ロイヤルエンフィールド BULLET 350 Type S
ロイヤルエンフィールド BULLET 350 Type S

ロイヤルエンフィールド BULLET 350 Type S – ノスタルジックな仕様のバイク

掲載日:2009年02月05日 試乗インプレ・レビュー    

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

新車で手に入る
ヴィンテージバイク

今回ご紹介する車両は、現行モデルでありながらヴィンテージバイクと言える1台。ロイヤルエンフィールド「BULLET 350 Type S(以下、ブリット)」である。ブリットは近年バイク市場で人気の高い、“クラシック風の”モデルではない。驚くような最先端技術が用いられているわけではなく、むしろ時代遅れと言っていい機構があちこちに採用されている。1950年代から基本的なメカニズムは変更されておらず、最低限の進化のみで今日まで販売されてきたクラシックバイクそのものだ。他メーカーを見渡せば、クラシック風でありながら快適なバイクがいくらでも見つかる中で、ロイヤルエンフィールドは根強いファンが多い。特別スピードが出るわけではない。パワーもない。エンジン機構も古い。今、なぜブリットのようなバイクが注目されるのか、その魅力を探ってみよう。

ロイヤルエンフィールド BULLET 350 Type Sの特徴

ロイヤルエンフィールド BULLET 350 Type Sの画像

基本設計は半世紀前のまま
ノスタルジックな仕様のバイク

まずは簡単にロイヤルエンフィールドの歴史からご紹介しよう。現在のロイヤルエンフィールドはインドで生産されているが、そもそもはイギリス生まれのモーターサイクルだった。1950年代にインドでもライセンス生産されるようになり、イギリスの本家が1971年に倒産した後も基本的なメカニズムが踏襲されたまま生産されている。かつての英国車そのままのデザインやメカニズムを、現在もロイヤルエンフィールドが維持し続けているのはそういった理由からなのだ。そのため、ブレーキの強化や電装の12V化など進化した部分も少しはあるものの、基本的には1950年代のままのエンジンフィーリングが楽しめる。ブリットがこの世に生まれ出て50年、世の中は大きく変化を遂げ、工業製品も大きく進化してきた。そうした時代の流れの中で、ひとつの製品がほとんど姿を変えずに販売され続けることは極めて稀だが、ブリットのエンジンは「古臭い!」と片付けられるのではなく、逆に味があり面白いと多くのユーザーに支持されている。注目すべきなのは、中古市場で100万円以上の値をつける他メーカーのヴィンテージバイクよりさらに古い機構のブリットが、新車で、しかも手ごろな値段で手に入ること。これがブリットの最大の特徴だ。

では、車両の仕様について紹介しよう。最初に触れておくべきなのが、右シフト、左ブレーキ。古い英国車やかつての日本車で当たり前に採用されていた仕様だが、現在ではこの操作系に馴染みがない人がほとんどだろう。ブレーキペダルとシフトペダルの位置が逆になっている。しかも、シフトペダルは上に上げると1速、踏み込むと2、3、4速と下がっていく、いわゆる逆シフトパターンだ。また、ブレーキングはリアがメインで、効きの甘いフロントブレーキは補助的な役割を果たしている。リアブレーキは強く踏み込むと驚くほどよく効くので、じわじわ踏み込むよう注意が必要だ。セルモーターは装備しておらず、始動はキックのみ。ヴィンテージバイクのキック始動というと、手こずるイメージがあるかもしれないが、圧縮を抜くデコンプレバーも用意されており、キックはそれほど重くはない。エンジン始動に苦労することはないだろう。なお、ホイールサイズは現代では一風変わった前後19インチ。非常に珍しいホイールサイズに思えるが、ブリットが誕生した1950年代では一般的なサイズだった。

ロイヤルエンフィールド BULLET 350 Type Sの画像

テイストフルな349cc単気筒エンジン

半世紀以上前の基本設計を維持するエンジン。最大出力は18hpと非力で100kmオーバーのスピードは望めないものの、フィーリングは味わい深い。シリンダー形状や腰下のケース形状など、現代のバイクにはない優れたデザインは眺めていても飽きがこない。

ロイヤルエンフィールド BULLET 350 Type Sの画像

ヘッドライトに埋め込まれたメーター類

古い英国車やドイツ車では一般的だった、ヘッドライトに埋め込まれた機械式の美しいメーター。スピードメーターはkm、mile表示を併記し、時速160kmまで刻まれている。写真右下に見えるのは電流計。キック始動の際にはキックタイミングを探す用途でも使え、かなり重宝する。

ロイヤルエンフィールド BULLET 350 Type Sの画像

長く伸びるサイレンサー

車両後方までまっすぐ伸びるサイレンサーは、他のバイクではなかなか見られない長さだ。厚いクロームメッキが施され、車両全体の質感を向上させるのにも貢献している。サイレンサーから吐き出される排気音は規制値をパスしているとは思えないほど、元気でしっかりとしたサウンドだ。

ロイヤルエンフィールド BULLET 350 Type Sの画像

電装系は安心の12V

電装系は12Vのものを採用しており、夜間でも必要十分なヘッドライト光量を確保。ヴィンテージバイクのトラブルで多い充電系も、オルタネーターを採用しているので安心だ。エンジンなどはヴィンテージそのものだが、電装系はしっかりと進化しているのが嬉しい。

ロイヤルエンフィールド BULLET 350 Type Sの試乗インプレッションは次ページにて

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