ドゥカティ Multistrada 1200S
ドゥカティ Multistrada 1200S

ドゥカティ Multistrada 1200S – 先進の電子制御と新型エンジン

掲載日:2010年07月02日 試乗インプレ・レビュー    

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

先進の電子制御と新型エンジンで
ムルティストラーダが生まれ変わる

ドゥカティのツーリングカテゴリを担うシリーズと言えば“ムルティストラーダ”。アイデンティティであるトレリスフレームに定評ある空冷2バルブエンジンを搭載し、道を選ばないツーリングモデルとしてデビューした。「ムルティストラーダ1000DS」からはじまった同シリーズは、上位モデルや小排気量モデルを展開し、2007年からは排気量を拡大。同社のツーリング用マシンとしての地位を確かなものとした。

そして2009年、ミラノショーで新たなムルティストラーダが発表された。新型の水冷エンジンにハイブリッドフレーム、最新の電子装備、そして猛禽類のように鋭いフォルム。これまでのムルティストラーダとは全く違うスタイルとスペックに、多くのライダーが驚いたことは記憶に新しい。その最新のツーリングバイクが、いよいよ日本に上陸した。シリーズ名こそ同じだが、「ムルティストラーダ1200S」の中身は以前と全く異なっている。電子制御式サスペンションとライドバイワイヤ(電子制御スロットル)を組み合わせ、走行シーンに応じて4つのモードを切り替えられるシステムを搭載しているのが大きなトピックスだ。ドゥカティとして初の試みとなるこのシステムがムルティストラーダをどのようなマシンに変えたのか。試乗インプレッションを通して、ドゥカティが踏み出した未踏の領域を確認してみたい。

ドゥカティ Multistrada 1200S 特徴

先進の電子装備が生む機能性が
快適なツーリングを約束する

ドゥカティ Multistrada 1200S 写真
ドゥカティ Multistrada 1200S 写真
ドゥカティ Multistrada 1200S 写真 ドゥカティ Multistrada 1200S 写真

ムルティストラーダ1200Sの最大の特徴は、やはり電子制御サスペンションとライドバイワイヤを組み合わせたモードセレクトだろう。これまでのバイクでも、サスペンションの電子制御やエンジン出力のモード変更は行われていたが、この二つを組みあせて運用できる市販車は、現時点では見当たらない。ムルティストラーダ1200Sはそれに加えてトラクションコントロールも連動している。また、より高度なセッティングを求めるユーザーのことも考慮し、工場出荷時のプリセットも変更が可能。工具を取り出さずとも手元で「自分だけのモード」作り出せるこのバイクに、未来を感じずにはいられない。

もちろん、ツーリングモデルとしての充実装備も、ムルティストラーダ1200Sの大きな魅力だ。今回試乗したモデルは各部にカーボンパーツを採用した“スポーツエディション”だったが、“ツーリングエディション”同様、各種ケースの装着に対応している。車体側にサイドパニア取り付け用のベースが装備されているため、取り付けは至って簡単。専用設計のケースは全体のデザインと調和するようになっており、着脱によってデザインを崩さないように考慮されている。また、車体側ステー部分が内側へ追い込まれているためケース装着時の張り出しが少ないのも特徴だ。それでいて積載重量は片側10kgを確保しているので、たっぷりと荷物を詰め込むことが可能。さらに、フロントカウルとシート下にもコンパートメントが用意されている。その他、調整式のスクリーンや両サイドの電源ソケットなど、ツーリングを快適にするための装備はノーマル状態でほぼカバーされているのも嬉しいポイント。ツーリングエディションなら、センタースタンドとグリップヒーターも標準装備だ。また、先述したモードセレクト機能には、荷物積載時やタンデムなどに対応した荷重設定もプリセットされている。旅支度に合わせてセッティングを変更してやれば、快適な道中が約束されるだろう。

このようにほぼ完璧といえるほどの仕上がりを見せるムルティストラーダ1200Sにも、気になる部分は少しある。今回よりキーレスでのエンジン始動を可能とするハンズフリーシステムが導入されているが、ノーマルではメインキーのみが制御されるため、いささか物足りない。シートオープンやケースの開閉もすべてキーレス、もしくは集中スイッチなどで行えれば便利なのだが、こちらはキーでの開閉が必須。キーレスに慣れてしまうと、ついうっかりサイドパニアに鍵を挿したまま走り出してしまうことがあった。また、車両個体差なのかもしれないが、キー認識に若干不安定なところがあった。ただ、全体的にはムルティストラーダ1200Sは稀に見る豪華装備を与えられたバイクであり、ドゥカティで快適なツーリングを楽しみたいライダーはもちろん、先進のツアラーを体験したいならムルティストラーダ1200Sはもっとも注目すべき1台だ。もしかするとツーリングバイクの基準を変えてしまうかもしれない、と感じるほどのポテンシャルが、このマシンには秘められている。…この記事の続きをバージン・ドゥカティで読む

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SPECIFICATIONS - DUCATI Multistrada 1200S

ドゥカティ Multistrada 1200S 写真

価格(消費税込み) = 219万円

スーパーバイクエンジンをベースとした新型水冷エンジン“テスタストレッタ11°”を搭載したツーリングモデル。電子制御式サスペンションなど先進の技術を採用し、走行するシチュエーションに合わせて4つのモード変更が可能だ。

■エンジン型式 = 水冷L型2気筒4バルブ デスモドロミック
■総排気量 = 1,198.4cc
■ボア×ストローク = 106×67.9mm
■最高出力 = 75kW(102PS)/6,000rpm
■最大トルク = 111.7N・m(11.4kgf・m)/7,500rpm
■トランスミッション = 常時噛合式6速リターン
■サイズ = 全長2,150×全幅825×全高1,400mm
■シート高 = 850mm
■ホイールベース = 1,530mm
■乾燥重量 = 192kg
■タンク容量 = 20リットル
■Fタイヤサイズ = 120/70ZR17
■Rタイヤサイズ = 190/55ZR17

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