ホンダ CB1100 RS/EX 試乗インプレ・レビュー

ホンダ CB250F
ホンダ CB250F

ホンダ CB1100 RS/EX

掲載日:2017年02月02日 記事カテゴリ 試乗インプレ・レビュー   

レポート/和歌山利宏  写真/徳永 茂

今回のモデルチェンジで、新たなバージョンとして追加されたのが、前後ホイールサイズを17インチとしたRSだ。CB1100で共有するゆったり感はそのままに、今日的なスポーツネイキッドらしい走りが作り込まれる

ネイキッドの標準形を今日に問うRSの資質

2010年に登場したCB1100が大きく刷新された。

熟成進化されたEXと新登場のRSを見て、まず印象的なのが、魅力的に生まれ変わった外観と質感だ。高品位塗装されたフランジレスの燃料タンク、アルミプレス製サイドカバー、バフ仕上げのステップホルダーなど、手造り感に溢れた曲面基調の造形や仕上げには、オーナーの愛着も高まるというものである。

さて、CB1100は、近年のバイクが先鋭化され、強い個性を主張する中、ライダーが主役になれる本来の姿を追求し生まれてきた。マシンがライダーを追い越すことのない特性が作り込まれているのだが、それが2013年型からは、ライダーを追い越すことなく、より忠実にライダーに追随してくれるものへと進化。走りの質が高次元化されてきた。

いずれにせよ、そうした狙いから、CB1100のホイール径はこれまで、前後18インチとされてきたのだ。実際、大きい走りのリズムがライダーの感性にもしっくり来る。

ところが、このシリーズには今回、新しく前後17インチとしたRSが加わることとなった。ユーザーのハンドリングや乗り方の好みに広く応えたわけだが、果たして、それで本来のゆったり感が損なわれることにならないのか?一抹の疑問が湧かないわけでもなかった。

でも、それは杞憂に過ぎなかったようである。前後17インチによる今日的なハンドリングとライディングスタイルが作り込まれていても、CB1100本来の鷹揚さは損なわれていなかったのだ。

そればかりか、ライディングポジション、エンジン特性や足まわりがRSのキャラクターに最適化され、ひとつの新しい完成形を感じさせる。17インチ化による軽薄さが微塵も感じられないばかりか、多くの前後17インチモデルとも一線を画する存在感を主張していたのである。

そのライディングポジションはハンドル位置が低くなっている。そして、17インチのフロントは、ヘッドパイプを低い位置に保ちながら、クイックに向きを変えていこうとする。それに合わせて、ライダーはやや前傾したライディングポジションを生かして、前方に身体を動かし、その回頭性を引き出していく。

ホンダ CB1100の試乗インプレッション

CB1100RS

このRSは今回モデルチェンジされたニューEXよりも3kg軽く、また新型ではシリーズ全モデルのマフラーが70mm短く、2.4kg軽量化されており、マスも集中化されているので、その点でも軽快で運動性能も向上しているというわけだ。

しかも、前輪のクイックに曲がる力は、φ43mmに大径化されたフロントフォークを介し、ダイレクトにマシンに伝わってくる。ニューEXと同様にフロントフォークには、急激な沈み込みを緩和できるSDBV(デュアルベンディングバルブ)が採用されており、リアに採用されたリザーバータンク付き分離加圧ダンパー共々、走りを引き締めている。

また、EXから車両姿勢を前下がり、後上がりとし、キャスター角を1度立てた車体ディメンションも見事にマッチング。EXを手直ししたものと思えないほど、変更が車両性格に溶け込んでいるのだ。

そうしてコーナーでスロットルを開け、リアにトラクションを伝えていくと、タイヤへの荷重の高まり感やトラクションの限界感は、まさに現在のリア17インチバイクのそれ。僕自身、この今日的に完成された特性に慣れ親しんでいるだけに、やはり自信を持たせてくれる。攻める気にもさせてくれるというものだ。

スロットルレスポンスもシャープにアレンジされ、トラクションの高まりとシンクロ。その点でも今日的だ。トルク特性も、6~7,000rpmぐらいからの吹け上がりがシャープで高回転域の伸びも良く、スポーティな高回転型を思わせる。

となると、もうEXとは別物。と思えてくるものの、ライダーの感性に対して先走らないCB1100らしさを一切崩していない。これを今日的なネイキッドスタンダードとすることに異論はない気分だ。

ホンダ CB1100の試乗インプレッション

前後18インチのスポークホイールを履くEXも大きく刷新された。鷹揚な走りに磨きが掛けられ、さらなる伝統的な持ち味が放たれている。この写真で乗っているのはローハンドルが組み込まれた、タイプⅡの方だ

伝統的スタンダードが高次元化されたEX

一方のEXは、外装もRS同様に刷新されたものの、従来型EXの正常進化版と考えていい。でも、RSが生まれたことで、電子制御マップなどの差別化も明確になり、EXらしい鷹揚さがさらに引き立っている。

大型のアップハンドル(タイプⅠ)に身構え、直立した上体からシートにたっぷり荷重。フロントが大きくゆったりと切れて向きを変え始めるのを、リア荷重の体勢で見守る。

これは、フロント19インチ時代のロードスポーツが持つ味わいでもある。現存機種でこのフィーリングを持つモデルを僕は知らない。そして、そのゆったりとしたフロントの動きを、RSのφ43mmよりも小径(従来通りのφ41mm)のフォークが、しなやかに伝えてくる。

ただ、その辺に注目すると、ローハンドル仕様のタイプⅡは、EX本来のキャラには合わないと思う。ライダーに前方への体重移動を強いてしまうからである。EXの良さを知ってもらうため、ここはあえて私見を述べさせていただく次第である。

HONDA CB250Fの試乗インプレッション

CB1100EX

スロットルレスポンスには、いい意味でのダルさがあり、昔の丸キャブのレスポンスにも通じる穏やかさで、優しい。これが前後18インチの走りのリズムや、トラクション感覚とも噛み合っているのである。トルク特性も低中回転域が豊かで、全域におけるフラット感があり、車輌性格とのマッチングも良い。

ただし、このように古き良き時代を彷彿とさせても、古さを感じさせることはない。全てが今日的に改良を受けていることも見逃せない。

アシストスリッパークラッチの採用でレバー操作力は16%軽減され、扱いやすい。先の通り、従来型EXから5kgも軽量化された車体は、動きに鈍重さを感じさせない。また、前後サスペンションは乗り心地重視ながら、フロントのSDBVは急激な姿勢変化を抑えてくれるというわけだ。

また、RSも含めて、エキゾーストサウンドにも改良の手が入れられ、混ざり気のない低音のサウンドを響かせてくれる。車両性格も含めて、一切のストレスを遮断してくれている印象である。

EXには、伝統的スタイルが今日的に再現されていると言って差し支えない。CB1100シリーズが持つ普遍的な魅力を、ここでまた再認識したというわけである。

詳細写真

CB1100RS

クラッチには、インナーとアウターの噛み合いカムを斜めにすることで、アシスト効果とスリッパー効果を得ることのできるアシスト機構が採用された

ホイールは17インチのキャストタイプ。RSではブレーキキャリパーがトキコ製ラジアルマウント式で、正立フロントフォークはφ43mmとなる

リアショックには、RS専用のリザーバータンク付きの分離加圧式を採用

一般的な燃料タンクが持つタンク底板を縁取るフランジを排除し、彫りの深い曲面基調のフォルムを実現。容量は2L増の16Lだ。RSを主張するラインも入る

RSのダブルシートはスポーティ指向のもの。車高の違いでシートは5mm高い

メーターは伝統的な2眼式で、インジケーター部にめっきカバーを追加する。速度、回転計下側の金属製カバーは、EXのクロムめっきに対し、RSでは黒塗装仕上げで精悍さをアピール

ヘッドライトは丸型のLED式で、ロービームでは上側だけが点灯。ウィンカーもEXは伝統的な丸型だが、RSはシャープなLED式だ

リアフェンダーは従来型よりも丸みを帯びたデザインへと変更された。EXはクロムめっき仕上げだが、RSではスポーティなブラック仕上げとなる

CB1100EX

CB1300SF用をベースに空冷化したCB1100のエンジンは今回、エアクリーナーとマフラーが新設計された。吸気ダクトを短縮するなどで、ゆったり感と高回転域の伸び感を向上させている

フロントキャリパーはニッシンの通常マウント式で、正立フロントフォークはφ41mm。前後ホイールは18インチのスポークタイプで、切削仕上げによる前後ハブは小径化され、スポークは48本の亜鉛めっき式から、40本の小径ステンレス製に変更された

スリッパークラッチによって衝撃荷重が低減したことで、後輪のスポークを細く長くすることが可能になったという

EXのシートには厚めの多層表皮を採用して、ゆったりとした乗り味を強調している

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