BMW Motorrad R 1200 GS (2013)
BMW Motorrad R 1200 GS (2013)

BMW Motorrad R 1200 GS (2013) – 新たなベンチマークを狙う

掲載日:2013年04月25日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文/佐川 健太郎  写真・動画/MOTOCOM  衣装協力/HYOD  取材協力/BMW Motorrad Japan

30年の進化熟成を集大成し
新たなベンチマークを狙う

1980 年に登場した R 80 G/S 以来、30年以上にわたって進化熟成を重ねてきたビッグ GS。「G/S」 (当初はスラッシュが入っていた) のペットネームは“ゲレンデ・シュポルト”の略であり、「山野を駆け巡るスポーツモデル」という意味を持つ。スポーツモデル並みのオンロード性能と荒れたダートをものともしないオフロード性能の融合という、高い志を持って生まれたモデルであり、80 年代前半のパリ・ダカールラリー黎明期には3連覇を含む輝かしい実績を残すなど活躍。高速化の一途をたどっていく近代ラリーマシンの設計思想にも大きな影響を与えたと言われる。その後、時代のニーズとともに排気量を拡大しつつ、長距離を快適に移動するための高速ツーリング性能を充実。エンジンレイアウトこそ水平対向2気筒の伝統は頑なに守りつつも、動弁系は OHV から OHC、さらに DOHC へと進化。そして今回、9年ぶりのフルモデルチェンジとなった最新モデルでは、ついに水冷エンジンと最先端の電子デバイスを手に入れるに至った。今世界中のライダーの熱い視線を集めるアドベンチャーツアラーカテゴリーにおいて、新たなベンチマークの確立を担うモデル、それがニュー R 1200 GS なのだ。

BMW Motorrad R 1200 GS (2013) 特徴

「水冷化」「ニューフレーム」「電脳化」により
すべてを大幅にグレードアップ

R 1200 GS (2013) 写真

R 1200 GS (2013) 写真

R 1200 GS (2013) 写真 R 1200 GS (2013) 写真

ニュー GS は、ほぼすべてのコンポーネントを新設計とした文字通りのフルモデルチェンジである。従来モデルと同じパーツは「ウインカーだけ」というから、その意気込みたるや凄まじいものを感じる。まず注目したいのは新型ボクサーエンジン。BMW 伝統の水平対向シリンダーやすでに従来型で採用されていた DOHC4 バルブなどの機構、ボア×ストロークを含めて 1,169 cc の排気量も共通だが、今回大きく変わったのは冷却方式である。従来型までの「空油冷」方式を改め、新型では「空水冷」方式を採用することで、より安定した出力特性とハイパワー化を達成。燃料を縦方向に流すバーチカルフローや大容量エアボックスの採用などにより、ピークパワーは従来の 110ps から 125ps へと大幅に向上した。全域で最適な燃料噴射と点火タイミングを提供する電子制御スロットル「E-Gas」やスリッパー機構付きの湿式多板クラッチの初採用などにより、ドライバビリティもさらに向上させている。

フレームも新設計となっている。従来型は剛体であるエンジンを中心に前後からフレームで支える構造だったのに対し、新型ではステアリングヘッドからスイングアームピボットまでをパイプで一直線につなぐフルフレームとしている。これにより、ねじり剛性を大幅に向上。加えて、フロントテレレバーおよびリアパラレバーの設計を見直すことで走行安定性も高めている。

そして、電子デバイスの進化も見逃せないポイント。ニュー GS には「ライディングモード」が導入され、ボタン操作ひとつで「RAIN」「ROAD」「DYNAMIC」「ENDURO」「ENDURO PRO」の5つのモードへの切り替えが可能となった。モードそれぞれに合わせて ASC (オート・スタビリティ・コントロール) とインテグラル ABS (前後連動タイプABS)、ダイナミック ESA (エレクトリック・サスペンション・アジャストメント=電子調整式サスペンション)、E-gas のスロットルレスポンスまでも最適に変化させられる画期的システムである。さらにセミアクティブサスペンションが GS では初めて採用され、走行条件と操作に応じて自動的にダンピング特性を調整するなど最先端の機能が盛り込まれている。

また、車体のスリム化やバネ下の軽量化、スイングアーム長の拡大、最低地上高のアップ、前後ホイールのワイド化などにより、ロードスポーツ性能と走破性能を向上。空力特性の見直しやオートクルーズ機構による高速移動時の快適性向上なども含めて、ニュー GS の改良点はあらゆるディテールにまでおよぶ。

フラットツインの伝統を継承しつつも BMW らしい革新的テクノロジーを満載したニュー R 1200 GS。まさに、「キング・オブ・アドベンチャー」と呼ばれるにふさわしい装備とポテンシャル、新しさを兼ね備えたマシンだ。…この記事の続きをバージン・BMWで読む

画像をクリックするとフォトTOPICSが表示されます

SPECIFICATIONS - BMW Motorrad R 1200 GS (2013)

BMW Motorrad R 1200 GS (2013) 写真

価格(消費税込み) = 219万9,000円

アドベンチャーツアラーの始祖として世界の道に君臨し続ける R 1200 GS が9年ぶりにフルモデルチェンジを果たした。

■サイズ = 全長2,205×全幅935×全高1,490mm
■シート高(空車時) = 850/870 mm
■車両重量(走行可能状態、燃料満タン時) = 245kg
■エンジン = 4ストローク水平対向2気筒
■総排気量 = 1,170cc
■ボア×ストローク = 101×73mm
■クラッチ = 湿式多板、アンチホッピング
■ミッション = 6速ヘリカルギアボックス
■最高出力 = 92kW(125ps)/7,750rpm
■最大トルク = 125Nm/6,500rpm
■バルブ駆動 = ダブルカムシャフト
■駆動方式 = ドライブシャフト式
■Fタイヤサイズ = 120/70 R19
■Rタイヤサイズ = 170/60 R17

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索