スズキ バンディット1250F ABS
スズキ バンディット1250F ABS

スズキ バンディット1250F ABS – 伝統のビッグネイキッドにフルカウル仕様が追加

掲載日:2010年05月27日 試乗インプレ・レビュー    

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

伝統のビッグネイキッドにフルカウル仕様が追加
ツーリングシーンを見据えたニューモデル

スズキの国内市場向けフラッグシップと言えば、バンディットシリーズ。他メーカーのトップモデルは比較的ノスタルジックなスタイルにこだわっているが、同シリーズは性能を重視したパッケージングを採用しているのが大きな特徴で、エンジンも安易に空冷テイストのスタイルに走らず、水冷エンジンらしいルックスとなっているのも魅力だ。走りもスポーティな味付けとなっており、ビギナーよりも速さにこだわるエキスパートライダーの人気が高いのもこのモデルならでは。今となっては有名な話かもしれないが、走行性能が特に重視されるヨーロッパ市場でバンディットシリーズはベストセラーモデルとして高評価を受けている。これもマシンの性格を物語るエピソードだ。そんな同シリーズに今回追加されたのは、GSX-Rをほうふつさせるフルカウルを身にまとった「バンディット1250F ABS」。ニューモデルにはオプションとしてツアラー装備も多数設定されており、スポーツネイキッドだけでなくスポーツツアラーとしての印象も強い。新たなる装いを得たバンディットの実力を、早速試乗インプレッションを通して確認してみよう。

スズキ バンディット1250F ABSの試乗インプレッション

スズキ バンディット1250F ABSの画像

際立つパフォーマンスの高さ
切れ味重視のスポーツツアラー

「ちょっと…速すぎる!」というのが、バンディット1250F ABSに感じたファーストインプレッションだが、決してこれはオーバーなものではない。大排気量のネイキッド(とそれをベースにしたモデル)は排気量からは想像できないフレンドリーさを持つマシンが多いが、このバイクはそういった甘口設定とは一味違う。確かに、日本メーカーのバイクらしく低回転から余裕があり、高速域ではビッグバイクらしい吹け上がりを楽しめるが、そこに到達するまでのスピード感が圧倒的に速いのだ。特に低回転トルクの強さとスロットルのレスポンスの良さは断トツで、軽くアクセルを開けるだけで怒涛の加速を見せつける。3500rpm で最大トルクを発生させる水冷4気筒エンジンは、まるでライダーとバイクが右手を通じて繋がっているような鋭い反応を示し、それが体感的な速さへと繋がっているのだ。一般的な国産スポーツネイキッドの傾向としては、スロットルレスポンスに若干の優しさが設定されていることがほとんど。ソフトな仕様はビギナーにとって扱い易いくとも、ダイレクトな高性能を求めるエキスパートには物足りないことが多い。そういったライダーほど、バンディット1250F ABSのパワーフィールに心惹かれるのではないだろうか。

スズキ バンディット1250F ABSの画像

また、気になるフルエアロの実力だが、防風効果は非常に高い。ハーフカウル仕様のバンディット1250S と比較しても違いは明確で、いわゆるスポーツツアラーと比肩出来る性能を持っている。ハイスピードクルージングでも少し顎を引けば風圧を気にする必要も無く、長距離を走行した際も疲労感がほとんど無かったのは印象的で、これならヨーロッパ的なロングツーリングでも余裕ではないか、と想像してしまった。フルカウルのもう一つの特徴として、ラジエターの導風効果の高さにも言及しておきたい。今回気温25℃を超える都内を走行していたが、ラジエーターファンが回ることが少なかった。理由を察するに、風洞実験に基づいたカウル形状が、適切に冷却風を導入しているためだろう。

その中で、少し違和感を覚えたのがサスペンションのフィーリングだ。ハイパワーなバイクだからある程度ハードなセッティングであることは想定できたが、個人的な印象では少し固過ぎる印象だった。ただ、バンディット1250F ABSは、フルパニアにタンデムでツーリングを楽しむことも視野に入れたモデル。標準でその状態を想定しているとしたら、このセッティングは納得がいく。今回は車両単体でのインプレッションだったが、出来ればフルパニアでの走行も体験してみたいところだ。エキスパートライダーをうならせる鋭いパフォーマンスと、ツーリングマシンに相応しいフルカウルを持つバンディット1250F ABSは、切れ味鋭いスポーツツアラーとして魅力ある1台に仕上がっている。

スズキ バンディット1250F ABSの特徴は次ページにて

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