【ヤマハ RZ250】水冷、モノサスの高性能メカをTZから継承したピュアスポーツ

掲載日:2018年11月26日 試乗インプレ・レビュー    

取材協力/ランナー
試乗ライダー・文/和歌山利宏 写真/赤松 孝 記事提供/ロードライダー編集部

ヤマハ RZ250

40年近く前の1980年、若者の心を鷲づかみにした魅力的なバイクが登場した。もし、このヤマハのRZ250によって人々がバイクの面白さに触発されることがなかったとしたら、その後10年に渡るバイクブームもやってこなかったかもしれない。そのRZ250は今も、日常域でエキサイティングに楽しめるリアルスポーツそのものであった。

ヤマハのRZ250に試乗し
真のスポーツ性を改めて実感

久々にヤマハのRZ250に乗ると、40年近く前のことがありありと頭に浮かぶ。1970年代終盤、僕はRZ250の開発を見届けてきた。担当機種でなく、傍観していただけだが、前身のRDの開発に携わり、市販レーサーTZでレースに出ていたこともあり、テスト走行の機会も多く、開発状況にワクワクしていた。忘れかけていた思い出が頭の中を駆け回ってしまったのだ。

ヤマハ RZ250の試乗インプレッション

RZはTZレプリカだと言われたが、それは当たっていない。

すでに、排ガスの問題から2ストロークが将来、淘汰されることは見えており、ヤマハには、最後の2スト車として最高のものを作りたいとの思いがあった。そのため、水冷エンジンとモノクロスサスというTZのメカを投入し、TZイメージでの最高性能車を狙ったのだ。

でも、TZのメカを取り入れただけで、TZレプリカではない。何より、開発に携わる連中にレプリカという意識はなかった。ただ、2ストマシンとして最高に楽しめるバイクを作ろうとしたのである。

ヤマハ RZ250の試乗インプレッション

一世を風靡したRDシリーズも、サーキットでは浅いバンク角に興醒めしがちだった。そこで、乗車時のバンク角を、レーサー並みに50度とする大胆な設計を敢行。それが当初の開発目標にあるわけでなく、開発陣の「こんなものがほしい!」という情熱がそうさせたのだ。

そのためにマフラーを中央に追い込んだことで、センタースタンドの装着は困難。オフロードモデルにそれはないのだから、RZになくたっていい。そのため、初期の試作車にそれはなかった。だが、当時はそうした考え方が通用せず、苦労の上でセンタースタンドが装着される。

今日乗っても、恐るべきバンク角だ。でも当初は、フルバンクで前後どちらが先に滑り出すか、分からないシロモノであった。それを車体の剛性バランスからサスペンションまですべてを作り込み、まとめ上げていったのである。

このバランスの良さは、そうした開発の成果である。現在のマシンほどの安定性とグリップ感はなくても、どんな挙動を示すのか自信を持てる。そして、TT100タイヤのトレッドブロックの動きが、接地状態を如実に伝えてくる。それは、今のラジアルタイヤのサイドウォールの撓みの代わりであるかのようだ。

ハンドリングは軽快であっても、軽薄なヒラヒラ感はなく、前後18インチらしいしっとり感があり、ベースに安心感と快適性がある。それにしてもハンドリングは素晴らしく、車体の剛性レベルそのものが低くても、バランスは絶妙だ。

ヤマハ RZ250の試乗インプレッション

フレームは、左右のチューブをエンジンを取り囲むように配したダブルクレードルだが、1979年型TZやRZの後継型、1983RZ-Rのようにタンクレールをワイドループ化しておらず、1976年型TZに近い構成である。上部をワイドループ化すると、絶対剛性は高くサーキット性能が高まるものの、捻り中心が上側に移動し、挙動が神経質になりがちというのが僕の持論。だが、この構成は素性が良く、しなり味がナチュラルだ。

だから、開発途上でフレームの切った張ったはあまり必要なく、剛性チューンは主にスイングアーム側で行われていたと思う。

車体の剛性バランスでは、φ32mmという細いフロントフォークが、RZの特徴でもある。当時でも、特にシングルディスクの250では、フルブレーキングでヨレが発生した。軽量化のための小径化だったが、剛性バランスからすると悪くない。

ヤマハ RZ250の試乗インプレッション

コーナー立ち上がりで車体がヨレると、挙動をスイングアームで吸収しながら車体本体に伝え、それをフォークがしなやかにいなし、神経質さがない。この挙動は良くできたリッタースーパースポーツのコーナー立ち上がりでのものと同種のものだ。日常的な領域でバイクの挙動を感じ、コントロールを満喫でき、気分が高揚、楽しくなってくる。

フロントブレーキは、当時でもダブルディスクがほしいと思った。でも、レバーを思い切り握れば、スポンジーなレバーフィールと同調するように、フロントフォークが沈み、車体のポテンシャルに見合ったブレーキングができる。

油圧比の調整で効力を稼ぎ、スポンジーとなるネガを対策……。そんな改良が重ねられた記憶もあるが、そうした作り込みの成果も、今、改めて思い知らされる。

作り手の情熱によって
名車は作り上げられる

エンジンは、6,500rpmぐらいから2ストらしい二次曲線的吹き上がりを見せる。が、使い切れて、パワーを搾り出す面白さが最高だ。低回転域はトルクフルとは言えないが、その後のレプリカモデルと比べたら、十分に実用的だ。

ヤマハ RZ250の試乗インプレッション

ただ、4,500rpm辺りのパーシャル域で、濃くバラバラとなるトルクの谷がある。当時も、これでは基準に達していないと思わせるものもあったが、これは吹き上がり感と乗りやすさの妥協点を探った結果でもある。

だが、不思議なことに、今回のRZ250にはトルク谷でのバラバラ感がなく、きれいに燃焼している。ひょっとして、リードバルブを樹脂製にするなどの対策が講じられているのだろうか(樹脂バルブはトルク谷に有効だが、耐久性やコスト面で、当時は純正として使えなかった)。

ヤマハ RZ250の試乗インプレッション

走り込むうちに、RZ250はさらに身体に馴染み、ライポジのフィット感にも感心させられる。ハンドルはグリップが絞り気味で、レーサーのセパハンを連想させる垂れ角が付いており、他に例を見ない形状だ。だが、自ずと上体が前傾し、腰が入る。思い出すと、ハンドルをトーチで温めて曲げ、グリップ角違いのものを多種用意して試走、好みの主張に外野の僕も加わったものである。

燃料タンクのフィット感も上々。当時のヤマハ車はもっと角が尖った造形になりがちで、テスト担当者がデザイナーと協議しても始まらないとばかり、自身でモックアップを削るという強引な手段に出た成果だ。ステップ位置も、シフトリンクの採用を前提に、ベストの位置を模索していた。当時、ここまでライポジに拘った機種は稀だった。

ヤマハ RZ250の試乗インプレッション

思い出すことはもっと一杯あるが、書き切れない。ともかく、名車を作り上げる原動力は、造り手の情熱以外の何者でもないのだ。

RZ250の詳細写真は次ページにて

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