タバックス Z1(カワサキ Z1)

掲載日:2015年04月08日 プロが造るカスタム    

取材協力/タバックスエンジニアリング

記事提供/ロードライダー編集部

※この記事はロードライダー特別編集『ザ・カスタムマシン2014』に掲載された内容を再編集したものです

TAVAX Z1(KAWASAKI Z1)

アルミのハンドメイドで究められた
造形とフレームワークのスペシャルZ

市販車フレームのアルミ化や、キャスト→中空スポーク→軽量スポーク等ホイールの進化が進んだのはバイクブームが訪れていた’80年代のことだった。その技術をいち早くZに投入、フルアルミフレーム化したZ1を’90年代初頭に完成させてカスタム界の仕掛け人となったのがタバックスエンジニアリングの田端 賢さんだ。その後2011年にはタバックス2011Vという、エンジンとホイール/タイヤ以外ほぼオリジナルフルアルミで作った車両を持ち込んでアメリカAMDカスタムショーで第1位、つまり世界一を得た。

そこでこのZ1だが、じつはこれ、前述のタバックス・アルミZ1そのもの。’90年代初頭に作られ、長く田端さんの手元にあった後、田端さんに近いオーナーに譲られたものだ。リヤサスがKYB→オーリンズになったり、キャブレターがCR→FCRになったりこそしているものの、オールハンドメイドのフレームや足まわりはそのまま。

「このZ1を作る前に、モリワキ・モンスターのような形のフレームを作ってZ1エンジンを積んで、鈴鹿8耐に出そうと考えてたんです。規定変更で実現しませんでしたけど。それで当時僕はプライベートでも行き詰まってて、それらを突き抜けようってこのZ1を作ったんです。Zはずっと大好きで、何かやってやろう、それでいいことがあるかなと」と当の田端さんは往時を振り返る。

このフレームも7N01パイプを自身で曲げて、溶接したもの。しかも片側ループは接合でなく1本の長い素材で構成されるなど、独特だ。

「部材を継いで作るのは市販車をはじめよくありますよね。僕は物作りが好きなこともあって、そのこだわりで、きれいに作りたかったんです。だから、こんなループ構成」

後に作られる2001Z、2006Zという2台のアルミフレームZ、先の2011Vもハンドメイドパーツばかり。仕上げも今年に入るまで、耐水ペーパーでやっていた。

「僕はとにかく手でやって、感触を確認していかないと気が済まないんです。だから板を叩き出して、溶接して、手で磨く。アホでしょ(笑)」

そんなアルミの各パートとフレームは朽ちることなく、今も元気で、古くさく思える箇所がないのもスゴイと思える。田端さんは頭に浮かぶカッコイイデザインを、自らの手で大好きなZに投影し表現した。その形はある意味普遍となり、一方では大きく形や印象を変えないまま、新しい流れを取り込むこともできている。2014年新作の叩き出し製カムサイドカバーはその流れのひとつだろう。

独創的で原点にして、最先端。そんなカスタムの理想型を、このZ1は示してくれていると言えそうだ。

TAVAX Z1(KAWASAKI Z1)の詳細は次ページにて

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