ヤマハ MT-09
ヤマハ MT-09

ヤマハ MT-09 – 大幅刷新が図られても基本的な特性は不変

掲載日:2017年04月04日 試乗インプレ・レビュー    

レポート/中村友彦  写真/真弓悟史  記事提供/ロードライダー編集部
※この記事はカスタムNo.1マガジン『ロードライダー』の人気企画『New Model Impression』を再編集したものです

初代がやんちゃで過激な特性だったモデルが、二代目でマイルドな方向に軌道修正を図るのは、バイクの世界ではよくある話。だがしかし、今春から販売が始まった二代目MT-09は、かなり緻密で広範囲に渡る仕様変更を行いながらも、初代と同様のエキサイティングでアグレッシブな乗り味をきっちり維持していた。

大幅刷新が図られても
基本的な特性は不変

外装/保安部品の大幅刷新に加えて、クイックシフターとトラコンの追加、アシスト&スリッパークラッチの導入、吸排気系の見直しなど、かなり緻密で広範囲に渡る熟成が行われた2017年型MT-09。このMT-09を試乗するにあたって、僕が最も興味を抱いていたのは、やんちゃで過激だった初代に対して、どのくらいのマイルド化が図られているかということだった。

もっとも、ヤマハからそういった類のアナウンスは一切ない。とはいえ、2014年に乗った初代MT-09の乗り味に違和感を覚え、基本設計を共有する兄弟車のMT-09トレーサーとXSR900(2015/2016年)のフレンドリーさに感銘を受けた僕は、二代目MT-09は角を丸める軌道修正を行って来るに違いない、と勝手に想像していたのだ。しかし、実際に乗った2017年型は……?!。

ヤマハ MT-09の試乗インプレッション

相変わらず、やんちゃで過激だった。STD/Aモードでスロットルを開ければ、いとも簡単に前輪の接地感が希薄になるし、逆にフロントブレーキをちょっとでも強めにかけると、後輪が路面から離れそうな気配を感じる。腕のあるライダーならウイリー&ジャックナイフがやり放題なわけだが、一般的なライダーには、このアグレッシブさは手強く感じるだろう。

ただし、意外なことに2017年型MT-09では、そうした感触が違和感にはつながらなかった。その理由は、僕がすでにトレーサーとXSRの扱いやすさを知っているからで、逆に言うならこのシリーズの登場順が、トレーサー→XSR→MT-09だったら、そもそも僕はMT-09に違和感を持たなかったかもしれない。いや、今の時点でそんな考察をする意味はないものの、この日の僕はMT-09のやんちゃさと過激さは、大いにアリ!と感じたのだ。

ヤマハ MT-09の試乗インプレッション

さて、前フリ的な文章がずいぶん長くなってしまったけれど、従来型と比較すると、2017年型MT-09は爽快感という面で明らかなレベルアップを果たしていた。特に感心したのはギアチェンジが超スムーズに行えるクイックシフターとアシスト&スリッパークラッチの出来の良さ。さらに、吸排気系の見直しで官能的な吹け上がりを見せるようになった並列3気筒エンジンや、圧側減衰力調整機能を追加すると同時にダンパー全体の存在感が増したフロントフォークも、2017年型を語るうえでは欠かせない要素だ。

ヤマハ MT-09の試乗インプレッション

フロントマスクに目が奪われがちな2017年型MT-09だが、ライセンスプレートホルダーを別体式(ブラケットはアルミ鍛造製)としたショートテールもかなり大胆な構成。ラジエーター周辺にはサイドフィンと大型エアスクープが新設されている

なお初代に乗った際は、位置が後ろすぎるステップと傾斜角が強いシートに疑問を感じたものだが、今回はこの設定が猛烈な加速に対応するためと気付き、同時にMT-09はスロットルを開けてナンボのバイク、加速の快感に的を絞ったバイクであることを、改めて認識することになった。

このように、今回の試乗でMT-09への印象は変化したが、僕はこのバイクでロングツーリングに出かけたいと思わないし、誰しもに勧めるつもりもない。とはいえ、かつてのRZシリーズや初代YZF-R1のような、やんちゃで過激でアグレッシブなストリートバイクを求めるライダーには、二代目MT-09は最高の選択肢になるはずだ。

MT-09の詳細写真は次のページにて

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