SYM ウルフ SB250Ni
SYM ウルフ SB250Ni

SYM ウルフ SB250Ni – SYM初の本格的250ccロードスポーツ

掲載日:2012年02月09日 試乗インプレ・レビュー    

SYM ウルフ SB250Niの試乗インプレッション

SYM ウルフ SB250Niの画像

スムーズなエンジン特性と
クォーターらしい軽快なハンドリングが魅力

走り出して最初に感じたのが、スムーズなエンジン特性。排気量が排気量だから、ゴク太トルクというわけではないのだが、低回転域からしっかりとトルクが出ているし、レスポンスも適度。そしてなにより回転上昇が実にスムーズなのだ。パワー特性はフラットで、とても扱いやすい。また、振動が非常に少なく、ある意味で全くシングルらしくない。シングルエンジンは鼓動感を強調するか、徹底的に振動を排除するか、いずれかの方向性に別れる傾向があるが、Wolf SB250Ni は明らかに後者。バランスシャフトを装備しているとのことだが、振動軽減に関しては相当こだわって作られているようだ。

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スペック上の最高出力は 7,500 回転で発生するとのことだが、実走でのピークパワーは 7,000 回転付近。タコメーターのレッドゾーンは 9,000 回転からと表示されているが、高いギアを使うと 7,000 回転から上はなかなか回転数が上がっていかない。また、6速はオーバードライブ的な設定となっているようで、高速道路を走ったところ5速と6速の最高速度がほとんど変わらなかった。ワインディングを楽しみたいのなら5速までを使い、高速道路で長距離移動する時などは6速ホールドするような使い方をすれば、低燃費が期待できるだろう。その燃費に関しては市街地、高速道路、ワインディングを含め 25km/L を切ることはなかった。これは意図的にかなり回してのデータなので、低燃費を狙った走行をすれば 30km/L オーバーも実現できるはずだ。ガソリン高の御時勢、ありがたい特性だ。

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エンジンに関して注文をつけるとすれば、高回転の伸びが今ひとつなところ。それはシングル故いたしかたないところもあるが、あまりにフラットな特性のため高回転域でのパワーの盛り上がりが希薄に感じられてしまうのだ。従順で扱いやすいパワー特性は実に好ましいのだが、それだけでは物足りない時もある。低中回転域のスムーズさはそのままに、高回転のパンチが加われば…と願うのは贅沢な話なのだろうか?

ワインディングに持ち込んだところ、これが良く曲がる。1次旋回ではむしろ曲がり過ぎる傾向があるほどで、ハンドリングはややオーバーステア。車両価格を高くできないこのクラスでは、サスペンションにコストがかけられていないこともしばしば。そのため、フロントブレーキをかけるとフロントフォークが “ズコッ” とボトムしてしまうマシンも多いのだが、Wolf SB250Ni のサスペンションはブレーキング時に不用意なノーズダイブを起こさないのが好感触。サスペンションを柔らかな設定すると、ピッチングが起きやすくなり、コーナリングのきっかけを掴みやすくする効果もあるのだが、Wolf SB250Ni は車体を必要以上に動かさず、それでいて軽快によく曲がる。標準装着されているタイヤはマキシスのバイアスタイヤだが、フロントは 110/70-17、リアは 140/70-17。リム幅からみても、ラジアルタイヤが装着可能なサイズなので、ハイグリップラジアルを履かせてみても面白いかもしれない。

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ただし、ハンドリングについては気になる部分もある。軽快なのは良いのだが、軽快過ぎるきらいがある。個人的にはフロントにもう少し落ち着きが欲しい。これは高速域でも似たような傾向がみられた。直進安定性自体は悪くないのだが、レーンチェンジなどでマシンを動かそうとすると、フロントが敏感に反応してしまうのが、少々気になった。とはいえ、これはイージーで鋭い1次旋回とトレードオフな部分もある。「曲がりやすい」という意味では、Wolf SB250Ni はかなりのレベルにあるのだ。街中の細い道などではとてもラクに曲がれるし、Uターンのしやすさも一級品だ。

また、どうしてもお伝えしておきたいのはシートの出来の良さ。Wolf SB250Ni のサスペンションは固め、だが乗り心地はとてもいい。これは絶妙な固さに設定されたシートクッションが効いているからにほかならない。SYM のスクーターはシートの良さに定評があるが、ロードスポーツでもその美点は活かされているようだ。見た目では、それほど厚さのあるシートではないのだが、適度な柔らかさとライダーを支える固さを見事にバランスさせている。この居住性の高さは、ヨーロッパ製のツアラーモデル並か、それ以上だ。

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この Wolf SB250Ni は、SYM にとって初の 250cc クラスロードスポーツであるという。初挑戦でこのレベルまでまとめあげてきたのは、素直に驚いた。日本は世界最大のバイク生産国であり、性能、品質とも世界最高レベルにある。だが、台湾メーカーも侮れないと実感した。そして価格を聞いて更に驚いた。メーカー設定はオープンプライスとのことだが、実勢価格は30万円代前半だというのだ。バリュー・フォー・マネーの面では圧倒的ではないか。Wolf SB250Ni は限定販売されたもので、現在店頭にあるものしか新車では入手できない。だがユーザーからの反響が大きく、この3月からは名前を「T2」と改め、正式にラインナップに加わるとのこと。250cc ロードスポーツに、また1台魅力的な選択肢が加わるというわけだ。

SYM ウルフ SB250Niの詳細写真は次ページにて

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