アプリリア ドルソデューロ
アプリリア ドルソデューロ

アプリリア ドルソデューロ – レーシングとストリートの融合

掲載日:2009年07月09日 試乗インプレ・レビュー    

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

レーシングとストリートの融合
絶妙なブレンドが効いている

アプリリアと聞いて連想するのは、スクーターであったり、SBKで活躍するスーパースポーツマシンであったり、あるいはスーパーモタードやモトクロスと言ったコンペティション色の強いメーカーであったりと、人によってイメージは様々だろう。じつはそのどれもがアプリリアであり、モーターサイクルのあらゆるカテゴリを網羅した、欧州で最も巨大なモーターサイクル・メーカー、それがアプリリアだ(日本ではあまり目立っていないのがやや残念)。

ドルソデューロはこれまでアプリリアが挑戦し続け、現在も活躍する世界スーパーモタード選手権で得た数々の実績と経験を基に生み出されたストリートモデル。ネイキッドスポーツのシヴァー750のエンジン、それにSXV450/550の車体をベースに専用設計されたもので、ストリート仕様として絶妙なバランスでブレンドされた大排気量モタードとなっている。さらに独特なスタイリングも注目を集めるのに十分な存在感を持つ。アグレッシブにライディングを愉しむ、そんなイタリアのストリートマシンに試乗してみた。

アプリリア ドルソデューロの試乗インプレッション

アプリリア ドルソデューロの画像

見た目も走りも文句なし
生粋のファンビークルだ

まずルックスからして興味を惹かれる。モタードスタイルにナナハンVツインエンジン、それでいてこのコンパクトさ。何か恐ろしいものを秘めているに違いない…と勝手に想像しつつ跨ってみると、自然とアップライトなポジションで、上半身はほぼ直立する。シート下に配置され、デザイン要素のひとつにもなっているアンダーシートエキゾーストからは“それなりに”猛々しい排気音が響き、気分も高揚する。しばらく走ってみると、ハンドルグリップ、シート、ステップの位置関係は体重をラクに移動出来るようになっていることに気付く。むしろ積極的に身体を動かさないと、アクセルのオン/オフの度に上体が置き去りにされ、かえって疲れる。これはメリハリのあるライディングが必要だ。日常で頻繁に使う低回転域のトルクが非常に太く、スロットルを開け続けている間は車体とライダーをグイグイと力強く前へ押し出し、さらに高回転域までよどみなく伸びてゆく。シフトアップの度に“ガンッ”とパワーがダイレクトに伝わってくるようで、普通に走っていてもエキサイティングな気分を味わえる。また視点の高さや、わりと低い位置に感じる重心のおかげでバランスが取り易く、精神的な安心感は結構なもの。さらにシッティングポジションが深くクビレており、車体ホールド感が高いので、ニーグリップやステップ荷重と言った基本的なマシン操作が行い易く、幅のあるハンドルバーに覆い被さるような乗車姿勢をとることで操縦性も高まり、奥が深いコーナーでの旋回がとても愉しい瞬間となる。停車時に地面へ降ろす足も素直に接地するので、シート高870mmとは言え、モタードマシンにしてはとっつき易いタイプだと思う。

アプリリア ドルソデューロの画像

市街地や高速道路をメインに丸1日走ってみたが、その日の終盤、左手にダルさを感じた。クラッチレバーの感触は決して重くはないものの、長時間の操作ではズシリと響いてくるものがある。見ての通り、このモデルはウィンドプロテクションや積載性と言った、ツーリング性能や快適性を求めるものでは無い。ツーリングにも行きたいならペガソがあるし、逆にもっとモタードにハマりたいならSXVがある。ドルソデューロはその中間に位置するストリートモデルであり、小排気量スポーツマシンには無い余裕の運動性能と、オーバースペックの大排気量マシンでは味わえない、ビッグパワーを制御しつつ操縦するライディング本来の愉しみがある。もちろん100%扱い切れるライダーは多くないと思うが、ファンライドに特化したドルソデューロには、ライダーの「こう走りたい」という要求に応え、たとえ短かくともライディングを純粋に愉しんでいる時間を濃密にするための魅力が、ギッシリと詰まっているのだ。

アプリリア ドルソデューロの特徴は次ページにて

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