CLASS FOUR ENGINEERING / Z1000J カスタム写真
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カワサキ Z1000J

掲載日:2010年11月22日 プロが造るカスタム    

今日のカスタムスタイルを確立した
ハイバランスド・J系改

カワサキZの後期型と言える“J系”=Z1000J/R/GPシリーズ。初代Z1の登場から約10年を経て、世界的に日本製のビッグバイク=リッタークラスの4気筒というカテゴリーの人気が確定し、レースにも多く使われるようになった。また、北米・欧州を中心に、こうした日本製モデルがどのカテゴリーにおいてもバイク界の牽引役であり、高性能・高品質の代名詞であるという認識がこの頃には完全に定着。日本はバイク製造にかけては先進国となっていた。AMAスーパーバイクやヨーロッパの耐久レースなどでは世界のどのメーカー、ではなく、日本のどのメーカーが出るのか、何を走らせるのかが興味の的になるほどと言えば分かるだろうか。

 

Z1000Jはそんな頃、アメリカのAMAやヨーロッパのレースレギュレーションが排気量を1000cc上限と定めたのに沿って、排気量を998ccに改め、車体もコンパクト化するなど一新した新世代Zとして登場した。外観上はZ1~Z1000のラウンドラインと、直前のモデルとなったZ1000Mk.IIの角型の双方を意識してか丸タンクと角タンクが仕向地ごとに用意され、角タンク車はビキニカウルを標準装備し、そのコンパクトさに反してボリューム感も見せる絶妙な構成を取っていた。

 

日本ではMk.IIまでの前期型Z系ほどには意識されていなかったのだが、本項でも何度か述べてきた'90年代初頭のカスタムブームで、一気に人気が広がり、認識されるようになった。その中核にあった1台が、今回紹介するクラスフォー・エンジニアリングのZ1000Jだ。クラスフォーはこのJ系カスタムを、かなり早い時期=ブーム初期から積極的に手がけてきた。初期にはこれも本項ですでに紹介したように、ドラッグレースなどのノウハウを生かしたかなりハードなエンジンチューンなども行っていたが、その後『乗っても、眺めても楽しめる車両』という路線へと段階的に移行、その流れを2010年の現在も維持している。J系を積極的に手がけたのも、前述したように丸タンクの前期型Z系より車体、エンジンともコンパクトで、運動性能にも優れているというJ系ならではのメリットを見越してのことだった(角タンクのルックスがよりワイルドで、かつクラスフォーの得意とするアメリカン・スタイルのカスタムと相性が良かったということもあった)。

 

とは言え、1993年にロードライダー誌面で紹介したこの車両を見ると、いかに当時のカスタムが武骨な外観を持つていたかが分かる。とくにオイルクーラーからエンジン周部を通って取り回されるステンレスメッシュホースやフィッティング類、ブラスト加工されたエンジンヘッド、ミクニ製TMキャブレターなどが醸し出す存在感は、'80年代のプロダクションレーサーのそれに近い。

 

一方で、'90年代初頭からわずか数年の間に急速に進歩した部分が見受けられるのも、じつに興味深いところ。それがとくに顕著なのは足まわりで、ショーワ製φ43mmフォークには、19/18→前後17インチ化によるディメンション変化を補正するための上下ブラケット変更(この車両では'89年型スズキGSX-R1100純正を流用している)が施されているし、社外製アルミスイングアーム装着、ブレーキまわりの変更といった、現在の定番メニューとなる仕様もほぼすべて網羅している。この後、国内各メーカーから専用パーツが続々と発売され、カスタム市場は一気に成熟を迎えるのだが、その先駆けとなったのは、こうした老舗ショップによるカスタムだったのだ。

ACサンクチュアリー CB1100Fの詳細写真は次のページにて

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