オートショップ ドリーム / GSF1200S カスタム写真
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スズキ GSF1200S

掲載日:2011年09月14日 プロが造るカスタム    

油冷独特のトルク感を生かすべく
足まわりを現代的にモディファイ

ハヤブサが登場する以前、'80年代中盤から'90年代の終わりまで長い期間、スズキのフラッグシップだったGSX-R1100。その中でも'92年型までが搭載していた油冷エンジンは、水冷のような補機類を必要としないことから軽く、十分なパワーを持ち、そして頑健というメリットを持っていた。GSX-R1100はより安定して性能を追うために水冷化したが、その油冷直4エンジンが持つ前述のようなメリットは、ネイキッドからツアラーまで多くのモデルに、まだまだ使えるとして生かされていった。

 

1995年に登場したGSF1200(輸出名および2000年以降=バンディット1200)とそのハーフカウル装着仕様、GSF1200Sは、このクラスでは少数派となるリンク式モノショック採用のシャシーにその油冷エンジンを搭載。幾度かのマイナーチェンジを経て'07年型で水冷1250cc/FI化されたが、油冷時代から高いポテンシャルを秘めたモデルだった。

 

このGSF1200Sは、その潜在能力をフルに引き出した1台だ。当初は吸排気系のみを変更していたが、後にワイセコφ80.5mm鍛造ピストンや'92年型GSX-R1100用カムを用いてチューン。160ps近くに達したパワーに対処するべく車体チューンにも着手しなければならなくなりったが、その足まわりはダイマグホイール、ブレンボ製ブレーキ、ウイリー製スイングアームなどで一新され、走りのバランスを整えていった。あくまで最新スーパースポーツと比較しての話だが、ネイキッドの足まわりはコストを抑えているため、アフターパーツに交換するだけで運動性能が上がることが多い。

 

作業を担当したオートショップ・ドリームの宮川さんによると、この車両の現状での性能は最新のスーパースポーツに近くなっているそうだ。しかし、ここまで手を入れるのなら、ハヤブサあたりを買ったほうがいいような気もするが、単純にそうとも言い切れない部分が、やはりあった。

 

「オーナーの平道さんは、油冷にこだわっているんです。押しの強さって言うんでしょうか、このエンジンには独特のトルク感がありますよね。重い車体が猛烈な勢いで加速していく気持ちよさは、やっぱり一度ハマるとヤミツキになってしまうんでしょう(笑)」という宮川さんの言はそれをよく表している。性能のみでないフィーリングは、バイク選びではやはり重要なのだ。

 

スタイルといい内容といい、この時点で既に完成の域に達した感もあるこのGSF1200S。撮影自体は2005年頃に行ったが、当時平道さんはその後もこの油冷GSFにこだわってカスタマイズを続けていくと言っていた。それが2010年以後も各部のアップデートを行って、元気に走っていた。完成の先にさらに見えるもの、それも楽しみな1台となっている。

スズキ GSF1200Sの詳細写真は次のページにて

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