ヤマハ VMAX
ヤマハ VMAX
ヤマハ発動機が培った「ものづくり」の集大成

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
写真/磯部孝夫

取材協力/ヤマハ発動機

ヤマハ VMAX – ヤマハ発動機が培った「ものづくり」の集大成

掲載日:2009年05月29日 試乗インプレ・レビュー    

ヤマハ発動機が培った
「ものづくり」の集大成

先に発表された海外仕様とはまったく別の、我々が大手を振ってたのしめる純日本仕様V MAXだけに仕上がりが注目されたが、スタイルに違わず強烈な加速感は健在。細部は、見ればみるほど凝った作りである。その存在感、その仕上がり具合、先に発表された海外仕様の前評判から、日本で乗れる日を待ち望んでいたファンも多かったと聞く。既存のV MAXユーザーだけではなく、バイク好きならば、その仕上がりを自分の眼で確認したい、いまもっとも乗ってみたいと思わせる、旬の1台ではないだろうか。初代V MAXのデザインを巧みに踏襲しつつブラッシュアップされたスタイルは誰が見てもV MAXとわかり、そして誰が見てもニューモデルであることがわかる。もともと既存カテゴリーに当てはまらないモデルだけに、そのファン層も広大で、期待される内容も様々にあっただろう。開発陣のプレッシャーは相当なものだったハズだ。それにしても、よくもまあ、これだけ凝ったモデルをいまの時代に作ったと思う。不況が叫ばれ、国内モデルの現存ラインナップ数が激減する厳しい中で、効率優先ではなく手間と時間をかけて生み出したニューモデルは、いちモーターサイクルファンとして素直に嬉しいし、ヤマハというメーカーの姿勢は尊敬に値すると思う。作りこみを見れば見るほど、どう考えてもヤマハがこのモデルで莫大な利益を狙っているとは思えない。価格は確かに一般的なモデルの感覚で見ると高額だ。でも、各部の作り込みはそれ以上に手間が掛かっているし、装備品に妥協は見られない。

ヤマハ VMAXの画像

しかも、作り手の「V MAXはこうあるべき」という主張が随所に盛り込まれていて、メーカーからのメッセージを読み解く愉しみもある。マーケットを無視したモデルはいまやありえないが、そこに迎合したモデルは趣味性の強いモノにも関わらず早々に一般消費財と同じ運命を辿ることが多いと思う。要はすぐ飽きられる、ということだ。だがV MAXなら、永年手元に置いても廃れないし、飽きない。そう思える仕上がりなのだ。

ヤマハ VMAXの画像

車体は大柄である。ビッグバイクの主流がダウンサイジングによるコンパクト化を進める中、異例の大きさと言ってもいい。だがシートやハンドル、ステップというインターフェイス部分が適度なサイズにまとまっているため、跨るとそれほど大きさを感じないから不思議である。跨って目に飛び込んでくるのは、左右に張り出したエアスクープとメーターが中心。タンク周りにしっかりとしたボリューム感を持たせつつ、ハンドル周りはシングルメーターでシンプルに構成する。クルーザーモデルとしては常套手段だが、V MAXはそこに和の心を汲んだ造形美を加えている。踏襲した初代のマッチョ振りはホットロッドの世界を思い起こさせるが、もともとが男性的なデザインなのに、ニューV MAXは日本人の目に心に、自然と染み入るモノがある。

ヤマハ VMAXのインプレッションは次ページにて

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