮。

17走るだけがバイクじゃない。みんなが知っているバイクが空中で華麗な技をキメて観る人を惹き付ける、そういうパフォーマンスが新たなバイク乗りを生み出してくれる。

18海外では競技としてファンも多いFMXだが、日本ではまだ目にする機会すら少ない。そんなFMXを全国に普及させたい、と集まったTOPクラスのライダーたち。

19車両は主に、モトクロッサーをベースにカスタマイズ。宙を舞い、さまざまな技を繰り広げて観る者を魅了する。その姿はまさにフリースタイル。

20ただ飛んでいるだけでも興奮する高さ。さらに有り得ない技が次々と繰り出されていく。

2130分続くパフォーマンスも観ているとあっという間に過ぎてしまう。最後は難易度の高いバックフリップ(後方宙返り)。8耐を観に来てこんな高度なパフォーマンスを目の当たりにできるとは、今年来た人たちは本当にラッキーだ。

22試乗エリアでは新車のみならず、オールドモデルにも乗ることができる。いまとなっては失われていくのを待つしかない2ストロークバイクも試乗可能。

23決勝当日の『PIT WALK』では前年を上回る賑わいを見せた。ピットレーンはサーキットコース周回方向に下り坂となっており、こちらは第1コーナー側から最終コーナー側を見た光景。

24建物のつくりを見るとその斜度がわかるだろうか。こちらは最終コーナー側からの光景。この斜面でピットインしたマシンを立たせ、秒殺でホイールを交換し、給油しているのだ。

25この日は『エヴァンゲリオンレーシングレースクイーン』もピット前でチームの応援とファンサービス。各チームのピット前にはマシンが置かれ、選手のサインを受け付けたり、レースクイーンが華を添えたり、とにかく一番近くでチームに接触できる貴重な時間。

26『PIT WALK』が終わるとおよそ1時間後にはいよいよ決勝レースがスタートする。レース関係者全員の意識がその瞬間に向けて集中していくのがわかる。ケビン=シュワンツ選手は最終コーナーを見つめながら、吉村不二雄監督に何かを伝えている。

27同じくヨシムラ若手チームの津田拓也選手も徐々に集中力を高めている様子。

28観客がピットレーンから居なくなったタイミングを見計らって、だいたい各チームは集合写真を撮影する。注目チームにはメディアが撮影に当たるが、『Team GREEN』はその数も多い。注目度の高さがうかがえる。

29決勝スタートは11時30分。10分前のウォームアップ走行からポツポツと雨が降り始め、やがて大粒の雨に。“START DELAYED”のサインボードが出され、赤旗が振られる。しばらく様子を見ることに。

30マシンも人も一旦ピットイン。時刻はスタート時間を過ぎた11時42分を示している。

31逃げ場の少ない観客席。しかしこれも夏の祭典の風物詩と、開き直って受け入れる。大粒の雨がさっきまでの暑さを一気にクールダウンしてくれる。

32小降りの雨となって進行再開。12時25分ウォームアップ走行開始。

33ウォームアップからホームストレートに戻ってスタートの準備。観客の気分も昂ぶってくる。

3412時35分決勝戦スタート。1時間5分遅れのスタートとなり、ゴールの時間は変更できないので6時間55分の耐久レースとなる(ほぼ7耐)。これは鈴鹿8耐史上初の出来事。

35国内4メーカーが出揃った2014年、グランドスタンドの観客席は大いに賑わっている。#634『MuSASHi RT HARC-PRO.』の応援に集まった人たち。

36おとなりはヨシムラをはじめとするスズキの応援席。

37そのとなりにはホンダ。

38さらにヤマハ。

39そしてカワサキのライムグリーン。

40午後になるとスタート時の雨がウソのようにカラリと晴れたドライコンディション。観客席にも人が戻ってきた。

41シケイン付近のスタンドから眺める最終コーナーから立ち上がりの風景。

42シケインはマシンがもっとも速度を落とす低速コーナーの連続。フルブレーキングや車体を右から左へ切り返すシーン、オーバーテイクする瞬間を見ることができるので、観戦するにはいいポジション。

43レース中はゲリラ的に雨が降る不安定な天候だったため、雨粒を感じたらスタンド下に回避する観客多数。

4419時30分、チェッカーフラッグ直後のホームストレート。ピットからはチームスタッフが出てきてライダーの戻りを待つ。コース左脇の緑の芝生エリアに注目。

45セーフティカーの先導でマシンが続々と戻ってくる。

46チェッカーフラッグが振られてレース終了が告げられるとコース脇のゲートが開放され、先ほどの芝生エリアには観客がなだれ込んでくる。

47ついにコース上にも観客が押し寄せ、ピットレーン出口でUターン逆走して戻ってくるライダーたちを出迎える。このあとしばらくはもみくちゃな状況。これぞ鈴鹿8耐終幕の光景。

48戻ってきたライダーたちはマシンをパルクフェルメに収容する。上位3チームのマシンは別枠に格納され、表彰式を迎える。

49TOP3表彰式のあと、盛大な花火で祭りの終わりを告げられる。夜空に輝く花火を見て、ようやく“お疲れ様”となるのだ。

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