SYM ウルフ SB250Ni
SYM ウルフ SB250Ni

SYM ウルフ SB250Ni

掲載日:2012年02月09日 記事カテゴリ 試乗インプレ・レビュー

台湾のナショナルブランドが放つ
初の本格的 250cc ロードスポーツ

台湾のバイクメーカーである SYM は、正しくは三陽工業というメーカーが展開するブランド名。バイクだけではなく4輪の生産も行っている。2輪と4輪の両方を生産しているメーカーは、台湾では三陽工業だけだ。

 

スクーターの印象が強い SYM だが、実はロードスポーツモデルの生産にも歴史がある。今まで SYM のロードスポーツモデルは 125cc クラスを中心に展開されてきたが、初の本格的 250cc モデルとして登場したのが、この Wolf SB250Ni なのだ。台湾ではすでにメジャーブランドとして確立しており、欧米やアジア各国をはじめ世界中に輸出を行っている SYM にとって、Wolf SB250Ni はグローバル戦略車として位置付けられており、ヨーロッパなどにも輸出されている意欲作だ。

SYM ウルフ SB250Ni 特徴

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ストリートファイタースタイルに
豪華な最新装備を満載

SYM ウルフ SB250Ni 写真Wolf SB250Ni に搭載されるエンジンは、水冷4ストロークSOHC4バルブエンジンで、ボア×ストロークは φ71mm×63mm のオーバースクエアタイプ。最高出力は 7,500 回転で約 25PS、最大トルクは 6,000 回転で 2.35kg-m を発揮する。吸気システムには電子制御式インジェクションを採用し、マフラーに装備されたキャタライザーとの組み合わせで排気ガスを浄化。高い環境性能も実現している。台湾の環境基準は非常に厳しく、2009年に施行された「台湾五期規制」というレギュレーションは、世界で最も厳しいといわれる EURO-3 や、日本の排気ガス規制に並ぶものだ。もちろん Wolf SB250Ni も、台湾五期規制適合車である。

 

SYM ウルフ SB250Ni 写真スチールパイプで構成されたフレームはダイヤモンドタイプ。スイングアームは角型断面のスチール製で、モノショックによって支持されている。フロントフォークは一般的な正立式のテレスコピックタイプだが、正立フォークには珍しくラジアルマウントタイプのブレーキキャリパーを装備しているなど、なかなかの豪華装備を誇る。前後ブレーキローターは、流行のペータル形状を採用。車体面で特徴的なのが 1,320mm というホイールベースで、これは 250cc クラスのロードスポーツとしてはかなり短く、俊敏な運動性を予感させる。

 

大型でスラント(傾斜)した形状を持つヘッドライトや、大きく張り出したラジエーターシュラウドなど、マッシブなエクステリアはヨーロッパで人気のストリートファイター的造形が持たされている。国内市販されている 250cc クラスの国産マシンには無いフォルムであり、その辺りからも Wolf SB250Ni が世界戦略車であることが伺える。

SYM ウルフ SB250Ni 試乗インプレッション

スムーズなエンジン特性と
クォーターらしい軽快なハンドリングが魅力

SYM ウルフ SB250Ni 写真走り出して最初に感じたのが、スムーズなエンジン特性。排気量が排気量だから、ゴク太トルクというわけではないのだが、低回転域からしっかりとトルクが出ているし、レスポンスも適度。そしてなにより回転上昇が実にスムーズなのだ。パワー特性はフラットで、とても扱いやすい。また、振動が非常に少なく、ある意味で全くシングルらしくない。シングルエンジンは鼓動感を強調するか、徹底的に振動を排除するか、いずれかの方向性に別れる傾向があるが、Wolf SB250Ni は明らかに後者。バランスシャフトを装備しているとのことだが、振動軽減に関しては相当こだわって作られているようだ。

 

スペック上の最高出力は 7,500 回転で発生するとのことだが、実走でのピークパワーは 7,000 回転付近。タコメーターのレッドゾーンは 9,000 回転からと表示されているが、高いギアを使うと 7,000 回転から上はなかなか回転数が上がっていかない。また、6速はオーバードライブ的な設定となっているようで、高速道路を走ったところ5速と6速の最高速度がほとんど変わらなかった。ワインディングを楽しみたいのなら5速までを使い、高速道路で長距離移動する時などは6速ホールドするような使い方をすれば、低燃費が期待できるだろう。その燃費に関しては市街地、高速道路、ワインディングを含め 25km/L を切ることはなかった。これは意図的にかなり回してのデータなので、低燃費を狙った走行をすれば 30km/L オーバーも実現できるはずだ。ガソリン高の御時勢、ありがたい特性だ。

 

エンジンに関して注文をつけるとすれば、高回転の伸びが今ひとつなところ。それはシングル故いたしかたないところもあるが、あまりにフラットな特性のため高回転域でのパワーの盛り上がりが希薄に感じられてしまうのだ。従順で扱いやすいパワー特性は実に好ましいのだが、それだけでは物足りない時もある。低中回転域のスムーズさはそのままに、高回転のパンチが加われば…と願うのは贅沢な話なのだろうか?

 

SYM ウルフ SB250Ni 写真ワインディングに持ち込んだところ、これが良く曲がる。1次旋回ではむしろ曲がり過ぎる傾向があるほどで、ハンドリングはややオーバーステア。車両価格を高くできないこのクラスでは、サスペンションにコストがかけられていないこともしばしば。そのため、フロントブレーキをかけるとフロントフォークが “ズコッ” とボトムしてしまうマシンも多いのだが、Wolf SB250Ni のサスペンションはブレーキング時に不用意なノーズダイブを起こさないのが好感触。サスペンションを柔らかな設定すると、ピッチングが起きやすくなり、コーナリングのきっかけを掴みやすくする効果もあるのだが、Wolf SB250Ni は車体を必要以上に動かさず、それでいて軽快によく曲がる。標準装着されているタイヤはマキシスのバイアスタイヤだが、フロントは 110/70-17、リアは 140/70-17。リム幅からみても、ラジアルタイヤが装着可能なサイズなので、ハイグリップラジアルを履かせてみても面白いかもしれない。

 

ただし、ハンドリングについては気になる部分もある。軽快なのは良いのだが、軽快過ぎるきらいがある。個人的にはフロントにもう少し落ち着きが欲しい。これは高速域でも似たような傾向がみられた。直進安定性自体は悪くないのだが、レーンチェンジなどでマシンを動かそうとすると、フロントが敏感に反応してしまうのが、少々気になった。とはいえ、これはイージーで鋭い1次旋回とトレードオフな部分もある。「曲がりやすい」という意味では、Wolf SB250Ni はかなりのレベルにあるのだ。街中の細い道などではとてもラクに曲がれるし、Uターンのしやすさも一級品だ。

 

SYM ウルフ SB250Ni 写真また、どうしてもお伝えしておきたいのはシートの出来の良さ。Wolf SB250Ni のサスペンションは固め、だが乗り心地はとてもいい。これは絶妙な固さに設定されたシートクッションが効いているからにほかならない。SYM のスクーターはシートの良さに定評があるが、ロードスポーツでもその美点は活かされているようだ。見た目では、それほど厚さのあるシートではないのだが、適度な柔らかさとライダーを支える固さを見事にバランスさせている。この居住性の高さは、ヨーロッパ製のツアラーモデル並か、それ以上だ。

 

この Wolf SB250Ni は、SYM にとって初の 250cc クラスロードスポーツであるという。初挑戦でこのレベルまでまとめあげてきたのは、素直に驚いた。日本は世界最大のバイク生産国であり、性能、品質とも世界最高レベルにある。だが、台湾メーカーも侮れないと実感した。そして価格を聞いて更に驚いた。メーカー設定はオープンプライスとのことだが、実勢価格は30万円代前半だというのだ。バリュー・フォー・マネーの面では圧倒的ではないか。Wolf SB250Ni は限定販売されたもので、現在店頭にあるものしか新車では入手できない。だがユーザーからの反響が大きく、この3月からは名前を「T2」と改め、正式にラインナップに加わるとのこと。250cc ロードスポーツに、また1台魅力的な選択肢が加わるというわけだ。

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SPECIFICATIONS – SYM Wolf SB250Ni

SYM ウルフ SB250Ni 写真

価格:オープン価格

台湾のSYMがリリースした250ccシングルエンジンを搭載するロードスポーツ。SYMにとって初めてのカテゴリーとなるマシンであり、世界市場を見据えたグローバル戦略車。

■エンジン型式 = 4ストローク水冷単気筒SOHC 4バルブ

■総排気量 = 249.4cc

■ボア×ストローク = 71×63mm

■圧縮比 = 10.5:1

■最高出力 = 18.4kw(25ps)/7,500rpm

■最大トルク = 23.1Nm(2.35kgf)/6,000rpm

■燃料供給方式 = 電子制御式燃料噴射システム

■トランスミッション = 6速リターン

■サイズ = 全長2,005×全幅790×全高1,050mm

■シート高 = 790mm

■ホイールベース = 1,320mm

■タンク容量 = 14リットル

■車両重量 = 173kg

■Fブレーキ = φ288mmペータルディスク ラジアルマウント 4ピストンキャリパー

■Rブレーキ = φ222mmペータルディスク 1ピストンキャリパー

■Fタイヤサイズ = 110/70-17

■Rタイヤサイズ = 140/70-17


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試乗ライダー プロフィール

淺倉恵介

淺倉恵介

カスタムバイク情報に詳しいフリーライター。バイクであれば、ジャンルを問わずに興味を示す雑食系ライダー。乗るのはもちろん、いじるのも大好き。マフラー交換の速さには自信があるらしい。長い間、国産四気筒ビッグバイク至上主義者を自認していたが、最近はヨーロッパ製スポーツバイクの面白さが気になって仕方がない。

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