エンジニアリング キヨナガ / ZEPHYR1100 カスタム写真
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カワサキ ゼファー1100

掲載日:2011年03月30日 プロが造るカスタム    

空冷並列4気筒の限界に挑んだ
驚くべき1400㏄ファイター

ヘッドライト下に置かれたオイルクーラーや青く塗られたシリンダー、倒立フロントフォークなど、見る人が見れば、一瞬でタダ者ではない雰囲気を感じる取ることのできる、このゼファー1100。カスタムプランは「通勤仕様をポテンシャルアップしたい」というオーナーの希望からスタートしたそうだが、最終的には「走る・曲がる・止まる」の、バイクに必要とされる3要素のレベルアップだけでなく、超弩級のパワーまで手に入れる結果となった。

 

その超弩級のパワーを得たという注目のエンジンは、神奈川の SOHCエンジニアリング で4セットが製作されて、そのうち3台が実走中というφ82mm(ゼファー1100のSTDはφ73.5mm)ピストン(ストロークはSTDの62.6mm)を組み込んだ1062→1400ccユニットで、2速でも容易にパワーリフトするという超極太トルクを発生。ゼファー1100の重量のあるクランクシャフト(これは水冷4気筒グランドツアラー、ボイジャー12由来というエンジンベースがプラスに働いた)とのバランスも非常にイイとのことだ。

 

もちろん、このようにエンジンだけをパワーアップしても、車体や足まわりがそれに見合ったレベルに達していなければ、宝の持ち腐れになってしまう。そこでエンジニアリング・キヨナガでは、スチールパイプ製のメインフレームの4カ所に補強を追加した上で、足まわりにスズキGSX-R750用倒立フォーク、カワサキZXR750用スイングアーム&ホイール、オーリンズ製リヤショックなどを組み合わせていく。製作は2000年前後なので今ならばまた別の選択肢も考えられるのだが、当時としても十分な組み合わせを起用。各パートの強度そのものを上げると同時にワイドホイール化やブレーキ強化も実現しているのだ。

 

さて、空冷4気筒エンジンでφ73.5→82mmと9.5mm、1気筒で1㎝近くの拡大。また元が1100cc近いところから、1400ccへ。このようにここまでボアを広げると、気になるのは各気筒同士、あるいは総量としての発熱対策だが、キヨナガではこの問題を、オイルクーラーコア本体をアンダーブラケット前部に設置するという方法で解決。製作後1年を経た時点ではストリートでの走行でも、油温にはまったく問題は出ていないとのことだった。この手法はハンドルまわりの重量が増えるというデメリットはあるが、走行風がコアによく当たり、エンジンの熱の影響を受けにくく、しかもコアを通った風の抜けも良い位置で、熱を帯びた通過風はエンジンに当たらないということで、なかなか技アリの選択。

 

大排気量化やパワーアップは扱いにくさを考えがちだが、やり方によっては低速域パワーの充実で楽に走れる要素が増すなどのメリットも出てくる。このゼファー1100は、ベース車の素性が大排気量化に向いていてメリットを享受しやすかったこともあって、当初立てられた「通勤仕様のポテンシャルアップ」というプランにも応えたというわけだ。

エンジニアリング キヨナガ(ERK) ゼファー1100の詳細写真は次のページにて

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