スズキ GSX-R750 試乗インプレ・レビュー

スズキ GSX-R750
スズキ GSX-R750

スズキ GSX-R750

掲載日:2017年03月31日 記事カテゴリ 試乗インプレ・レビュー   

取材・文/佐川 健太郎  写真・動画/山家 健一  衣装協力/HYOD

栄光とともに熟成を重ねた
スーパースポーツの元祖

GSX-R750は1985年に初代が登場して以来、現在まで30年以上にわたって世界中で愛され続けてきたスーパースポーツの元祖的存在である。85年のデビューイヤーから当時の国内4ストロードレースの最高峰であるTT-F1クラスにおいて3年連続で王座に輝くなど圧倒的なパフォーマンスを証明。海外のメジャーレースでも活躍した。2000年代から全日本選手権やスーパーバイク世界選手権でのレギュレーション変更に伴い排気量が従来の750ccから1000cに変更されたことで、また国内メーカーの大型バイクに関する排気量自主規制撤廃などにより“ナナハン”はクラスとしてはマイナーになっていったが、それでもGSX-R750は栄光とともにその名を人々の記憶に刻みつつ、着実に進化熟成を重ねてきた。その最新モデルをあらためて試乗してみた。

動画『やさしいバイク解説:スズキ GSX-R750』はコチラ

スズキ GSX-R750 特徴

600ベースの車体に150psパワー
最新のBPFとブレンボを搭載

スズキ GSX-R750の試乗インプレッション

GSX-R750は1985年のデビュー以来、サーキット性能を追い求めたスーパースポーツとして長年にわたって進化熟成を重ねてきた。2011年にフルチェンジされた最新モデルはGSX-R600をベースに排気量を拡大した仕様で、伝統の水冷直4DOHC4バルブ750ccエンジンは最高出力150HP/13,200rpmを発揮。エンジン搭載位置をドライブシャフト中心に3°後方に回転させることでホイールベースを15mm短縮し、コーナリング性能も向上させている。また、ライダーの好みや目的に応じて2マップから出力特性を選択できるS-DMSを搭載することで、パフォーマンスと使いやすさを追求。バックトルクリミッターを装備しスムーズなシフトダウンを実現するとともに、電子制御式ステアリングダンパーによって安定性とシャープなハンドリングを両立するなど運動性能にも磨きをかけた。

スズキ GSX-R750の試乗インプレッション

車体面では軽量化に重点を置いた新設計アルミキャストツインスパーフレームを採用し、ディメンションを最適化。新た採用されたショーワ製の倒立式ビッグピストンフロントフォーク (BPF)はレース技術をフィードバックしたもので、特にタイトコーナーなど低速域における優れた減衰性能とダイレクトな操作感を実現。コーナー全般で路面追従性と旋回性が高められた。サスペンションは前後ともにフルアジャスタブルで、リア側のリンク式モノショックは圧側減衰力調整にハイ・ロースピードの2ウェイアジャスターを採用することで細かなセッティングに対応。ブレーキシステムには新たにブレンボ製ラジアルタイプの軽量モノブロック対向4ピストンキャリパーを新たに採用し、ピストンサイズをφ32-30mmからφ32-32mmに変更することで制動力とコントロール性を向上。リアブレーキは新型のNISSIN製軽量キャリパーが採用されバネ下重量も軽減された。

スズキ GSX-R750の試乗インプレッション

さらに、ライポジはコンパクト化され、ハンドル切れ角も1度増加。3段階に調整可能なフットペグを備えるなど、エルゴノミクスを考慮した快適性とフレキシビリティが与えられている点も見逃せないポイントだ。

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スズキ GSX-R750 試乗インプレッション

分かりやすい乗り味に
素性の良さがにじみ出る

スズキ GSX-R750の試乗インプレッション

GSX-R750は自分にとってとても懐かしさを感じるモデルだ。当時は2ストレプリカブームの真っ只中にあったが、その中で400に続いて発売された750は4ストマシンで戦う最高峰クラスのTT-F1レーサーそのままの姿で登場した。街で大型バイクを目にすることがまだ稀だった時代、油冷エンジンの粗野で図太いエキゾーストノートを轟かせながら2灯ヘッドライトで迫りくる様はさながら耐久レーサーを思わせた。古き良き時代の思い出だ。

翻って現在。かつてメジャーだった750ccクラスはレースカテゴリーとしては消滅したが、スズキは伝統のR750を今もこだわりを持って作り続けている。600ccのハンドリングと1000cのパワーを兼ね備えたベストバランスの排気量として、一部マニアの間では根強い人気を誇っているモデルだ。

スズキ GSX-R750の試乗インプレッション

エンジンは十分パワフルで公道では十分すぎるレベルと言っていい。試乗したのは欧州フルパワー仕様で150psの最高出力はリッター換算で200psに相当することからもパフォーマンスの高さは一線級だ。

肝心の出力特性だが、全域フラットでとても扱いやすい。特に素晴らしいのはボリューミーな低中速トルクで、6速2000rpm程度のトップスローからでもノッキングすることなくスムーズに吹け上がっていく。S-DMSは2段階でAモードがフルパワー、Bモードが点火制御によってマイルドな特性にしているが、基本的にどちらも扱いやすさに変わりはない。

サウンドも素晴らしい。回転数を上げるに従ってワイルドな重低音からレーシーな高周波へとオクターブを超えていくエキゾーストノートは、街を流しているだけでも気分が高揚してくる。

スズキ GSX-R750の試乗インプレッション

今回は公道での試乗につき、ハンドリングについては日常域での話になるが、全体的にしっとりと安定感があるものだ。ステップや体重移動に対する車体の動きは非常にレスポンシブだが、そこに怖さがない。倒し込みの感覚がニュートラルで、どこかでフラっと倒れてしまいそうな不安がない。どんなライダーでも馴染みやすい味付けだと思う。かつてサーキットで試乗したこともあるが、きっと同じ感覚だったと思う。

ブレーキは特にフロントが良くできていて、効くのはもちろんだが微妙な速度コントロールもしやすい。BPFのお蔭もあると思うが、コーナー進入時におけるマシンの姿勢制御がとても自然にできる感じだ。つまり、曲げやすいのだ。

もうひとつ特筆したいのが乗り心地の良さ。GSX-Rシリーズに共通するキャラクターなのだが、サスペンションがソフトで路面の凸凹を美しく吸収してくれる。SSと言うと、高荷重設定ガチガチの足まわりと思われがちだが、GSX-Rはその逆でしなやかさが際立つ。BPFの特性もあると思うが、街乗りレベルでも硬さを感じないところがいい。跨っただけでスッと沈み込む前後サスと、810㎜というSSとしては極めて低いシート高も相まって、足着きが抜群に良いこともメリットだ。

スズキ GSX-R750の試乗インプレッション

トラコンやABS、電子制御サスペンションなどの最新デバイスは入っていないが、逆にシンプルが故にスーパースポーツとしての素性の良さが分かりやすいとも言えるかも。熟成されたエンジンとハンドリングの完成度も高く、ハンドル切れ角が十分あって足着きも良くUターンもしやすいなど、ビギナーでも気持ちよく操れる懐の広さも魅力だ。GSX-Rが好きでナナハンにこだわりがある人には是非おすすめしたいモデルである。

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詳細写真

熟成された水冷並列4気筒DOHC4バルブエンジンはコンパクトな600ccベースながらボア・ストロークともオリジナルの設定で最適化されたもの。チタン製吸気バルブやクランクケースケース内ベンチレーションホールなどにより、ポンピングロスの低減と軽量化を実現し、低中速トルクの増加に貢献。

ラジアルマウントのブレンボ社製軽量モノブロック対向4ピストンキャリパーを採用。ピストンサイズは直径32-30mmから直径32-32mmに強化され、マウンティングボルトは中空タイプとするなど軽量化が図られている。

R1000と共通の小型軽量タイプのNISSIN製リアブレーキキャリパーを採用。従来型と比較して262g軽量化されバネ下重量の軽減に貢献している。

軽量・コンパクトを追求しながら防風効果の高いデザインを採用したフロントカウル。縦2灯ヘッドライトは現行GSX-Rシリーズのアイデンティティだ。ウインカーはバックミラーにビルトインされ空力を向上させている。

シートカウルと一体化したデザインの灯火類。テールランプとブレーキランプはコンパクトで被視認性の高いLEDタイプを採用する。

サーキット走行やスポーツライディング、街乗りやロングランでの快適性も含め、さまざまな走行状況を考慮したデザインとした燃料タンク。容量も17リットルと実用的だ。

前後で完全に独立したデザインのシート。スーパースポーツとしてはライダーシートも厚みがあって座り心地が良く、リアシートもタンデムに十分なスペースを確保している点に注目したい。シートレールも跨ぎやすさを考慮しスリム化されている。

レーシーなトライオーバル断面が特徴的なマフラーは4-into-1エキゾーストシステムを採用。ステンレス製エキパイ、チャンバー、チタンサイレンサーで構成され、コンパクトかつ軽量に仕上げられている。

レース技術のフィードバックで開発されたショーワ製倒立テレスコピック式ビッグピストンフロントフォーク (BPF) を採用。φ41mmのインナーチューブおよびアウターを含め全体が新設計で、従来比べて1,040gの軽量化を実現している。

アルミ鋳造製スイングアームは従来どおりだが、フレーム各部の見直しによりホイールベースを15mm短縮化に成功。フットペグは3段階に調整可能としフレキシブルなライポジを実現。重量も従来型から53g軽量化された。

出力特性を選択できるS-DMSを搭載。パフォーマンスと使いやすさを追求し2マップ選択タイプで、よりスムーズな操作のためにS-DMSスイッチは左ハンドルバーに移動している。

インストルメントパネルは2010年GSX-R1000と共通の多機能タイプを採用。ギアポジションインジケーター、ストップウォッチ、ラップタイマー機能を搭載し、サーキットやワインディングでのスポーツティな走りに対応。

スズキ GSX-R750 動画でチェック!

SPECIFICATIONS – SUZUKI GSX-R750

SUZUKI GSX-R750 写真

価格(消費税込み) = 154万4,400円
※表示価格は2017年3月現在

1985年の発売当初より、スポーツライディングを楽しめるスーパースポーツとして、30年以上にわたって進化・熟成を重ねたスーパースポーツ。750ccならではのベストバランスが魅力。

■エンジン型式 = 4ストローク 水冷4気筒DOHC4バルブ

■総排気量 = 750cc

■ボア×ストローク = 70.0×48.7mm

■最高出力 = 110.3kW (150HP) / 13,200 rpm

■最大トルク = -

■トランスミッション = 6速リターン

■サイズ = 全長2,030mm× 全幅710mm ×全高1,135mm

■車両重量 = 190kg

■シート高 = 810mm

■ホイールベース = 1,390mm

■タンク容量 = 17リットル

■Fタイヤサイズ = 120/70-17

■Rタイヤサイズ = 180/55-17

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